(新)Nothing happens to me.

科学には人間を理解することが絶対にできない理由がある

2020-01-01から1年間の記事一覧

統合失調症の「テレビで自民党大物政治家が僕のことで喜ぶ」「アナウンサーがニュースで僕のことを仄めかす」「夜中の誰かが階段を駆け降りていった音は、睡眠中に僕の脳波をはかっていた者の慌てて逃げていく足音だった」を理解する(2/6)【統合失調症理解#14-vol.7】

*短編集『統合失調症と精神医学の差別』の短編NO.27 ◆同時に他の可能性にも思いをはせる だけど、どうですか。いま引き合いに出した、ちょっとした物音にもビクっと反応し、「殺し屋が来た!」と身構えたガンマンは、急いでホルダーから拳銃をとり出したあ…

統合失調症の「テレビで自民党大物政治家が僕のことで喜ぶ」「アナウンサーがニュースで僕のことを仄めかす」「夜中の誰かが階段を駆け降りていった音は、睡眠中に僕の脳波をはかっていた者の慌てて逃げていく足音だった」を理解する(1/6)【統合失調症理解#14-vol.7】

*短編集『統合失調症と精神医学の差別』の短編NO.27 あらすじ 小林和彦さんの『ボクには世界がこう見えていた』(新潮文庫、2011年)という本をとり挙げさせてもらって、今回で7回目です(全9回)。 小林さんが統合失調症を「突然発症した」とされる日の…

統合失調症の「通りかかった男女が、あっちに行けば楽なのにね、とささやいた」「おかもちの中からとり出した割り箸には意味があるはずだった」を理解する(5/5)【統合失調症理解#14-vol.6】

*短編集『統合失調症と精神医学の差別』の短編NO.26 ◆ここまでを簡単に振り返る 先の引用の直後をさらに見ていきますよ。とうとう小林さんは、悪意あるその「何者か」にどん詰まりまで追い詰められてしまいます。 僕は心底疲れ、往来の真ん中で大声で叫んだ…

統合失調症の「通りかかった男女が、あっちに行けば楽なのにね、とささやいた」「おかもちの中からとり出した割り箸には意味があるはずだった」を理解する(4/5)【統合失調症理解#14-vol.6】

*短編集『統合失調症と精神医学の差別』の短編NO.26 ◆そば屋のおかもちから割り箸をとり出した時 どんどん先に進みます。さっきの引用の直後を見ますね。小林さんはその悪意ある「何者か」にジリジリと追い詰められていきます。 ところがその路地は工事中で…

統合失調症の「通りかかった男女が、あっちに行けば楽なのにね、とささやいた」「おかもちの中からとり出した割り箸には意味があるはずだった」を理解する(3/5)【統合失調症理解#14-vol.6】

*短編集『統合失調症と精神医学の差別』の短編NO.26 ところで、まえのほうで俺、こう言っておきましたよね。小林さんは前日、時の内閣が自分のことを守ろうとしてくれていると本気で思い込んだ結果、時の内閣から監視されていると感じ考えることになったの…

統合失調症の「通りかかった男女が、あっちに行けば楽なのにね、とささやいた」「おかもちの中からとり出した割り箸には意味があるはずだった」を理解する(2/5)【統合失調症理解#14-vol.6】

*短編集『統合失調症と精神医学の差別』の短編NO.26 ◆ふたつ目の案 もしくは、こういうことだったかもしれませんね。 小林さんは、「世界は僕のためにある」ということの恐ろしい真の意味をついに理解したと思ったとき、ふとある場面を想像した。それは、遠…

統合失調症の「通りかかった男女が、あっちに行けば楽なのにね、とささやいた」「おかもちの中からとり出した割り箸には意味があるはずだった」を理解する(1/5)【統合失調症理解#14-vol.6】

*短編集『統合失調症と精神医学の差別』の短編NO.26 あらすじ 小林和彦さんの『ボクには世界がこう見えていた』(新潮文庫、2011年)という本をとり挙げさせてもらって、今回で6回目です(全9回)。 小林さんが統合失調症を「突然発症した」とされる日の…

統合失調症の「何者かが僕に、世界は僕のためにあるというシグナルを送り続けている」を理解する(6/6)【統合失調症理解#14-vol.5】

*短編集『統合失調症と精神医学の差別』の短編NO.25 大学構内を出て、グラウンド坂を少し下がり、学生時代よく行っていた「キャプテン」という喫茶店をのぞいてみようと思ったが、シャッターが閉まっていた。(略) 考え事をしながらフラフラ歩いていくと、…

統合失調症の「何者かが僕に、世界は僕のためにあるというシグナルを送り続けている」を理解する(5/6)【統合失調症理解#14-vol.5】

*短編集『統合失調症と精神医学の差別』の短編NO.25 ◆「世界は僕のためにある」への違和感 では、つぎに、この「世界は僕のためにある」というのが違和感を与える、ということの意味について考えてみましょうか。 この日、早稲田大学に向かいはじめてからこ…

統合失調症の「何者かが僕に、世界は僕のためにあるというシグナルを送り続けている」を理解する(4/6)【統合失調症理解#14-vol.5】

*短編集『統合失調症と精神医学の差別』の短編NO.25 ◆「世界は僕のためにある」という誤った手応え ところで、いま小林さんは「世界は僕のためにある」とか、「それがこんなにも違和感を与えるものだとは思っていなかった」とかと言っていましたよね。再引…

統合失調症の「何者かが僕に、世界は僕のためにあるというシグナルを送り続けている」を理解する(3/6)【統合失調症理解#14-vol.5】

*短編集『統合失調症と精神医学の差別』の短編NO.25 ◆ずっと抱いていた疑問が解けたとき 先の引用の直後をさらに見ていきますよ。先のほうで予告しておきましたように*1、小林さんが、立てつづけに可愛い女性に出会ったことをはじめとした、いろんなことに…

統合失調症の「何者かが僕に、世界は僕のためにあるというシグナルを送り続けている」を理解する(2/6)【統合失調症理解#14-vol.5】

*短編集『統合失調症と精神医学の差別』の短編NO.25 ◆クズかごの中身に不自然さを感じる さあ、どんどん先に進みましょう。さっきの引用の直後を見ますよ。 その後、演劇博物館へ行き、大隈庭園へ行った。(略) グラウンド坂の方へ行こうと、再び大学構内…

統合失調症の「何者かが僕に、世界は僕のためにあるというシグナルを送り続けている」を理解する(1/6)【統合失調症理解#14-vol.5】

*短編集『統合失調症と精神医学の差別』の短編NO.25 あらすじ 小林和彦さんの『ボクには世界がこう見えていた』(新潮文庫、2011年)という本をとり挙げさせてもらって、今回で5回目です(全9回)。 小林さんが統合失調症を「突然発症した」とされる日の…

統合失調症の「自民党有名某政治家の分身が笑うのが聞こえた」を理解する(5/5)【統合失調症理解#14-vol.4】

*短編集『統合失調症と精神医学の差別』の短編NO.24 ◆ここまでを簡単に振り返る さあ、この要領で引用のつづきをどんどん見ていきますよ。 いや、それとも、そのまえにこの辺りで一度、ここまでをすこしふり返っておきましょうか。 みなさん、ここまで、ど…

統合失調症の「自民党有名某政治家の分身が笑うのが聞こえた」を理解する(4/5)【統合失調症理解#14-vol.4】

*短編集『統合失調症と精神医学の差別』の短編NO.24 ◆目に涙をいっぱいためてこちらを見ている女性 さて、つぎの場面に進むまえに、ここで、その3人組のなかの女子学生にちょっと話を戻してみましょうか。小林さんが3人に喋りかけているあいだ、「女の子…

統合失調症の「自民党有名某政治家の分身が笑うのが聞こえた」を理解する(3/5)【統合失調症理解#14-vol.4】

*短編集『統合失調症と精神医学の差別』の短編NO.24 でも、なぜこの場面でいきなり、「田中角栄と竹下登の分身」といった発想が小林さんのもとに浮かんできたのでしょう? みなさん、ここでちょっと思い出してみてくれませんか。その前日、小林さんは、同僚…

統合失調症の「自民党有名某政治家の分身が笑うのが聞こえた」を理解する(2/5)【統合失調症理解#14-vol.4】

*短編集『統合失調症と精神医学の差別』の短編NO.24 ◆大学生3人組と会話する 立てつづけに可愛い女性に出会ったことや、やけに車が接近してきたことに「不自然さ」を覚えつつ、光が丘公園にやって来た小林さんは、そこで用を済ませたあと、その日の最終目…

統合失調症の「自民党有名某政治家の分身が笑うのが聞こえた」を理解する(1/5)【統合失調症理解#14-vol.4】

*短編集『統合失調症と精神医学の差別』の短編NO.24 あらすじ 小林和彦さんの『ボクには世界がこう見えていた』(新潮文庫、2011年)という本をとり挙げさせてもらって、今回で4回目です(全9回)。 小林さんが統合失調症を「突然発症した」とされる日の…

統合失調症の「駅舎に書かれていた駅名から、或る暗号を受けとった」を理解する(3/3)【統合失調症理解#14-vol.3】

*短編集『統合失調症と精神医学の差別』の短編NO.23 いまこう推測しました。 小林さんは、「なります」と書かれた駅名標示から、「ボクが何かになります」という駄洒落を考えついた(現実)。ところがその小林さんには、自分がそんな駄洒落を考えついたはず…

統合失調症の「駅舎に書かれていた駅名から、或る暗号を受けとった」を理解する(2/3)【統合失調症理解#14-vol.3】

*短編集『統合失調症と精神医学の差別』の短編NO.23 ◆成増駅の駅名標示から意味・暗号を受けとる まず光が丘公園に向かうべく、埼京線に乗って池袋で降り、東武東上線に乗り換えて成増に向かった。(略) 成増で降り、どっちが光が丘公園なのかわからぬまま…

統合失調症の「駅舎に書かれていた駅名から、或る暗号を受けとった」を理解する(1/3)【統合失調症理解#14-vol.3】

*短編集『統合失調症と精神医学の差別』の短編NO.23 あらすじ 小林和彦さんの『ボクには世界がこう見えていた』(新潮文庫、2011年)という本をとり挙げさせてもらって、今回で3回目です(全9回)。 小林さんが統合失調症を「突然発症した」とされる日と…

統合失調症の「新聞記事を読み、国が僕を守ろうとしてくれていると確信した」を理解する(4/4)【統合失調症理解#14-vol.2】

*短編集『統合失調症と精神医学の差別』の短編NO.22 ◆ふり返り いまこう推測しました。いつもながら、くどいでしょうけど、ふり返ってみますね。 アニメーションによる体制変革を志していた小林さんはつねづね権力者の庇護を求めていたということでしたね。…

統合失調症の「新聞記事を読み、国が僕を守ろうとしてくれていると確信した」を理解する(3/4)【統合失調症理解#14-vol.2】

*短編集『統合失調症と精神医学の差別』の短編NO.22 ◆同時に自分の解釈を疑っている さて、いま、こう言いました。気持ちが高揚していた小林さんは早合点して、現実(記事内容)をつい自分に都合良く解釈してしまったのではないか、って。 そんなふうに、み…

統合失調症の「新聞記事を読み、国が僕を守ろうとしてくれていると確信した」を理解する(2/4)【統合失調症理解#14-vol.2】

*短編集『統合失調症と精神医学の差別』の短編NO.22 ◆現実を自分に都合良く解釈する 先の引用文の最終段落で小林さん(アニメーション制作会社勤務)はこう言っていましたよね。当時、「アニメーションを手段にして体制を変えようとしていた」って。「しか…

統合失調症の「新聞記事を読み、国が僕を守ろうとしてくれていると確信した」を理解する(1/4)【統合失調症理解#14-vol.2】

*短編集『統合失調症と精神医学の差別』の短編NO.22 あらすじ 小林和彦さんの『ボクには世界がこう見えていた』(新潮文庫、2011年)という本を、前回から、とり挙げさせてもらっています。 これから、小林さんが統合失調症を「突然発症した」とされる日と…

統合失調症の「発症前のある時期から、テレビ、ラジオ、本の情報に過敏に反応して、いろんなメッセージを受けとるようになった」を理解する(5/5)【統合失調症理解#14-vol.1】

*短編集『統合失調症と精神医学の差別』の短編NO.21 ◆現実を自分に都合良く解釈する 以上ここまで、下準備としてふたつの出来事を見てきました。そのどちらについても俺、こう指摘しましたよね。小林さんは「現実を自分に都合良く解釈していた」のではない…

統合失調症の「発症前のある時期から、テレビ、ラジオ、本の情報に過敏に反応して、いろんなメッセージを受けとるようになった」を理解する(4/5)【統合失調症理解#14-vol.1】

*短編集『統合失調症と精神医学の差別』の短編NO.21 ◆野坂、衆院選で新潟3区から出馬する(出来事2) さて、今度は、もういっぽうの出来事を見ていきます。野坂昭如が衆院選で新潟3区から田中角栄の対立候補として出馬したということでしたよね。 小林さ…

統合失調症の「発症前のある時期から、テレビ、ラジオ、本の情報に過敏に反応して、いろんなメッセージを受けとるようになった」を理解する(3/5)【統合失調症理解#14-vol.1】

*短編集『統合失調症と精神医学の差別』の短編NO.21 いま、こう推測しました。 野坂がとんねるず石橋を殴打した(現実)。ところが、小林さんには、野坂がとんねるずに不利益を与えようとしているはずはないという「自信」があった。そのように「現実」と「…

統合失調症の「発症前のある時期から、テレビ、ラジオ、本の情報に過敏に反応して、いろんなメッセージを受けとるようになった」を理解する(2/5)【統合失調症理解#14-vol.1】

*短編集『統合失調症と精神医学の差別』の短編NO.21 ただしそのまえに、簡単な下準備をしておきましょうか。小林さんが統合失調症を「突然発症した」とされる日のすこしまえの時期のことを、今回はちょっと見ておくことにしますよ。 その時期のことを小林さ…

統合失調症の「発症前のある時期から、テレビ、ラジオ、本の情報に過敏に反応して、いろんなメッセージを受けとるようになった」を理解する(1/5)【統合失調症理解#14-vol.1】

*短編集『統合失調症と精神医学の差別』の短編NO.21 目次・発症数ヶ月前から始まった「メッセージを受けとる」・野坂昭如、とんねるず石橋貴明を殴る(出来事1)・野坂、衆院選で新潟3区から出馬する(出来事2)・現実を自分に都合良く解釈する ◆発症数…