(新)Nothing happens to me.

科学には人間を理解することが絶対にできない理由がある

2015-01-01から1年間の記事一覧

ドーキンスが利他を利己に読み替えるよ

*進化論はこの世をたった1色でぬりつぶすんだね第7回 このように群淘汰論を批判するとはいえ、ドーキンスも読み替えをすることにかわりはありません。彼は、生物個体による利己的行為と利他的行為をともに、遺伝子Xによる利己的行為(遺伝子Xによるライ…

身体が遺伝子会長とその子飼いの脳社長に牛耳られる

*身体すり替え事件第4回 では、科学は、存在を読み替え、さらには存在同士の関係をも別ものにすり替え、その結果、身体をどのようなものとするのでしょうか。 ここではざっくり結論だけを申し述べます。 科学は存在を読み替えることで、みなさんの身体が、…

関係がすり替えられていた

*身体すり替え事件第3回 みなさんが歩み寄るときのとびらについて考えてきました。が、「他のものと共に在るにあたってどのようにあるか」という問いに一瞬ごとに答えるのは、何もこのとびらだけではありません。同じ例を引きつづき用いて言えば、みなさん…

見て、郡淘汰説は換骨奪胎したよ

*進化論はこの世をたった1色でぬりつぶすんだね第6回 さて、みなさんはいまの読み替えをどうご覧になっておられたでしょうか。手品でも見ておられる気分でしたでしょうか。 この進化論者が何をしていたのか、煙に巻かれないよう、いま一度スローモーショ…

存在が読み替えられていたと判明する

*身体すり替え事件第2回 科学はデカルト哲学以来の趨勢にしたがって、事のはじめに存在を読み替えます。 いま部屋のなかにいらっしゃるみなさんが、外に出ようとして、とびらに向かって歩み寄っておられるものとご想像ください。みなさんが歩み寄ると、と…

事件のオイニイがする

*身体すり替え事件第1回 「俺ってこんな存在だったっけ。俺の知っている人間はこんなだっけかなぁ」 科学(病理学や精神病理学を含む)が生き物を説明するのを聞いていると、とても不思議な気持ちになります。一流科学者の本や、国営放送の科学番組ではし…

利他を利己に読み替えるよvol.1

*進化論はこの世をたった1色でぬりつぶすんだね第5回 では、もはやこの世に存在するはずのない利他的行為を、進化論者はどのようにして、この世に唯一存在するものであるはずの利己的行為に読み替えるのでしょうか。 『利己的な遺伝子*1』では二種類の読…

酒を飲んでもみんな目がまわるわけじゃない、だからキミの目がまわっているのも心因性だ?

*ワクチン接種後の痙攣が心因性というのは本当? 第4回 終始申し上げていますように、出来事を一箇所のせいにすることは道理に外れています。子宮頸がんワクチンを接種したあと、複数の子供たちの身の上に起こるようになったけいれん等の出来事を、心一箇…

利他は無いはずなのにあるよ、困るよ

*進化論はこの世をたった1色でぬりつぶすんだね第4回 以上をもって、ドーキンスが、利益と不利益をつねに表裏一体とみなしていることが確認できたものとします。くどいですが、ここまで確認してきた論理展開を箇条書きにして復習すると、こうなります。 …

自然淘汰のすえ、いまや生物には利己的行為しか見当たらないはずだよ?

*進化論はこの世をたった1色でぬりつぶすんだね第3回 ふたつの用語の定義を見ました。 ドーキンス語1.利己的行為:自分が利益を得、他に不利益を与えること(他を押しのけること)。 ドーキンス語2.利他的行為:他に利益を与え、自分は不利益をこうむ…

利己と利他を定義づけるよ

*進化論はこの世をたった1色でぬりつぶすんだね第2回 ただしそのまえに、ドーキンスが多用する二つの用語について確認しておかなければなりません。その二つとは、利他と利己という言葉です。 ふだん俺たちが利他と呼ぶものには、大ざっぱにいえば二種類…

「おかげさまのココロ」をつい忘れてしまうとき

*ワクチン接種後の痙攣が心因性というのは本当? 第3回 或る症状を呈しているひとを検査しても、「そうした症状を呈するひとの身体のなかにしか見つからない一箇所」(異常所見)が見当たらないということをもって、心という一箇所のせいにするというのは…

異常所見がないことをもって心因性となす?

*ワクチン接種後の痙攣が心因性というのは本当? 第2回 いま、或るひとに激しいけいれんが起こったとしましょう。すると、物理学や化学をしているときには出来事を一箇所のせいにはしないが、生き物を扱っているときにはおうおうにして出来事を一箇所のせ…

利益と不利益を表裏一体とみるところから出発するよ

*進化論はこの世をたった1色でぬりつぶすんだね第1回 ドーキンスの『利己的な遺伝子』を読んでいると、かつてヒュームの本を読んでいたときのことをふと思いだす瞬間があります。また、トマス・ホッブスを連想することになるときもしばしばあります(自然…

心一箇所のせいにはできない

*ワクチン接種後の痙攣が心因性というのは本当? 第1回 しょう懲りもなく今回も、出来事を一箇所のせいにする科学の見解について考察します。出来事を一箇所のせいにすることはできないはずだと、オロカモノのくせにまたぞろ口はばったく申し上げていきま…

今後の予定

*進化論はこの世をたった1色でぬりつぶすんだね(序) しばらくまえ、カワグチ・サチジ・シリーズ(二篇やりました)と銘打って、原因丸々ひとつを特定できるか、思考実験をして確かめました。結論だけを言いますと、原因丸々ひとつは特定できませんでした…

まとめ

*ガンを原因と思っていればなんでもできる???第6回 科学が出来事を一箇所のせいにするのは、ガンについてだけではありません。みなさんが何かを思ったり、何かをしたりすることを脳科学は脳という一箇所だけのせいにして説明していますし、最近の科学は生…

ガン治療は成績向上も最初から約束されていて楽ちん

*ガンを原因と思っていればなんでもできる???第5回 最後ここに、成績向上、もつけ加えておきます。 出来事を一箇所のせいにできるのであれば、治療成績を向上させるのも非常に楽ちんです。ガンをとり除くための臓器摘出手術あるいは抗ガン剤治療をうけると…

ガンさえとり除けば予防は成功と考えられて楽ちん

*ガンを原因と思っていればなんでもできる???第4回 出来事を一箇所のせいにできると考えると、さらに予防なるものも、一箇所にしか配慮しないでできることになって、これまた非常に楽ちんです。苦を訴えに来院するひとたちだけではなく、苦しんでいないひ…

ガンさえとり除ければ治療が成功と考えられて楽ちん

*ガンを原因と思っていればなんでもできる???第3回 つぎは治療についてです。 未来にどんな出来事が起こるかを予想するには状況把握が必要だと書きましたけれども、状況把握が必要なのは、余命宣告をするときだけにかぎられないでしょう。苦しんでいるひと…

ガンだけ見れば余命宣告ができると思えて楽ちん

*ガンを原因と思っていればなんでもできる???第2回 今回は、ガンという一箇所にだけ配慮していれば、未来予想や、治療や、予防ができるということならいかに楽ちんであるかということを、未来予想、治療、予防の順にひとつずつ確認していき、それをもって…

出来事を一箇所のせいにすることの魅力

*ガンを原因と思っていればなんでもできる???第1回 先日、数回にわたり、ガンを例に、出来事を一箇所のせいにする見方について確認しました*1。今回はそのまとめをします。 かつて、苦しんでお亡くなりになった幾人かのひとたちの身体のなかにガンが見つか…

まとめ

*コーヒー疫学、違いをひとつにしぼらない第6回 以上、今回は、差を一箇所のせいにする統計を確認した(グループ間の違いをたったひとつにしぼろうとこれっぽっちもしない統計を、俺はコーヒー疫学とたわむれに名づけている。コーヒーについてこうした統計…

なぜ違いをひとつにしぼらない?(下)

*コーヒー疫学、違いをひとつにしぼらない第5回 コーヒーを一日にn杯摂取すれば、「どんな場合でも、身体のなかに同じ出来事が引き起こされる」とするこの考え方はいったい何なのか。 この考えかたは、出来事を一箇所のせいにする考えかたの延長だと言える…

なぜ違いをひとつにしぼらない?(中)

*コーヒー疫学、違いをひとつにしぼらない第4回 しかし、一日に飲むコーヒーn杯を「どんな場合でも、身体のなかに同じ出来事を引き起こすもの」と見、一日にコーヒーを3杯飲めば、肉を十分に食べているひとにも、肉を十分に食べていないひとにも、同じ出来…

なぜ違いをひとつにしぼらない?(上)

*コーヒー疫学、違いをひとつにしぼらない第3回 ところが、国立がん研究センターを中心になされたこの調査*1では、グループ間の違いをたったひとつにしぼりこむようなことはしていない。 なぜか。 それは、グループ間の違いを、たったひとつにしぼる必要を…

科学は雨女、雨男、魔女特定法で疫学する

*コーヒー疫学、違いをひとつにしぼらない第2回 先にも触れたとおり、この調査*1で追跡されたみなさんの間には、「一日に飲むコーヒーの杯数の違い」以外にも違いがたくさんおありだった。身長も、体重も、味の好き嫌いも、一日に食べる野菜や肉の量も、一…

違いをひとつにしぼれ

*コーヒー疫学、違いをひとつにしぼらない第1回 首がとれそうになるくらい、首をひねっている。 国立がん研究センターが中心となってコーヒーに関し、コホート調査をやったそうである。その調査を報じている記事をぐうぜん読んで俺はいま、しきりと目をパ…

まとめ

*『患者よ、がんと闘うな』の近藤誠さん第8回 以上、科学のガン論とガン治療法にたいし、近藤さんがお示しになっている疑念について、オロカモノなりに考察してきた。その考察をとおしてオロカモノの俺が学んだのは、生物を扱うようになると科学は一転、「…

ガン治療は癒しを目的としていない

*『患者よ、がんと闘うな』の近藤誠さん第7回 それに比べると、科学のガン治療はどうだろう。科学は、ガンという一箇所をとり除くことにしか配慮しない。この一箇所をなくせるかどうかのみが、ガン治療の成功と失敗の分かれ目である。患者さんのガンという…