(新)Nothing happens to me.

科学には人間を理解することが絶対にできない理由がある

2017-01-01から1年間の記事一覧

正常異常の区別がひとに対してつけられる未来はやって来るか②使用者

*障害という言葉のどこに差別があるか考える第9回 正常異常の区別が実は機械に対してすらつけられないことを確認しようとしています。 機械がちゃんと動かない(作り手の望みどおりには動かない)場面をふたつみなさんにご想像いただくことにし、早速ひと…

正常異常の区別がひとに対してつけられる未来はやって来るか①作り手

*障害という言葉のどこに差別があるか考える第8回 正常異常の区別は機械に対してはつけられても、ひとに対してはつけられず、にもかかわらずひとを正常と異常に振り分ければ、不当な差別をしていることになる、という結論にたどり着きました。 しかし反論…

ひとに対して正常異常の区別はつけられるか③遺伝子

*障害という言葉のどこに差別があるか考える第7回 ひとに作り手は存在しないと考えようが、自然をひとの作り手と想定しようが、結論は同じでした。正常異常の区別は機械に対してはつけられても、ひとに対してはつけられません。ひとを正常と異常に振り分け…

ひとに対して正常異常の区別はつけられるか②自然法則

*障害という言葉のどこに差別があるか考える第6回 正常異常の区別は、ひとという作り手がいる機械に対してはつけられても、作り手の存在しないひとに対してはつけられず、ひとを正常と異常に振り分ければ、不当な差別をしていることになると確認しました。…

ひとに対して正常異常の区別はつけられるか①作り手

*障害という言葉のどこに差別があるか考える第5回 機械に正常異常を言うとは、機械が《作り手の定めたとおりになっていない》のを問題とし、機械が〈作り手の定めたとおりになっている〉のを正常、機械が《作り手の定めたとおりになっていない》のを異常と…

機械に正常異常を言うとは何をすることか

*障害という言葉のどこに差別があるか考える第4回 正常であるとは問題が無いこと、かたや異常があるとは問題が有ることを言うのだろうとはすぐに察しがつきますが、では、それはいったいどういった問題が無いとか有るとか言うことなのでしょうか。機械につ…

ひとを正常なものと異常があるものとに分けることは不当な差別に他ならない

*障害という言葉のどこに差別があるか考える第3回 みなさんが障害という言葉にお覚えになる違和感の正体は、ひとを正常なもの(健常者・健康なひと)と異常があるもの(障害者)とに分けることが不当な差別に当たるという事情にあるのではないかと申しまし…

障害という言葉に覚える違和感は故無しではない

*障害という言葉のどこに差別があるか考える第2回 何も存じ上げないただのど素人のくせに、心苦しさをこらえつつとはいえ、僭越ながら俺はこう申し上げました。障害という言葉が、障害者をさして「害」と言っているとはちょっと思われない。障害という言葉…

障害という言葉は障害者をさして「害」と言っているか

*障害という言葉のどこに差別があるか考える第1回 最近、障害という字が、障がいとか障碍と表記されているのをしばしば見かけます。障害という言葉が障害者をさして「害」と言っているとの批判を受けてのことだと聞きました。 ほんとうでしょうか。寡聞な…

ホーズムの予言

「ワトスソ、肝臓が故障しているとか、脳が壊れているといった言いかたをキミは最近よくするね。もはや身体の検査は、身体が故障していないか調べることだし、躁鬱病や早発性痴呆は脳の故障であると言わんばかりだ。さしずめ方向がわからなくなってボクが徘…

えっ、ちょうウケる?

「肝臓、故障してるとか、脳、壊れてるとか言うの、ちょうウケるんですけど」 なんでよ〜? 身体の検査って、身体が故障してないかしらべることでしょ? 昨日*チャンでウツ病とかニンチ症は脳の故障だって言ってたし。「ネット?」いや、テレビのほう。方向…

肝臓や脳は故障したり壊れたりは決してしない

肝臓が故障しているとか、脳が壊れているといった言いかたがよくされる。 もはや身体の検査は車を検査するのと同じく、故障の有無を調べることであって、「病気とは故障、治療とは修理」といったところだろうか。 なんともすばらしくわかりやすいものの見方…

医学は差別の体系である

*身体をキカイ扱いする者の正体は第22回 このchapterでは、機械に用いられる正常異常という振り分けかたを、科学が身体に用いることの非について見てきました。 最後に、確認してきたことを箇条書きで簡単にふり返ってから、このchapterを閉じることにしま…

「統合失調症」を理解する7

*身体をキカイ扱いする者の正体は第21回 先ほど統合失調症の例を用いて確認しました。精神医学は患者を精神に異常のあるものとして理解しようとしますが、それではそのひとを理解することはできないということでした。論理的に考える限り、ひとはひとりの例…

「統合失調症」を理解する6

*身体をキカイ扱いする者の正体は第20回 ここまで、統合失調症と診断されたひとたちの例を用いて考察してきました。そして確認しました。精神に異常があるものと精神医学に判定されるひとたちを理解するのに必要なのは、そのひとたちのことを、「そのひとた…

「統合失調症」を理解する5

*身体をキカイ扱いする者の正体は第19回 精神医学は患者を精神に異常があるものとして理解しようとします。しかしそれでは患者のことを理解できないどころか、むしろはなっから理解するのを拒絶することになると申しました。 では、精神医学が精神に異常が…

「統合失調症」を理解する4

*身体をキカイ扱いする者の正体は第18回 精神医学は患者を精神に異常があるものとして理解しようとします。しかしそれでは患者のことを理解できないどころか、むしろはなっから理解するのを拒絶することになると申しました。精神医学が精神に異常があるもの…

「統合失調症」を理解する3(後半)

*身体をキカイ扱いする者の正体は第17回 みなさんは「青年の身になって」、引きつづきこうお考えになります。 「いま、入院十日まえから急に周囲の注目を集めるようになったというのが青年の思い過ごしではないと仮定して考えた。今度は、実にそれが青年の…

「統合失調症」を理解する3(前半)

*身体をキカイ扱いする者の正体は第17回 精神医学は患者を精神に異常があるものとして理解しようとします。しかしそれはむしろ患者のことを理解するのをはなっから拒否することです。 そう申し上げる俺はいまみなさんと、統合失調症と診断されたひとのこと…

「統合失調症」を理解する2(後半)

*身体をキカイ扱いする者の正体は第16回 統合失調症を発症したある青年は、入院させられてからも、自分が病院にいるということを受け入れようとせず、「芝居はもう止めてください」「これは、ドッキリカメラか何かでしょう?」と言い、これが現実だとは、な…

「統合失調症」を理解する2(前半)

*身体をキカイ扱いする者の正体は第16回 精神医学は患者を精神に異常があるものとして理解しようとします。しかし、それはむしろ患者のことを理解するのをはなっから拒否することでした。 では、そのひとたちを理解するにはどうすればいいのか。 そのひとた…

「統合失調症」を理解する1

*身体をキカイ扱いする者の正体は第15回 精神医学は患者を精神に異常があるものとして理解しようとしますが、それではそのひとたちのことを理解できるようにはならないし、それどころかはなっから理解を拒むことになると申しました。 だとしますと、そのひ…

精神医学は患者理解をはなっから拒否する

*身体をキカイ扱いする者の正体は第14回 身体を機械と考える科学には、快さと苦しさが何であるのかがよくわからないということを確認しました。 快さや苦しさが何であるのかがよくわからなければ、治療を受けるとしばしばこうむることになる副作用とか毒性…

科学には苦しさや快さなどどうでもいい

*身体をキカイ扱いする者の正体は第13回 機械にしか用いることのできない正常異常という区分けを、ほんとうは機械ではない身体に用いる科学には、快さや苦しさが何を意味するのかがわからないと申しました。いまからこのことを簡単に見ていきます。 「身体…

副作用とか毒性というものを医学は十分に気にしてきたか

*身体をキカイ扱いする者の正体は第12回 みなさんお元気でしょうか。お目にかかるのは、細かいことを抜きにして申しますと、3ヶ月ぶりといったところかと存じます。たいへんご無沙汰しております。 以前、俺が何をモゴモゴと申し上げている途中だったか、…

みなさんは治療を受けるかどうかお決めになる際、損得計算をなさる

*身体をキカイ扱いする者の正体は第11回 機械にしか用いることのできない正常異常という振り分けかたを、機械ではない身体に用いるというのは、「世界によって定められたありようを身体が呈していないこと」を問題にすることでした。世界によって身体はみん…

手足が震えるのは運動障害か

*身体をキカイ扱いする者の正体は第10回 科学は、機械にしか用いることのできない正常異常という振り分けかたを、機械ではない身体に用います。それは、「設計製造者(世界)によって定められたありようを身体が呈していないこと」を問題にすることでした。…

医療が真に問題とすべきは何なのか

*身体をキカイ扱いする者の正体は第9回 科学は、機械に用いられる正常異常という区分けを、機械ではない身体に用い、その正常を健康とか健常と呼ぶいっぽうで、異常を病気と呼び、治療とは異常状態から正常状態になることを目的とするものとします。これは…

科学のなかにすべり込んだ差別の論理

*身体をキカイ扱いする者の正体は第8回 科学は事のはじめに「絵の存在否定」という不適切な操作を為して、身体を機械と考え、機械に用いられる正常異常という区分けを、ほんとうは機械ではない身体に用います。そうして身体を、その設計製造者である世界に…

科学は、みんなと同じではないものを不当に差別する

*身体をキカイ扱いする者の正体は第7回 機械にしか用いることのできない正常異常という区分けを、機械ではない気候に用いることはできません。にもかかわらず俺は、近年の夏の気候などを指してつい異常気象と言ってしまいます。そうして思わず、気候を正常…