*障害という言葉のどこに差別があるか考える第4回
正常であるとは問題が無いこと、かたや異常があるとは問題が有ることを言うのだろうとはすぐに察しがつきますが、では、それはいったいどういった問題が無いとか有るとか言うことなのでしょうか。機械について正常異常を言う場合を考えてみます。
機械に正常異常を言うとは、機械が「役に立たない」ことを問題にすることでしょうか。そして機械が役に立つのを正常と呼び、機械が「役に立たない」のを異常と呼ぶことでしょうか。
いや、どうもピンときません。
では、機械に正常異常を言うとは、機械が「思ったとおりに動かない」ことを問題にし、機械が思ったとおりに動くのを正常、機械が「思ったとおりに動かない」のを異常と呼ぶことでしょうか。
家電機器が「思ったとおりに動かな」くて、俺がカスタマーセンターに電話するとします。
「お問い合わせありがとうございます。お客さま、型番はおわかりになりますでしょうか・・・・・・はい、○○(商品名)でございますね。どのような不具合か、お聞かせいただけますでしょうか。はい・・・・・・お客さま、大変申し訳ございません、こちらの商品はもともと××しないものとなっております。故障ではございません。あしからずご了承ください。本日はお問い合わせありがとうございました」
機械が「使用者の思ったとおりに動かない」のを、異常(故障)と言うのではないようです。
受話器を置いた俺は、電話するまえに、当の家電製品に付属していた説明書に目を通しておくべきだったと汗だくになって反省しています。まさに、機械に正常異常を言うとは、機械が「説明書どおりになっていない」のを問題とし、機械が説明書どおりになっているのを正常、機械が「説明書どおりになっていない」のを異常と呼ぶことではないでしょうか。
すなわち、機械に正常異常を言うとは、機械が《作り手の定めたとおりになっていない》のを問題にすることではないでしょうか。で、機械が〈作り手の定めたとおりになっている〉のを正常と呼び、機械が《作り手の定めたとおりになっていない》のを異常と呼ぶことではないでしょうか。
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