(新)Nothing happens to me.

科学には人間を理解することが絶対にできない理由がある

2020-01-01から1年間の記事一覧

「神のお告げが聞こえた」に肉薄しよう(「統合失調症の◯◯を理解する」シリーズのspin-off)

今年2020年の2月初頭からずっと、「統合失調症の◯◯を理解する」というタイトルで、記事を書いてきました*1。統合失調症と診断されたひとたちに、実際に記事のなかに登場してもらい、そのひとたちの統合失調症の症状とされる体験が、医学の見立てに反し、「理…

精神医学の「統合失調症のひとには病識がない」という言い草に、温厚なみなさんですら激怒する理由(4/4)

*短編集「統合失調症と精神医学と差別」から短編NO.31 ◆「真に自覚あるもの」と「真に自覚無きもの」 さあ、遅ればせながら、核心に近づいてきましたよ。先にこう指摘しておきましたよね。(精神)医学が統合失調症と診断し、「理解不可能」と決めつけてき…

精神医学の「統合失調症のひとには病識がない」という言い草に、温厚なみなさんですら激怒する理由(3/4)

*短編集「統合失調症と精神医学と差別」から短編NO.31 ◆おのれの人間理解力が未熟であることの自覚がない そうした差別的扱いを受けてきた例として誰にもまず、ぱっと思い浮かぶのは、統合失調症と診断されてきたひとたちではないでしょうか。そのひとたち…

精神医学の「統合失調症のひとには病識がない」という言い草に、温厚なみなさんですら激怒する理由(2/4)

*短編集「統合失調症と精神医学と差別」から短編NO.31 ◆一部のひとたちを異常と決めつけ、差別する いま、(精神)医学が、健康を正常であること、病気を異常であること、と独自に定義づけてきたということをまず見ました。 でも、これも以前に確認したこと…

精神医学の「統合失調症のひとには病識がない」という言い草に、温厚なみなさんですら激怒する理由(1/4)

*短編集「統合失調症と精神医学と差別」から短編NO.31 目次・健康、病気の定義から・一部のひとたちを異常と決めつけ、差別する・おのれの人間理解力が未熟であることの自覚がない・「真に自覚あるもの」と「真に自覚無きもの」 ◆健康、病気の定義から (精…

統合失調症の「話が途切れ途切れになる」「頭が飛ぶ」「ピコーンときてバリバリする」を理解する(8/8)【統合失調症理解#15】

*短編集「統合失調症と精神医学と差別」から短編NO.30 ◆締めの言葉 さあ、最後に全体を振り返りましょう。 (精神)医学はあるひとたちのことを統合失調症と診断し、やれ「人間の知恵をもってしては永久に解くことのできぬ謎」だ、「了解不能」だと、好き勝…

統合失調症の「話が途切れ途切れになる」「頭が飛ぶ」「ピコーンときてバリバリする」を理解する(7/8)【統合失調症理解#15】

*短編集「統合失調症と精神医学と差別」から短編NO.30 ◆言葉遣いまで「理解不可能」であることにする だけど、(精神)医学は貪欲です。思考や表現内容に止まらず、隙あらば、患者の言葉遣いまで「理解不可能」であることにしようとします。先の引用のつづ…

統合失調症の「話が途切れ途切れになる」「頭が飛ぶ」「ピコーンときてバリバリする」を理解する(6/8)【統合失調症理解#15】

*短編集「統合失調症と精神医学と差別」から短編NO.30 ◆表現内容まで「理解不可能」であることにする ここから、もう少しだけ先に進みましょう。が、そのまえに、冒頭からこれまでを簡単に一段落でふり返ってみます。こういうことでした。 はじめに、音大生…

統合失調症の「話が途切れ途切れになる」「頭が飛ぶ」「ピコーンときてバリバリする」を理解する(5/8)【統合失調症理解#15】

*短編集「統合失調症と精神医学と差別」から短編NO.30 ◆障害という言葉を使って「理解不可能」と表現する さて、そんな(精神)医学は先の引用文のなかで、音大生さんのことを「理解不可能」と表現するのに、「思考障害」という言葉を使っていました。 どう…

統合失調症の「話が途切れ途切れになる」「頭が飛ぶ」「ピコーンときてバリバリする」を理解する(4/8)【統合失調症理解#15】

*短編集「統合失調症と精神医学と差別」から短編NO.30 ◆「理解可能」なひとを「理解不可能」であることにする ところが、(精神)医学には、おのれの人間理解力が未熟であるという自覚はこれっぽっちもありません。むしろ反対に、(精神)医学の人間理解力…

統合失調症の「話が途切れ途切れになる」「頭が飛ぶ」「ピコーンときてバリバリする」を理解する(3/8)【統合失調症理解#15】

*短編集「統合失調症と精神医学と差別」から短編NO.30 いまこう推測しました。 音大生さんは、「まわり」のひとたちにどう思われているか、気になって仕方がなかった(現実)。しかしその音大生さんには、自分が「まわり」のひとたちにどう思われているかを…

統合失調症の「話が途切れ途切れになる」「頭が飛ぶ」「ピコーンときてバリバリする」を理解する(2/8)【統合失調症理解#15】

*短編集「統合失調症と精神医学と差別」から短編NO.30 ◆話が途切れ途切れになる 音楽大学の学生さん(以下、音大生さんと呼ばせてもらいます)の例からはじめますよ。その音大生さんは、精神科医への問いかけに途切れ途切れの応答を見せたと言います。 考え…

統合失調症の「話が途切れ途切れになる」「頭が飛ぶ」「ピコーンときてバリバリする」を理解する(1/8)【統合失調症理解#15】

*短編集「統合失調症と精神医学と差別」から短編NO.30 目次・いつもの前置き・話が途切れ途切れになる・「理解可能」なひとを「理解不可能」であることにする・障害という言葉を使って「理解不可能」と表現する・表現内容まで「理解不可能」であることにす…

統合失調症の「朝空が白んできた頃、誰かが郵便ポストに僕の扱いに関する指令を入れていった」「某タレントがすずめの声でテレパシー交信をとり始めた」を理解する(6/6)【統合失調症理解#14-vol.9】

*短編集「統合失調症と精神医学と差別」から短編NO.29 ◆(精神)医学も「現実を自分に都合良く解釈する」 でも(精神)医学は、そうした現実と背反する自信をずっともってきました。(精神)医学の人間理解力は完全無欠であるはずだという自信を、ね? で、…

統合失調症の「朝空が白んできた頃、誰かが郵便ポストに僕の扱いに関する指令を入れていった」「某タレントがすずめの声でテレパシー交信をとり始めた」を理解する(5/6)【統合失調症理解#14-vol.9】

*短編集「統合失調症と精神医学と差別」から短編NO.29 ◆全9回をとおして確認できたこと さて、ここまで、小林さん本人が、統合失調症を「突然発症した」とされる日とその翌日の模様を、赤裸裸かつ克明に語ってくれているのを、謹聴してきました。大変勉強…

統合失調症の「朝空が白んできた頃、誰かが郵便ポストに僕の扱いに関する指令を入れていった」「某タレントがすずめの声でテレパシー交信をとり始めた」を理解する(4/6)【統合失調症理解#14-vol.9】

*短編集「統合失調症と精神医学と差別」から短編NO.29 ◆とんねるず木梨がすずめの声で交信しはじめる では、先に進みましょう。小林さんはこのあと、すずめの鳴き声を聞いたと言っていました。その鳴き声を聞いているうち、「だんだんそれが日本語に聞こえ…

統合失調症の「朝空が白んできた頃、誰かが郵便ポストに僕の扱いに関する指令を入れていった」「某タレントがすずめの声でテレパシー交信をとり始めた」を理解する(3/6)【統合失調症理解#14-vol.9】

*短編集「統合失調症と精神医学と差別」から短編NO.29 ◆あるいは勝手にひとつに決めつける でも、ここは、こう解したほうがわかりやすいかもしれませんね。 日中、政府に回されていると思い込んでいた小林さんが帰宅後もずっと、ビクビクしているらしいのを…

統合失調症の「朝空が白んできた頃、誰かが郵便ポストに僕の扱いに関する指令を入れていった」「某タレントがすずめの声でテレパシー交信をとり始めた」を理解する(2/6)【統合失調症理解#14-vol.9】

*短編集「統合失調症と精神医学と差別」から短編NO.29 いまこう推測しました。振り返ってみますね。 朝の4時ころ、新聞配達の物音がした(現実)。しかし小林さんには、ふつうこんな時刻にひとが配達に来ているはずはないという「自信」があった。このよう…

統合失調症の「朝空が白んできた頃、誰かが郵便ポストに僕の扱いに関する指令を入れていった」「某タレントがすずめの声でテレパシー交信をとり始めた」を理解する(1/6)【統合失調症理解#14-vol.9】

*短編集「統合失調症と精神医学と差別」から短編NO.29 あらすじ 小林和彦さんの『ボクには世界がこう見えていた』(新潮文庫、2011年)という本をとり挙げさせてもらって、今回で9回目、最後になります。 小林さんが統合失調症を「突然発症した」とされる…

統合失調症の「友人、某タレント、某大物世界的ミュージシャンと、次々にテレパシーで交信した」を理解する(7/7)【統合失調症理解#14- vol.8】

*短編集「統合失調症と精神医学と差別」から短編NO.28 いまさっき、こう言いましたよね。小林さんは何かの拍子に、ふだんよく耳にするフィル・コリンズの曲を頭のなかでつい再生してしまったのかもしれませんね、って。 でも、小林さんからすると、自分がそ…

統合失調症の「友人、某タレント、某大物世界的ミュージシャンと、次々にテレパシーで交信した」を理解する(6/7)【統合失調症理解#14- vol.8】

*短編集「統合失調症と精神医学と差別」から短編NO.28 ◆フィル・コリンズも交信に加わってくる さらに小林さんは、こうも書いています。 フィル・コリンズが自分も交信できることを主張し、僕の心臓の鼓動を支えるようにドラムを叩いてくれた。色んな人に守…

統合失調症の「友人、某タレント、某大物世界的ミュージシャンと、次々にテレパシーで交信した」を理解する(5/7)【統合失調症理解#14- vol.8】

*短編集「統合失調症と精神医学と差別」から短編NO.28 ◆同時に自分の閃きを疑う でも、いま例に出しました間違い電話の場合、いつも慎重なみなさんなら、どうします? 「また、おなじひとからかも」と閃いたそのとき、同時に、その閃きを疑ってもみませんか…

統合失調症の「友人、某タレント、某大物世界的ミュージシャンと、次々にテレパシーで交信した」を理解する(4/7)【統合失調症理解#14- vol.8】

*短編集「統合失調症と精神医学と差別」から短編NO.28 ◆とんねるず木梨憲武とテレパシーで交信する 小林さんはさらにこうも書いています。 突然とんねるずの木梨憲武が交信してきた。 「木梨?」 と聞くと、彼は、 「あしたのジョー」 と答えた。これはとん…

統合失調症の「友人、某タレント、某大物世界的ミュージシャンと、次々にテレパシーで交信した」を理解する(3/7)【統合失調症理解#14- vol.8】

*短編集「統合失調症と精神医学と差別」から短編NO.28 いまの推測をふり返ってみますね。 小林さんが布団のなかで、いろんなひとや団体のことを思い浮かべながら、「協力してほしい」と、ちからを込めて強く願っていたところ、手足が震えたり、背中がぞくぞ…

統合失調症の「友人、某タレント、某大物世界的ミュージシャンと、次々にテレパシーで交信した」を理解する(2/7)【統合失調症理解#14- vol.8】

*短編集「統合失調症と精神医学と差別」から短編NO.28 ◆テレパシーでの交信の仕方 どんな内容だったか残念ながら忘れてしまったが、テレパシーで会話できるのはミックだけではなく、あらゆる人間と交信できることがわかった。交信を司る器官は頭の中だけで…

統合失調症の「友人、某タレント、某大物世界的ミュージシャンと、次々にテレパシーで交信した」を理解する(1/7)【統合失調症理解#14- vol.8】

*短編集「統合失調症と精神医学と差別」から短編NO.28 あらすじ 小林和彦さんの『ボクには世界がこう見えていた』(新潮文庫、2011年)という本をとり挙げさせてもらって、今回で8回目です(全9回)。 小林さんが統合失調症を「突然発症した」とされる日…

統合失調症の「テレビで自民党大物政治家が僕のことで喜ぶ」「アナウンサーがニュースで僕のことを仄めかす」「夜中の誰かが階段を駆け降りていった音は、睡眠中に僕の脳波をはかっていた者の慌てて逃げていく足音だった」を理解する(6/6)【統合失調症理解#14-vol.7】

*短編集「統合失調症と精神医学と差別」から短編NO.27 ◆正体を確かめに行ってはいけない さらに小林さんは続けて、こうも言っていましたね。その足音について、「起きてドアを開けて一階に行けば確かめられるが、なぜかそれをしてはいけないという自制心が…

統合失調症の「テレビで自民党大物政治家が僕のことで喜ぶ」「アナウンサーがニュースで僕のことを仄めかす」「夜中の誰かが階段を駆け降りていった音は、睡眠中に僕の脳波をはかっていた者の慌てて逃げていく足音だった」を理解する(5/6)【統合失調症理解#14-vol.7】

*短編集「統合失調症と精神医学と差別」から短編NO.27 でも、それと同時に、そうした自分の閃きや発想が、疑わしく思えてきても何らおかしくはなかったのではないでしょうか。要するに、その足音は実は、珍しく階上にやって来ていた妹のものだったのかもし…

統合失調症の「テレビで自民党大物政治家が僕のことで喜ぶ」「アナウンサーがニュースで僕のことを仄めかす」「夜中の誰かが階段を駆け降りていった音は、睡眠中に僕の脳波をはかっていた者の慌てて逃げていく足音だった」を理解する(4/6)【統合失調症理解#14-vol.7】

*短編集「統合失調症と精神医学と差別」から短編NO.27 ◆誰かがあわててドア向こうの階段を駆け降りていく さらに先に進みますよ。このあと、小林さんはお風呂に入り、テレビを見ます。そのときのことを小林さんはこう書いています。 「翌日は六時起きなので…

統合失調症の「テレビで自民党大物政治家が僕のことで喜ぶ」「アナウンサーがニュースで僕のことを仄めかす」「夜中の誰かが階段を駆け降りていった音は、睡眠中に僕の脳波をはかっていた者の慌てて逃げていく足音だった」を理解する(3/6)【統合失調症理解#14-vol.7】

*短編集「統合失調症と精神医学と差別」から短編NO.27 ◆宮崎キャスター「一人が発狂しました」 さらに、テレビでは「宮崎緑キャスターが、『アミノ酸製剤を四人に投与したところ、一人が発狂しました』という意味不明のニュースを報じた」と小林さんは言っ…