(新)Nothing happens to me.

科学の欠点、限界、見落としている大事なもの

統合失調症の「メッセージを受けとる」「世界は僕のためにある」「テレパシーで交信した」を理解するvol.7(統合失調症理解#14)(5/6)

*短編集「統合失調症と精神医学と差別」から短編NO.27


 でも、それと同時に、そうした自分の閃きや発想が疑わしく思えてきても何らおかしくはなかったのではないでしょうか。要するに、その足音は実は珍しく階上にやって来ていた妹のものだったのかもしれないと、他の可能性にもおのずと思いを致すことになっていても何ら不自然ではなかったのではないでしょうか。


 実際、小林さんのことを案じて、妹さんが様子を見に来ていたのかもしれませんよね(もしくは、夢のなかで足音を聞いたのかもしれませんけど)。


 しかし、小林さんにはそうした他の可能性などあるはずがないと思われていたのではないでしょうか。


 そのとき家のなかには他に妹さんしかいなかったにもかかわらず、小林さんにはまったく思いも寄らなかったのかもしれませんね。そんな時刻に妹さんが階段を駆け降りるなんていうことは。つまり、小林さんの「予想」からすると、そのとき妹さんがドア向こうの階段を駆け降りているはずはなかったのかもしれませんね。


 いや、いっそ、そのことも、語弊があるかもしれませんけど、こう言い直してみましょうか。そのとき小林さんには、自信があったんだ、って。妹さんがドア向こうの階段を駆け降りているはずはないという自信が、って。


 いまこう推測しましたよ。


 深夜、ドア向こうの階段を駆け降りていく足音を聞いてギョッとし、とっさにつけ回してきている奴らだと閃いた


 家のなかには他に妹さんしかいなかったが、その妹さんがドア向こうの階段を駆け降りているはずはないという根拠のない自信があった、って。


 なら、そんな小林さんは、その足音をつけ回してきている奴らのものと決めつけることになりません?


 いまの推測を箇条書きにしてまとめるとこうなります。

  • ①政府に日中つけ回されたと思い込んでビクビクしていた小林さんは、夜中、「誰かがあわててドアの向こうの階段を駆け降りていく音がした」のを聞き、つけ回してきている奴らだととっさに閃いた(とっさに一可能性を思いつく)。
  • ②家のなかには他に妹さんしかいなかったが、その妹さんがドア向こうの階段を駆け降りているはずはないという根拠のない自信があった(他の可能性を不当排除する)。
  • ③当初の閃きにしたがって、足音を、つけ回してきている奴らのものと決めつける(勝手にひとつに決めつける/現実を自分に都合良く解釈する)


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2020年9月22日に文章を一部修正しました。


今回の最初の記事(1/6)はこちら。


前回の短編(短編NO.26)はこちら。


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