(新)Nothing happens to me.

科学の欠点、限界、見落としている大事なもの

統合失調症の「メッセージを受けとる」「世界は僕のためにある」「テレパシーで交信した」を理解するvol.7(統合失調症理解#14)(3/6)

*短編集「統合失調症と精神医学と差別」から短編NO.27


◆宮崎キャスター「一人が発狂しました」

 さらにテレビでは、「宮崎緑キャスターが、『アミノ酸製剤を四人に投与したところ、一人が発狂しました』という意味不明のニュースを報じた」と小林さんは言っていましたね。「『発狂』という言葉を聞いて、これも僕に関わるニュースだな、と直感した」とのことでしたよね。


 いまにもまた自分のことが報じられるのではないかとビクビクしながらテレビを見ていた小林さんは、キャスターが「発狂」と言ったのを聞いたと思ったこのときも、とっさに自分のことを言っていると閃いたのかもしれませんね。


 そしてそこでも、小林さんがそのとっさの閃きを疑うことはなかったということなのかもしれませんね。つまり、キャスターが小林さんのことを言ったのではない可能性などあるはずがないと小林さんには思われていたということなのかもしれませんね。


 でも、そのニュースが、小林さんのことを仄めかしていない、ただのニュースにすぎなかったことはほぼ確実なのではありませんか? 宮崎キャスターは「発狂」ではなく、「発症」と言ったのではないかと、みなさん、思いません? 報道番組でキャスターが「発狂」という差別用語を使うことはあり得ませんし、ここは文脈からして「発症」という言葉がぴったりくるような気が、みなさん、しませんか。


 小林さんが単に「発狂」と聞き違いをしただけで、おそらくキャスターはただのニュースを読んだにすぎませんね?


 だけど、自分がそんな聞き間違いをするなんて、小林さんにはまったく思いも寄らないことだった。小林さんの「予想」からすると、そのとき自分が聞き違いをしているはずはなかったのではないでしょうか。


 いや、いっそ、そのことも、語弊があるかもしれませんけど、こう言い直してみましょうか。小林さんにはそのとき自信があったんだ、って。自分が聞き間違いをしているはずはないという自信が、って。


 いまこう推測しましたよ。


 キャスターが「発症」と言ったのを「発狂と聞き間違えとっさにボクのことを言っていると閃いた


 しかし、自分が聞き間違いをしているはずはないという自信があった、って。


 では、そんな小林さんはそのあとどうしたのか。


 キャスターが「発狂」と言った理由が、他に思い浮かばず、やっぱりキャスターはボクのことを言っていると決めつけた、のではないでしょうか。


 箇条書きにして言うと、こういうことですよ。

  • ①いまにもまた自分のことを報じられるのではないかとビクビクしながらテレビを見ていた。そんなところで、キャスターが「発症」と言ったのを「発狂」と聞き違え、とっさに、ボクのことを言っていると閃いた(とっさに一可能性を思いつく)。
  • ②自分が聞き違いをしているはずはないという自信がある(他の可能性を不当排除する)。
  • ③当初の閃きにしたがって、キャスターはボクのことを言っていると決めつける(勝手に一つに決めつける/現実を自分に都合良く解釈する) 


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2020年9月22日に文章を一部修正しました。


今回の最初の記事(1/6)はこちら。


前回の短編(短編NO.26)はこちら。


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