(新)Nothing happens to me.

科学には、人間を理解することを妨げる理論的欠陥がある

2025-01-01から1年間の記事一覧

血管性認知症③④⑤⑥:「うつ状態」「自発性の低下」「情動失禁」「激しい物忘れ(まだら認知症)」の意味は何か(7/7)

*認知症の人間の言動は理解不可能か・第16回 (6/7に戻る←) 歳をとったり病気になったりすると往々にして気力が落ちると言われる。若かったり健康だったりした頃は、少々煩わしいことや骨の折れることであっても気力をふるってやりこなせていたが、今はも…

血管性認知症③④⑤⑥:「うつ状態」「自発性の低下」「情動失禁」「激しい物忘れ(まだら認知症)」の意味は何か(6/7)

*認知症の人間の言動は理解不可能か・第16回 (5/7に戻る←) ◆④情動失禁(感情をコントロールできない) では最後に、④「情動失禁(ささいなことですぐ涙ぐんだり、笑ったりする現象で感情をコントロールできない)」を見て終わろう。 ひとつ想像してみてほ…

血管性認知症③④⑤⑥:「うつ状態」「自発性の低下」「情動失禁」「激しい物忘れ(まだら認知症)」の意味は何か(5/7)

*認知症の人間の言動は理解不可能か・第16回 (4/7に戻る←) これまでもっていた意欲や興味を突然失い、何も手に付かず、ぼーッと時間を過ごすことが多くなっていたとしても、夜中フラフラと起き出してきては冷蔵庫の中から食べ物をとり出し、むさぼり喰ら…

血管性認知症③④⑤⑥:「うつ状態」「自発性の低下」「情動失禁」「激しい物忘れ(まだら認知症)」の意味は何か(4/7)

*認知症の人間の言動は理解不可能か・第16回 (3/7に戻る←) ◆「まだら認知症」 アルツハイマー型認知症と血管性認知症とでは、意欲や興味が減退してきた経過が往々にして異なるように思われる。 アルツハイマー型認知症ではどちらかというと、意欲や興味の…

血管性認知症③④⑤⑥:「うつ状態」「自発性の低下」「情動失禁」「激しい物忘れ(まだら認知症)」の意味は何か(3/7)

*認知症の人間の言動は理解不可能か・第16回 (2/7に戻る←) ◆⑥「激しい物忘れ」 アルツハイマー型認知症を検証しているときに一番初めに見た症状なるものは「物忘れが次第に激しくなる」で、それはこういう出来事ではないかと推測した。 〜〜〜〜〜〜〜〜…

血管性認知症③④⑤⑥:「うつ状態」「自発性の低下」「情動失禁」「激しい物忘れ(まだら認知症)」の意味は何か(2/7)

*認知症の人間の言動は理解不可能か・第16回 (1/7に戻る←) ◆③「うつ状態」と⑤「自発性の低下」 その前に、先に検証した①「運動性失語(言葉が自由に出てこない)」と②「感覚性失語(相手の言葉を理解できない)」はこういう状態を言うのではないかとのこ…

血管性認知症③④⑤⑥:「うつ状態」「自発性の低下」「情動失禁」「激しい物忘れ(まだら認知症)」の意味は何か(1/7)

*認知症の人間の言動は理解不可能か・第16回 (前回←) 現在、血管性認知症について検証している。 その経緯はこうである。 医学はひとを認知症や軽度認知障害などと診断し、「異常」と見なすことによってそのひとたちに「理解不可能」の烙印を押してきた。…

血管性認知症②:感覚性失語(相手の言葉を理解できない)は何を意味するか(5/5)

*認知症の人間の言動は理解不可能か・第15回 (4/5に戻る←) 特徴(c)は「意味不明な言葉を話していることに気付いていないことがある」である。それは、ひとつのことを話し終えるまでそのことに集中していられず、つい別のことに途中で気が向いてしまい、そ…

血管性認知症②:感覚性失語(相手の言葉を理解できない)は何を意味するか(4/5)

*認知症の人間の言動は理解不可能か・第15回 (3/5に戻る←) 先に見た①「運動性失語(言葉が自由に出てこない)」とおなじで、話すことに対する意欲や興味は十分にあるように見受けられる。そうでなければ、「多弁」になったりはしないだろう(先の説明1に…

血管性認知症②:感覚性失語(相手の言葉を理解できない)は何を意味するか(3/5)

*認知症の人間の言動は理解不可能か・第15回 (2/5に戻る←) たとえば、みなさんは論点Aについて話し終えてから、次の論点であるBに言及するつもりで話していた。すると、論点Aについての言及がもうすぐ終わりそうなところで、気がはやったのか、ふとみ…

血管性認知症②:感覚性失語(相手の言葉を理解できない)は何を意味するか(2/5)

*認知症の人間の言動は理解不可能か・第15回 (1/5に戻る←) 説明2 ウェルニッケ(感覚性)失語:ウェルニッケ野が損傷を受けると、話された言語と書かれた言語の理解が困難になります。この失語がある人は通常はよどみなく自然なリズムで話しますが、その…

血管性認知症②:感覚性失語(相手の言葉を理解できない)は何を意味するか(1/5)

*認知症の人間の言動は理解不可能か・第15回 (前回←) ◆感覚性失語(相手の言葉を理解できない) 現在、血管性認知症について検証している。 長谷川和夫著『よくわかる認知症の教科書』(朝日新書、2013年)には、血管性認知症で認められる認知機能の低下…

血管性認知症①:運動性失語(言葉が自由に出てこない)の意味は何か(5/5)

*認知症の人間の言動は理解不可能か・第14回 (4/5に戻る←) さて運動性失語は、コレコレこうしたことを表現するときにはコレコレこういった声音(言葉)を使っていくという意思の衰弱・喪失現象ではないかと推測したけれども、その意思の衰弱・喪失現象が…

血管性認知症①:運動性失語(言葉が自由に出てこない)の意味は何か(4/5)

*認知症の人間の言動は理解不可能か・第14回 (3/5に戻る←) 子供の母国語スピーキング能力習得や成人の外国語スピーキング能力習得時の初期段階で起こっているのは何か。 それは、言ってみれば、コレコレこうしたことを表現したいときにはコレコレこうした…

血管性認知症①:運動性失語(言葉が自由に出てこない)の意味は何か(3/5)

*認知症の人間の言動は理解不可能か・第14回 (2/5に戻る←) ◆運動性失語(言葉が自由に出てこない) では最初に、運動性失語の説明をもう少し詳しく聞いてみよう。 説明1 ブローカ(運動性)失語:ブローカ野が損傷を受けると、たいていの場合、言葉の意…

血管性認知症①:運動性失語(言葉が自由に出てこない)の意味は何か(2/5)

*認知症の人間の言動は理解不可能か・第14回 (1/5に戻る←) ◆アルツハイマー型認知症は、意欲や興味の減退に伴う意思の衰弱・喪失現象だったが その前に、アルツハイマー型認知症についての考察で確認したことをひとつ復習したい。アルツハイマー型認知症…

血管性認知症①:運動性失語(言葉が自由に出てこない)の意味は何か(1/5)

*認知症の人間の言動は理解不可能か・第14回 (前回←) 今回から血管性認知症の検証をはじめる。 認知症に分類される主な四つ、アルツハイマー病、血管性認知症、レビー小体型認知症、ピック病、を順にひとつずつとり挙げ、見ていくことにした。前回アルツ…

アルツハイマー型認知症⑨:着替えができなくなったり、同居家族の顔がわからなくなったりする(失行と失認の)理由(4/4)

*認知症の人間の言動は理解不可能か・第13回 (3/4に戻る←) ◆対象を認識できなくなる(失認) ではこの流れで、次の項目であるC(高度認知症)の①「対象を認識できなくなる(失認)」を考察しよう。その具体例として挙げられていたのは次のふたつである。…

アルツハイマー型認知症⑨:着替えができなくなったり、同居家族の顔がわからなくなったりする(失行と失認の)理由(3/4)

*認知症の人間の言動は理解不可能か・第13回 (2/4に戻る←) さていま、このBの②「失行」は、長年「馴染み」のものだった或る意思の衰弱・喪失現象ではないかと推測したけれども、そうした意思の衰弱・喪失を、誰しもかつて経験したことがあるか、もしくは…

アルツハイマー型認知症⑨:着替えができなくなったり、同居家族の顔がわからなくなったりする(失行と失認の)理由(2/4)

*認知症の人間の言動は理解不可能か・第13回 (1/4に戻る←) ◆失行 先の引用文に出ていたその具体例は次の二つである。 ボールペンなどこれまで当たりまえに使えていた道具が使えなくなる。 着替えができなくなる(着衣失行) これらについてまず考察してい…

アルツハイマー型認知症⑨:着替えができなくなったり、同居家族の顔がわからなくなったりする(失行と失認の)理由(1/4)

*認知症の人間の言動は理解不可能か・第13回 (前回←) 今回は、次に再掲載するアルツハイマー型認知症の症状一覧のなかから、B(中等度)の②「失行」とC(高度認知症)の①「失認」を見る。この一覧は、長谷川和夫著『よくわかる認知症の教科書』(朝日新…

アルツハイマー型認知症⑧:トイレの場所がわからなくなって失禁する理由(見当識が失われる・失見当のpart.3)(4/4)

*認知症の人間の言動は理解不可能か・第12回 (3/4に戻る←) ◆後半:失禁する ここでも先ほどと同じことに言及することとなる。 トイレを我慢した経験は誰にでもあるだろう。その際みなさんは、我慢しているその大もしくは小(以後ひと言で「用」と称す)を…

アルツハイマー型認知症⑧:トイレの場所がわからなくなって失禁する理由(見当識が失われる・失見当のpart.3)(3/4)

*認知症の人間の言動は理解不可能か・第12回 (2/4に戻る←) ◆前半:トイレの場所がわからなくなる(解釈その2) これまで繰り返し書いてきたように、アルツハイマー型認知症と呼ばれるのはこういう状態ではないかということだった。すなわち、それまでな…

アルツハイマー型認知症⑧:トイレの場所がわからなくなって失禁する理由(見当識が失われる・失見当のpart.3)(2/4)

*認知症の人間の言動は理解不可能か・第12回 (1/4に戻る←) ◆前半:トイレの場所がわからなくなる(解釈その1) ひとつ前の具体例ロ「自分のいる場所がわからなくなって道に迷う」ではふたつの解釈可能性を想定した。それらは、「馴染みだった道が見知ら…

アルツハイマー型認知症⑧:トイレの場所がわからなくなって失禁する理由(見当識が失われる・失見当のpart.3)(1/4)

*認知症の人間の言動は理解不可能か・第12回 (前回←) 今回は「トイレの場所がわからなくなって失禁する」を検証する。果してそれは医学が説いてきたようにほんとうに「理解不可能」な言動か。 が、その前にここまでの経緯を簡単にふり返ろう。 医学はひと…

アルツハイマー型認知症⑦:自分のいる場所がわからなくなって道に迷う理由(見当識が失われる・失見当part.2)(6/6)

*認知症の人間の言動は理解不可能か・第11回 (5/6に戻る←) 現在、アルツハイマー型認知症の「自分のいる場所がわからなくなって道に迷う」について、馴染みの道が見知らぬものと見えるようになったということである可能性を探っている。 その道が馴染みの…

アルツハイマー型認知症⑦:自分のいる場所がわからなくなって道に迷う理由(見当識が失われる・失見当part.2)(5/6)

*認知症の人間の言動は理解不可能か・第11回 (4/6に戻る←) ここまで、アルツハイマー型認知症についてこう推測してきた。すなわちそれは、これまでなら集中してすることができていた、料理や言葉のやりとりといったことに、意欲や興味が減退していて集中…

アルツハイマー型認知症⑦:自分のいる場所がわからなくなって道に迷う理由(見当識が失われる・失見当part.2)(4/6)

*認知症の人間の言動は理解不可能か・第11回 (3/6に戻る←) ◆意欲や興味の減退が進み、ついに意思が湧き上がってこなくなる 以上、先に復習した物の道理ふたつを用いて、アルツハイマー型認知症のロ「自分のいる場所がわからなくなって道に迷う」を検証し…

アルツハイマー型認知症⑦:自分のいる場所がわからなくなって道に迷う理由(見当識が失われる・失見当part.2)(3/6)

*認知症の人間の言動は理解不可能か・第11回 (2/6に戻る←) ◆「上の空」で歩いていて、事をし損じる こうしていまみなさんはどこにいるかわからない。そこでおそらく、居場所を特定するためにみなさんは周囲を見回してみるとか、歩いてみるとかして情報を…

アルツハイマー型認知症⑦:自分のいる場所がわからなくなって道に迷う理由(見当識が失われる・失見当part.2)(2/6)

*認知症の人間の言動は理解不可能か・第11回 (1/6に戻る←) ◆「上の空」で歩いていて、ふと我に返る ここまで、アルツハイマー型認知症と診断される状態についてこう推察してきた。すなわち、それまでなら集中してすることができていた、たとえば料理や言…