(新)Nothing happens to me.

科学はボタンをかけ違えたまま来たのではないでしょうか。

「原因をさがし求めて」

カワグチは不意に或る疑問に襲われた。科学は、適切な原因特定法によって原因を特定しているのだろうか。もしその原因特定法に重大な欠陥があれば研究不正が止むことはないと考えられるが−−−出来事を一点のせいにすることはできないと主張する著者が描くカワグチ・サチジ冒険シリーズが不評のうちに早くも第2弾を迎える。

なぜ物理学では想定しない原因を生きものについては想定するのか

原因をさがし求めて第9回 原因さえ先に特定しておけば、解明がちっとも進まなくても、原因部分だけ気にしていればいいことになる。そこさえとり除けばいいと考えて治療もできる(治療法として成立しているかどうかについてはここでは触れない)。がん細胞が…

なぜ原因丸々ひとつは見つからないのか

原因をさがし求めて第8回 はじめにみた原因特定法は、原因を満足に特定できるシロモノではなかった。そして、ふたつ目の原因確認法では、原因の一部分がこのように突きとめきれないまま必ず残る。 以上から言えるのは、しっかりした原因特定法(二つ目の特…

原因丸々ひとつが特定できない

原因をさがし求めて第7回 しかし、この原因確認法にも別の問題があるのである。 この原因確認法でいま、物質Aが、がん細胞を生じさせる原因なのかどうか、確かめた。けれども、物質Aは本当に、がん細胞を生じさせる「原因丸々ひとつ」なのだろうか。物質…

ふたつ目のほう

原因をさがし求めて第6回 さきほど見た原因特定法で原因を特定するのは危険すぎる。 では、これからあげる原因特定法ではどうか。 ある物質があるとする。物質Aと名づける。それは、発がん性物質ではないかと疑われている。だが、確証はまだない。そこで、…

冤罪を隠蔽するてぐち

原因をさがし求めて第5回 さらにこの原因特定法が恐ろしいのは、こうした冤罪を隠蔽する手口を隠しもっていることである。その手口を私はひそかに逆推理と呼んでいる。 たとえばあるひとが、嘔吐と腹痛と下痢を主症状とする状態を呈したとする。で、そうし…

原因ではないものが原因と決めつけられる冤罪

原因をさがし求めて第4回 しかし、つぎのように考えて、この特定法で原因を特定することができると言うひともいるかもしれない。 すなわち、認知症になったひとの事例を複数集め、認知症の原因を特定しようとしていると、偶然、ひとつの事例のなかの、ある…

同じ原因から生じたのか、別々の原因から生じたのか

原因をさがし求めて第3回 手順最初からあらためて、いま述べたことを確認する。 何度もいうように、私が認知症になったという出来事ひとつしか見ないのでは、私の身体のなかのどの部分を、認知症を生じさせた原因部分と認定すればよいか見当はつかない。そ…

ひとつ目のほう

原因をさがし求めて第2回 事故や病気といった出来事が起こった場合、ひとはその原因を特定しようとする。ではその原因を、この出来事ひとつだけしか見ずに特定することはできるか。 できない。その出来事しか見ないのでは、その出来事のなかのどの部分を、…

よみがえってきた瞬間

原因をさがし求めて第1回 先日ふとしたときに私、カワグチのもとへ、あるひとつの疑問がまざまざとよみがえってきた。20歳代の10年間、ずっと不思議に思っていた疑問だった。とうとう青春をとり逃がしてしまうことになったくらい、当時の私はその疑問に釘づ…