(新)Nothing happens to me.

科学はボタンをかけ違えたまま来たのではないでしょうか。

ふたつ目のほう

原因をさがし求めて第6回

 さきほど見た原因特定法で原因を特定するのは危険すぎる。


 では、これからあげる原因特定法ではどうか。


 ある物質があるとする。物質Aと名づける。それは、発がん性物質ではないかと疑われている。だが、確証はまだない。そこで、こういう方法で白黒つけようということになる。


 被験者を複数集めてくる。彼らを、数が同じ2グループに分ける。ただし、よく調整して、この2グループが互いによく似通っているもの同士になるようにしなければならない。


 互いによく似通ったグループをこのように2つつくっておいて、いっぽうはそのままにし、残りのグループのみ、発がん性物質ではないかと疑われる物質Aにさらす。


 そしてしばらく待ったあと、この2グループをそれぞれ調べる。〈物質Aにさらされなかったグループ〉のなかには、がん細胞のできた者がほとんどいなかったとする。そして、〈物質Aにさらされたグループ〉からは、がん細胞のできた者が、〈物質Aにさらされなかったグループ〉からよりも多く出たとする。するとこのことから、物質Aは、がん細胞を生じさせる原因であると確認されたことになる(実際はこんな大雑把ではないだろうが)。


 これがふたつ目の原因特定法である。原因確認法と言ったほうが適切なのだろうけれども。


 なぜこの方法で原因かどうか確認できたのか。〈物質Aにさらされなかったグループ〉では、がん細胞ができた者はほとんどいなかった。まずそのことから、この〈物質Aにされられなかったグループ〉の被験者たちの身体のなかには、がん細胞を生じさせる原因がなかったことが確かめられたことになる(えげつなくも、がん細胞ができた少数者の存在を無視するわけである)。で、この〈物質Aにさらされなかったグループ〉の被験者たちと、〈物質Aにさらされたグループ〉の被験者たちとの間にあるちがいは、物質Aにさらされたか、さらされなかったかだけである(もともとこの両グループはたがいによく似通っているもの同士になるよう構成員が揃えられてあった)。したがって、〈物質Aにさらされなかったグループ〉の被験者たちの身体のなかに、がん細胞を生じさせる原因がなかったのなら、〈物質Aにさらされたグループ〉の被験者たちの身体のなかに、もし、がん細胞を生じさせる原因があったのだとすればそれは、物質Aだけだったということになる。


 そんななか、じっさいに〈物質Aにさらされたグループ〉からは、〈物質Aにされされなかったグループ〉からよりも、がん細胞のできた者が多く出た。


 したがって、このことから、〈物質Aにさらされたグループ〉の被験者にがん細胞を生じさせた原因は、物質A以外に考えられないということになるわけである。


 たしかにこの方法でなら、ひとつ目の原因特定法みたいに、原因がたったひとつなのか、それとも複数あるのかを気にする必要はない。


 ここで私たちはひとつの結論を得ることができたように思われる。最初にみた原因特定法は原因特定につかえるシロモノではなかった。冤罪の可能性があって危険すぎた。よって原因を特定するには、今みたばかりの原因確認法によるしかないということになりそうである。


 じっさいこの原因確認法が、こんにち、原因特定のさいに科学で使われてる方法なのではないだろうか。

つづく


今回はこのシリーズ第6回目でした。

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