(新)Nothing happens to me.

科学には人間を理解することが絶対にできない理由がある

副作用等を軽視する治療を受けて逆に損をする

みなさんにとって「治る」とは「苦しまずに居てられるようになること」ではないでしょうか。しかし医学は、「治る」とは正常になることとしてきました。そして、正常になるためには、病気の原因をとり除かなければならないとし、その原因なるものをとり除くためには、治療からこうむる苦しさ(副作用・毒性・副反応)は、余程のことがない限り(即死するとかいうことがない限り)、我慢するのが当然だとしてきたのではなかったでしょうか(ガン治療はその最たるものかもしれませんね)。その結果、少なくないひとたちが、治療を受け、逆に損をしてきたのではないでしょうか。

質問「この治療を受けると、寿命が2倍に伸びます。受けますね?」と言われたら、みなさんはどう反応するか?(1/8)

目次・70歳男性(余命6ヶ月)、延命効果6ヶ月の抗がん剤治療を勧められる・準備運動①「給付期間を2倍に伸ばすことができます。どうしますか?」・準備運動②「みなさんは何を健康、病気という言葉で表現しようとするか?」・生存期間が2倍になる治療を勧めら…

コロナワクチンについて思った或るひとつのこと(別に込み入ったことも決定的なことも書いていませんが、気分が悪くなるかもしれません。閲覧ご注意ください)

コロナワクチンについて、いろんなことが言われていますよね。効く、効かない、害がある、害が出てきた、他の病気にも効いている等々。 果して、ほんとうのところはどうなんでしょうね。 統計を挙げてきて、だからこうだ、だからああだと、いつもたったひと…

医学の副作用の侮り方その2、いきなり「夢の新薬」と高らかに謳いあげる(1/5)【医学は副作用を侮ってきた? part.5】

*短編集「統合失調症と精神医学と差別」の短編NO.46 目次・胸に兆す「そんなうまい話はあるのだろうか」という疑念・で、実際、そんなうまい話はあったのか・One man's meat is another man's poison.という絶対真理 統合失調症と診断されたひとたちに使用…

「たいしたことのある」副作用を「たいしたことがない」と侮る医学の見方 (1/4)【医学は副作用を侮ってきた? part.4】

*短編集「統合失調症と精神医学と差別」の短編NO.45 目次・医学による、健康、病気の独自な定義・身体に起こる出来事についての医学の独自解釈・医学の、一点をとり除けさえすれば至上主義 いま、統合失調症と診断されたひとたちに使用される薬の副作用につ…

みなさんのふだんの見方を用いて、副作用がほんとうに「たいしたことがない」のか、検証する(1/4)【医学は副作用を侮ってきた? part.3】

*短編集「統合失調症と精神医学と差別」の短編NO.44 目次・薬を飲むことによって、当初の「苦しさ」を別の「苦しさ(副作用)」と交換する・薬を飲むことによって、苦しさは「かえって酷くなった」のか、それとも「マシになった」のか・薬を飲むことによっ…

副作用を我慢してでも治療を受けるべきとみなさんが判断するのはどんな時か(1/5)【医学は副作用を侮ってきた? part.2】

*短編集「統合失調症と精神医学と差別」の短編NO.43 目次・そもそもみなさんは何を、健康、病気と見るか・A.治療を受けてかえって苦しさが酷くなる場合・B.治療を受け、苦しさがマシになる場合・みなさんは苦しさを比較したあと、生存期間の延長・短縮…

ひょっとすると(精神)医学が勝手に副作用を「たいしたことがない」と侮ってきただけかもしれないという暗い予感(1/2)【医学は副作用を侮ってきた? part.1】

*短編集「統合失調症と精神医学と差別」の短編NO.42 医学はいッつも、治療(治療薬や手術等)の副作用はたいしたことがないと言いますよね。 でも、みなさん、ほんとうにそうだと思います? たしかに、これといった副作用をこうむらない患者さんもたくさん…

みなさんが診察室や病室でする「訴え」と「要望」は(精神)医学には届かない(1/7)【統合失調症理解#19】

*短編集「統合失調症と精神医学と差別」から短編NO.41 目次・女性の「訴え」と「要望」はそれぞれ何か・この女性の「訴え」は何か・この女性の「要望」は何か・健康、病気という言葉の意味からも考える・みなさんの「訴え」と「要望」は医学に伝わっている…

治療がときにひどくつらいことが示す意味

*科学するほど人間理解から遠ざかる第2回 西洋学問ではこれまで、快さ苦しさは何であるか理解されてこなかったと最初に申し上げ、そのことは、健康や病気についてすこし考えてみるだけでもすぐ明らかになると申し添えました。 本題に入るまえにもうしばら…

異常なひとを無くすことを医学の目的にするのは危険

*障害という言葉のどこに差別があるか考える第21回 科学は健康を正常であること、病気を異常であることと定義し、医学を「異常なひとを無くす営み」と考えます。このように「異常なひとを無くす」ことを医学の目的にするのがいかに危険なことか、確認中です…

異常を正常に矯正することを治療の目的とするのは危険

*障害という言葉のどこに差別があるか考える第20回 科学にとって、健康とは正常であること、病気とは異常であること、医学とは「異常なひとを無くす営み」です。 第1部と第2部では(いまは第3部のまっただ中)、科学によるそうした健康、病気の定義づけ…

副作用とか毒性というものを医学は十分に気にしてきたか

*身体をキカイ扱いする者の正体は第12回 みなさんお元気でしょうか。お目にかかるのは、細かいことを抜きにして申しますと、3ヶ月ぶりといったところかと存じます。たいへんご無沙汰しております。 以前、俺が何をモゴモゴと申し上げている途中だったか、…

みなさんは治療を受けるかどうかお決めになる際、損得計算をなさる

*身体をキカイ扱いする者の正体は第11回 機械にしか用いることのできない正常異常という振り分けかたを、機械ではない身体に用いるというのは、「世界によって定められたありようを身体が呈していないこと」を問題にすることでした。世界によって身体はみん…

医療処置は快さや苦しさを考えてするものか、正常異常を考えてするものか

*治療の苦しみに耐えれば耐えるほど失敗に近づく第3回 こういうことを確認しました。 息がしにくいという状態から、息がしやすいという状態になることを目的とする医療処置を受け、実際に息がしやすくはなるものの、息がしにくいというのとは別のあらたな…

治療目的はほんとうにそれでいいのか、それで大損することはないか

*治療の苦しみに耐えれば耐えるほど失敗に近づく第2回 たとえば、みなさん、ご自分の息がしにくくなるものと仮定してみてください。そして、そのときにみなさんが医療処置を受けようとお考えになるなら、何を目的とするものをお求めになるか、ちょっと想像…

科学の目には映らなくなるこの世でもっとも大事なもの

*治療の苦しみに耐えれば耐えるほど失敗に近づく第1回 先日「科学は存在同士のつながりを切断してから考える*1」と題した文章を書きました。そこで書きましたのは簡単に申しますと、こういうことでした。科学は事のはじめに、存在同士のつながりを切断しま…