(新)Nothing happens to me.

科学の欠点、限界、見落としている大事なもの

治療がときにひどくつらいことが示す意味

*科学するほど人間理解から遠ざかる第2回

 西洋学問ではこれまで、快さ苦しさは何であるか理解されてこなかったと最初に申し上げ、そのことは、健康や病気についてすこし考えてみるだけでもすぐ明らかになると申し添えました。


 本題に入るまえにもうしばらくグダグダ言わせてください。


 健康を苦しくない状態がつづくこと、病気を苦しい状態がつづくことと素直におとりになるみなさんにとって、治るとは苦しくなくなること、いっぽう治療とは苦しくなくなるのに役立つもの、です。


 医学がみなさんに勧める治療には、受けるとしばしば、副作用とか毒性とか副反応とかとよばれる苦しみをあらたにこうむることになるものがあります。したがってみなさんはそうした治療を受けるかどうかお決めになるさい、治療を受ける場合と、治療を受けない場合のふたつをまずご想像になって比較考量なさいます。そして前者の、治療を受ける場合のほうが、治療を受けない場合より、苦しさが最終的にマシになるとご判断になれば、治療を受けることにお決めになり、反対に前者の、治療を受ける場合のほうが、治療を受けない場合より、苦しさが最終的に酷くなるとご推測になれば、当の治療を受けないことになさいます


 ところが、医学は患者に治療を施すかどうか決めるさい、そうした比較考量をしてきませんでした(していた誠実な医師もいたでしょうけれども)。


 健康を正常であること、病気を異常であることと定義する医学にとって、治るとはあくまで正常になること、治療とは正常になるのに役立つもの、にすぎません。医学は、患者が正常になるかどうか、や、異常にならないかどうか、しか考えませんみなさんなら、いま申し上げた比較考量をなさって、治療を受ける場合のほうが、治療を受けない場合よりも、苦しさが最終的に酷くなるとご判断になり、治療を受けないとお決めになるようなときですら、医学は患者を正常にするためにと言って、もしくは患者が異常になるのを避けるためにと言って治療を施してきました。

百歳まで生き、ガンで死のう。

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「がんと闘うな」論争集―患者・医者関係を見直すために (メディカルトリビューンブックス)

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 そして治療を受けたあと、断然ひどく苦しむようになった患者を見ても、「治療は成功した。病気が思っていた以上に重篤だったのだ」という決めぜりふを口にして済ませてきました。


 患者にそんなことができてきたのはまさに、快さ苦しさが何であるか理解できていなければこそなんじゃないでしょうか。


 グダグダ申し終わりました。


 この文章では、冒頭で宣言しましたように、快さ苦しさが何であるか確認します。


 以下、目次です、おおざっぱな。

第1部.快さ苦しさとは何であるか確認する*1

第2部.西洋学問ではなぜ快さ苦しさを理解できてこなかったのか確認する*2

第3部.西洋学問では快さ苦しさをどのようなものと解するのか確認する*3

つづく


前回(第1回)の記事はこちら。


このシリーズ(全32回)の記事一覧はこちら。

 

*1:このシリーズの第3回から第7回までが第1部に当たります。

第3回


第4回


第5回


第6回


第7回 (第1部最終)

*2:第2部は第8回から第19回③までです。

第8回


第9回


第10回


第11回


第12回


第13回


第14回


第15回


第16回


第17回


第18回


第19回(第2部最終)

*3:第3部は第20回から第31回までです。ちなみに第32回がこのシリーズの最終回です。

第20回


第21回


第22回


第23回


第24回


第25回


第26回


第27回


第28回


第29回


第30回


第31回