*短編集『統合失調症と精神医学の差別』の短編NO.64 みなさんはすでに知っている。「異常」なひとなどこの世にただのひとりたりとも存在し得ないというのが事実であることを。したがって、誰かを「異常」と判定するのが差別以外の何ものでもないということ…
*短編集『統合失調症と精神医学の差別』の短編NO.64 ここまで、統合失調症による「妄想」として扱われてきた、当該女性の発想①から④を見てきて、みなさんはそれらのもとに、「自分の考えをあくまでも疑うことがない」という当該女性の姿勢を認めてきました…
*短編集『統合失調症と精神医学の差別』の短編NO.64 ◆周囲のすべてが敵に思える 当該女性はこの段階に行き着くまでのあいだに、テレビをつけては、「アナウンサーがわたしの噂話をしている」(発想①)と受けとり、外に出ては「周囲に監視されている」(発想…
*短編集『統合失調症と精神医学の差別』の短編NO.64 ◆電車で隣に座っていた人の貧乏ゆすりを自分への暗号だと信じ込む その貧乏ゆすりを見たとき、当該女性の脳裏に、自分への暗号だという考えが閃いた。そう閃くだけの何か十分な理由があったのだろうと、…
*短編集『統合失調症と精神医学の差別』の短編NO.64 ◆外出先で周囲に監視されていると思い込む ②は「外出先で周囲に監視されていると思い込む」で、③は「電車で隣に座っていた人の貧乏ゆすりを自分への暗号だと信じ込む」でした。 先に②から。 みなさんはこ…
*短編集『統合失調症と精神医学の差別』の短編NO.64 ◆自信にもとづく現実修正解釈を別の角度から いま、当該女性の「テレビでアナウンサーがわたしの噂話をしている」という発想についてみなさんは考察しました。まとめると、こういうことでした。 「現実」…
*短編集『統合失調症と精神医学の差別』の短編NO.64 当該女性は、テレビでアナウンサーが話しているのを聞き、劣等感を覚えたのかもしれない。たとえば、自分の至らなさを痛感させられたり、自分が失敗した場面を思い出させられたりしたのかもしれない。 け…
*短編集「統合失調症と精神医学の差別」の短編NO.64 ◆思い出された実例「授業中に先生がわたしのことを話している」 幻聴がしょっちゅう聞こえるようになって一七年が経った。今年(二〇〇四年)の夏で一八年に入る。高校生のとき、授業中に先生がわたしのこ…
*短編集『統合失調症と精神医学の差別』の短編NO.64 ◆「テレビのニュースでアナウンサーがわたしの噂話をしている」 その記事のなかに、こう書かれている部分がありました。以後、その部分について考察していきます。 テレビのニュースでアナウンサーが自分…
*短編集『統合失調症と精神医学の差別』の短編NO.64 目次・「テレビのニュースでアナウンサーがわたしの噂話をしている」・思い出された実例「授業中に先生がわたしのことを話している」・自信にもとづく現実修正解釈を別の角度から・外出先で周囲に監視さ…
*短編集『統合失調症と精神医学の差別』の短編NO.63 ◆みなさんが医学の根本姿勢に違和感を抱き続けてきた形跡 現にみなさんが、そうしたことどもに勘づいていたらしい形跡を、俺たちは歴史のうちに認めることができます。 その形跡というのは、優生思想とい…
*短編集『統合失調症と精神医学の差別』の短編NO.63 ◆みなさんが勘づいていたもうひとつのこと 誰かの実際のありよう。それが、みなさんの頭のなかにある「ひととはコレコレこういうものだ」というイメージに合致していないと見えたとき、みなさんがほんと…
*短編集『統合失調症と精神医学の差別』の短編NO.63 ◆みなさんの鋭い勘が覚えた違和感 その違和感とはこれのことです。 今日に至るまで、われわれは長いあいだ、健康とは正常であること、病気とは異常であることと定義づけ、多くのひとたちを異常と判定して…
*短編集『統合失調症と精神医学の差別』の短編NO.63 目次・みなさんの鋭い勘が覚えた違和感・みなさんが勘づいていたもうひとつのこと・みなさんが医学の根本姿勢に違和感を抱きつづけてきた確かな形跡 いま、すさまじい勢いで、続々と、化けの皮が、ありと…
*短編集『統合失調症と精神医学の差別』の短編NO.62 ◆⑤医学とは「優生思想」の実践である 医学のこの多様性の否定は、詳しく言うとこういうことでした。最後にもう一度、ふり返ってみます。 医学がおのれの使命とする「異常なひとを無くす」とは、 「標準を…
*短編集『統合失調症と精神医学の差別』の短編NO.62 ◆④ほんとうの多様性の肯定とは 異常な人間などこの世にただのひとりたりとも存在し得ない。したがって、誰しも、標準以上(医学が勝手に狭めて定めた正常領域)になることを、他人に強制されるいわれは基…
*短編集『統合失調症と精神医学の差別』の短編NO.62 ◆③医学とは「多様性の否定」である さあ、ここまで、どうですか? ひょっとすると、ダラダラと話しすぎて、論点がぼやけてしまっているかもしれませんね? この文章の主題はこういうものでした。先に進む…
*短編集『統合失調症と精神医学の差別』の短編NO.62 ◆②医学に不当にも異常と決めつけられ、差別されてきたのは誰か それは、以前から何度も確認していますように、いわゆる「標準を下回っているひとたち」です。 医学は社会通念に無批判に基づき、世間がや…
*短編集『統合失調症と精神医学の差別』の短編NO.62 そもそも医学が、やれ健康だ、やれ病気だとさかんに言うことによって争点にしてきたのは、「苦しくないか、苦しいか」ではありませんでした。つまり、治る、を医学は「苦しまないで居てられるようになる…
*短編集『統合失調症と精神医学の差別』の短編NO.62 ◆①医学を医学たらしめるものは何か まず、医学を医学たらしめるものについて考えるところから始めますね。 医学をまさに医学たらしめるものは何か。 つまり、医学がおのれの使命とすべきところは何だと、…
*短編集『統合失調症と精神医学の差別』の短編NO.62 目次・科学が多様性を肯定する言葉を口にしているときにみなさんが感じること・①医学を医学たらしめるものは何か・②医学に不当にも異常と決めつけられ、差別されてきたのは誰か・③医学とは「多様性の否定…
*短編集『統合失調症と精神医学の差別』の短編NO.61 いま言ったことをまとめるとこうです。 A.正常=理解可能 B.異常=理解不可能 さて、数回前の短編で、「この世に異常なひとなど、ただのひとりも存在し得ない。言うなればひとはみな、正常である」(…
*短編集『統合失調症と精神医学の差別』の短編NO.61 いま、みなさん、そのひとがそのように泣いているのを「わかる」と言いましたね? 「理解できる」と言ったわけですね? これはつまり、こういうことではありませんか。そのひとの実際のありようが、こち…
*短編集『統合失調症と精神医学の差別』の短編NO.61 ◆「現実」が「イメージ」に合致するとは、しないとは 数回前の短編で、この世に異常なひとなどただのひとりも存在し得ないということを、イメージというものを使って改めて確認しましたよね。それを踏ま…
*短編集『統合失調症と精神医学の差別』の短編NO.61 目次・医学は一部のひとたちに「理解不可能」の烙印を押してきた・「現実」が「イメージ」に合致するとは、しないとは ◆医学は一部のひとたちに「理解不可能」の烙印を押してきた この短編集「統合失調症…
*短編集『統合失調症と精神医学の差別』の短編NO.60 ◆「〜になるのを妨げられている」を世間では障害と表現する さあ、身体に起こる出来事を一点のせいにする医学のもとでは、ひとを異常と判定するというのは、そのひとのことをこう見ることであるといま確…
*短編集『統合失調症と精神医学の差別』の短編NO.60 ◆異常を身体のなかの一点のせいにすると、その一点に正常になることを妨げられていることになる さて、そんな差別をする医学は、身体に起こる出来事を、身体のなかの一点のせいにします。 医学は、ひとが…
*短編集『統合失調症と精神医学の差別』の短編NO.60 目次・異常という言葉は差別用語である・異常を身体のなかの一点のせいにすると、その一点に正常になることを妨げられていることになる・「〜になるのを妨げられている」を世間では障害と表現する ◆異常…
*短編集『統合失調症と精神医学の差別』の短編NO.59 ◆いっぽうの不合致はあがめ、もういっぽうの不合致は問題視する いま言ったことをまとめると、こういうことですよ。 ①Bのひとたちの実際のありようを、こちらがひとというものに対してもっている「ひと…
*短編集『統合失調症と精神医学の差別』の短編NO.59 ◆正常か異常かを決める基準はどこから来るか ひとを正常と判定するというのはこういうことでした。 そのひとの実際のありようと、こちらがひとというものに対してもっている「ひととはコレコレこういうも…