*短編集「統合失調症と精神医学と差別」の短編NO.59
目次
・異常という言葉は差別用語である
・異常を身体のなかの一点のせいにすると、その一点に正常になることを妨げられていることになる
・「〜になるのを妨げられている」を世間では障害と表現する
◆異常という言葉は差別用語である
この短編集「統合失調症と精神医学と差別」のなかで以前に確認したつぎの5つの基本事項を、そのときにもちいたのとは別の、もっと簡単なやり方で、順に再確認しているところです。
今回はつぎの4を見ますよ。
- 正常、異常とは何か(短編NO.1)。
- 異常なひとはこの世にただのひとりも存在し得ない(短編NO.2)。
- 医学の名のもと不当にも異常と決めつけられ、差別されるのは、誰か(短編NO.3)。
- 障害、障がい、障碍、はどれもみな差別用語である(短編NO.4)。
- この世に「理解不可能」なひとなどひとりたりとも存在し得ない(短編NO.6)。
つい最近、異常なひとなどこの世にただのひとりも存在し得ない(前掲2)ということを再確認しましたよね。言うなれば、ひとはみな正常ということでしたね。ひとを異常と判定するというのは、ほんとうは他のみんなとおなじく正常と判定されるべきそのひとのことを、不当にも異常と決めつけ、差別することなんだ、ということでしたね。
となると、異常という言葉は差別用語であることになりますね。
「異常という言葉は差別用語である」と確認したこのところから、今回は考察をはじめます。
では最初に、ひとを異常と判定するというのが、何をどうすることだったか、ひとつ思い出してみてくれますか。
そうですね。ひとを異常と判定するというのは、
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①そのひとの実際のありようを、こちらがひとというものに対してもっている「ひととはコレコレこういうものだ」というイメージに、合致していないと見、
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②その合致していないことをもって、そのひとを、問題有りと考えること、
でしたね。
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正常と異常についての詳しいことは下の記事に書いています。
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2023年11月22日に文章を一部修正しました(内容は変わっていません)。
*前回の短編(短編NO.58)はこちら。
*このシリーズ(全61短編を予定)の記事一覧はこちら。