(新)Nothing happens to me.

科学には人間を理解することが絶対にできない理由がある

障害、障がい、障碍、はどれもみな差別用語であるということを、別のもっと簡単な仕方で確認する(3/3)【短編NO.4の補足】

*短編集『統合失調症と精神医学の差別』の短編NO.60


◆「〜になるのを妨げられている」を世間では障害と表現する

 さあ、身体に起こる出来事を一点のせいにする医学のもとでは、ひとを異常と判定するというのは、そのひとのことをこう見ることであるといま確認できました。すなわち、そのひとは、こちらがひとというものに対してもっている「ひととはコレコレこういうものだ」というイメージに合致するありようになるのを身体のなかの一点によって妨げられているんだ、って。


 で、この、当のイメージに合致するありようになるのを身体のなかの一点によって妨げられているということが、障害という一言で表現されることになるわけです。


 なぜか。


 ちょっとここで、通信障害とか電波障害、といった世間でひんぱんに使われる用語について考えてみることにしますよ。


 いったい世間では何のことを通信障害とか電波障害と呼んでいるのか。


 通信システムや電波システム(?)の動作が、こちらの期待どおりに作動するのを、障害物によって妨げられていること、もくしはその状態を世間では、通信障害とか電波障害と呼んでいるのではありませんか。


 要するに、世間のひとたちは、その障害という言葉で、「〜になるのを、障害物によって妨げられている」という意味合いのことを表現しようとしているのではありませんか。


 では、最後にここでひとつ思い出してみてくださいよ。つい先ほど、ひとを異常と判定するというのは、そのひとのことをこう見ることであると確認しましたよね。


 そのひとが、こちらの頭のなかにある「ひととはコレコレこういうものだ」というイメージに合致するありようになるのを、そのひとの身体のなかの一点によって妨げられていると見ることである、って。


 その「身体のなかの一点によって妨げられている」は、ちょうどいま確認した、「〜になるのを障害物によって妨げられている」に当てはまりますよね? よって、世間の表現の仕方にしたがえば、障害というひと言で表現されることになりますね?


 身体に起こる出来事を一点のせいにする医学のもとでは、異常は障害と同義ということになりますね、


 以上、双極性障害とか発達障害とかと言うときの、障害という言葉は異常と同義であって、差別用語であるということが明らかになりました(異常が差別用語であることは最初に確認しておいたとおりです)。と同時に、その障害という言葉を、障がいとか障碍と表記してみても、差別用語でなくなることはないということも、はっきりしたのではないでしょうか。


 次回は、つぎの5を再確認します。

  1. 正常、異常とは何か(短編NO.1)。
  2. 異常なひとはこの世にただのひとりも存在し得ない(短編NO.2)。
  3. 医学の名のもと不当にも異常と決めつけられ、差別されるのは、誰か(短編NO.3)。
  4. 障害、障がい、障碍、はどれもみな差別用語である(短編NO.4)
  5. この世に「理解不可能」なひとなどひとりたりとも存在し得ない(短編NO.6)。





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2023年11月22日に文章を一部修正しました(内容は変わっていません)。


*今回の最初の記事(1/3)はこちら。


*前回の短編(短編NO.58)はこちら。


*このシリーズ(全64短編を予定)の記事一覧はこちら。