(新)Nothing happens to me.

科学には人間を理解することが絶対にできない理由がある

(題)進化論はこの世をたった1色でぬりつぶすんだね

進化論にひとが覚える正当な違和感は、利己至上主義と自然淘汰観に秘密があります。

劣っているけど、ふるいにかけられずにいるよ

*進化論はこの世をたった1色でぬりつぶすんだね第24回 「誰が生き残るのか」という問いへの答えは、「他を押しのける者」ではないように思われます。周りを見ましてみます。果たしてほんとうに「優れた者(強い者、適者)が生き残り、劣った者(弱い者、不…

ジイジやバアバの言うこともあながち悪くないね

*進化論はこの世をたった1色でぬりつぶすんだね第23回 進化論は、「誰が生き残るのか」という問いを立て、それに「他を押しのける者」と答えるものです。けれども進化論が実際に立てるべき問いは、「跡継ぎがつぎつぎと続いていくのは何か」ではないかとい…

進化論とはこういうものだとずばり言ってみるよ

*進化論はこの世をたった1色でぬりつぶすんだね第22回 ドーキンス進化論を検証することを通して、進化論に触れてきました。そんな俺たちにはいまや進化論を、「生き残るのは誰か」という問いを立て、それに「他を押しのける者」と答えるものだと言えるよう…

利己至上主義は伝統だと思う?

*進化論はこの世をたった1色でぬりつぶすんだね第21回 さて、『利己的な遺伝子*1』を読んでいますと、是が非でも、この世を利己的行為一色にぬりつぶしたいという、進化論者の熱い気持ちがひしひしと俺には伝わってきます。そして、この熱い気持ちを、俺は…

終わりにさしかかってきたよ

*進化論はこの世をたった1色でぬりつぶすんだね第20回 ここまで、ドーキンスの進化論的世界観を、利益と不利益がどのように見られているかという点に着目して見てきました。 生物個体には、「利益の与えあい」も利他的行為も無く、ただ利己的行為のみが存…

生存競争というのはイス取りゲームだね

*進化論はこの世をたった1色でぬりつぶすんだね第19回 じっさいドーキンス進化論の礎であるダーウィンは、マルサスの『人口論』を読んでいて進化論に思いいたったと言っています。 第3章で論じるのは、この世のすべての生物が、指数関数的な高い増加率を…

誰にも迷惑をかけないで利益を得ることはできないかな

*進化論はこの世をたった1色でぬりつぶすんだね第18回 また、これとは別のご指摘もあるかもしれません。 たとえば、俺たちの挙げた、利己的行為、利他的行為、「利益の与えあい」という三つのほかにも、利益の得かたには、単独で利益を得るとかいろいろあ…

進化論にも裏の顔があるんじゃないかな

*進化論はこの世をたった1色でぬりつぶすんだね第17回 しかし、ドーキンスのこの論理展開には、すくなくとも二箇所、明らかに無理がありました。理論と現実とが背反したときに、現実にあうよう理論を修正すべきところで、反対に、現実を理論にあうよう修正…

ドーキンス進化論をまとめるよ

*進化論はこの世をたった1色でぬりつぶすんだね第16回 さて、俺たちは、利益と不利益をコインの表裏のようにつねに表裏一体とする進化論の見方をあらため、いまやこの世界には利己的行為や利他的行為のほか、「利益の与えあい」もまた存在しているとみとめ…

進化論は仲間はずれをどうお考えなのかな

*進化論はこの世をたった1色でぬりつぶすんだね第15回 「第三者の押しのけ」とは何だとみなさんはお思いでしょう。 利己的な遺伝子 <増補新装版> 作者: リチャード・ドーキンス,日高敏隆,岸由二,羽田節子,垂水雄二 出版社/メーカー: 紀伊國屋書店 発売日: …

利益と不利益をコインの表裏のように見るのはやめようよ

*進化論はこの世をたった1色でぬりつぶすんだね第14回 ドーキンスは利益と不利益をつねに表裏一体とみなします。したがって、他に利益を与えると「かならず」自分が不利益をこうむることになって、「他に利益を与え、他から利益を与えられる」関係がこの世…

利益の与え合いもまたぞろ読み替えるよ

*進化論はこの世をたった1色でぬりつぶすんだね第13回 彼が「利益の与えあい」をどのように読み替えるか、引用(ざっと読み流してください)をもって見ておきます。「利益の与えあい」は、「他に利益を与え、他から利益を与えられる」関係で、そこにはふた…

利益の与え合いなんてハナッから頭になかったよね

*進化論はこの世をたった1色でぬりつぶすんだね第12回 しかし、このように世界に広く、かつその隅々にまでみとめられる「利益の与えあい」もまた、ドーキンスにとっては、この世に存在するはずのないものにすぎません。 利己的な遺伝子 <増補新装版> 作者:…

忘れられていた行為が遅れてやってきたよ

*進化論はこの世をたった1色でぬりつぶすんだね第11回 以上、利他的行為は淘汰されてすでに無く、今現在、利己的行為しか存在しないにちがいないとする「進化論的理論」を、群淘汰論者やドーキンスが、生物個体に言うのを断念し、その代わりに、生物集団あ…

自然淘汰は個体の死にやすさの問題ではなくて、跡継ぎ問題なんじゃないかな

*進化論はこの世をたった1色でぬりつぶすんだね第10回 では、ここで、群淘汰論者やドーキンスたちによる読み替えのきっかけとなった、生物個体には、利他的行為(他に利益を与え、自らは不利益をこうむる行為)は淘汰されてすでに無く、今現在利己的行為(…

利他を利己に読み替えてよかったのかな

*進化論はこの世をたった1色でぬりつぶすんだね第9回 以上、群淘汰論者とドーキンスが、生物個体による利己的行為と利他的行為とをそれぞれ、この世に唯一存在すると彼らが信じる利己的行為にどう読み替えるのか確認しました。 利己的な遺伝子 <増補新装…

ドーキンスも換骨奪胎していたね

*進化論はこの世をたった1色でぬりつぶすんだね第8回 さて、ドーキンスのこの読み替えでも、「進化論的理論」が「新・進化論的理論」へと換骨奪胎されていたことにみなさんは、お気づきだったと思います。 利己的な遺伝子 <増補新装版> 作者: リチャード…

ドーキンスが利他を利己に読み替えるよ

*進化論はこの世をたった1色でぬりつぶすんだね第7回 このように群淘汰論を批判するとはいえ、ドーキンスも読み替えをすることにかわりはありません。彼は、生物個体による利己的行為と利他的行為をともに、遺伝子Xによる利己的行為(遺伝子Xによるライ…

見て、郡淘汰説は換骨奪胎したよ

*進化論はこの世をたった1色でぬりつぶすんだね第6回 さて、みなさんはいまの読み替えをどうご覧になっておられたでしょうか。手品でも見ておられる気分でしたでしょうか。 この進化論者が何をしていたのか、煙に巻かれないよう、いま一度スローモーショ…

利他を利己に読み替えるよvol.1

*進化論はこの世をたった1色でぬりつぶすんだね第5回 では、もはやこの世に存在するはずのない利他的行為を、進化論者はどのようにして、この世に唯一存在するものであるはずの利己的行為に読み替えるのでしょうか。 『利己的な遺伝子*1』では二種類の読…

利他は無いはずなのにあるよ、困るよ

*進化論はこの世をたった1色でぬりつぶすんだね第4回 以上をもって、ドーキンスが、利益と不利益をつねに表裏一体とみなしていることが確認できたものとします。くどいですが、ここまで確認してきた論理展開を箇条書きにして復習すると、こうなります。 …

自然淘汰のすえ、いまや生物には利己的行為しか見当たらないはずだよ?

*進化論はこの世をたった1色でぬりつぶすんだね第3回 ふたつの用語の定義を見ました。 ドーキンス語1.利己的行為:自分が利益を得、他に不利益を与えること(他を押しのけること)。 ドーキンス語2.利他的行為:他に利益を与え、自分は不利益をこうむ…

利己と利他を定義づけるよ

*進化論はこの世をたった1色でぬりつぶすんだね第2回 ただしそのまえに、ドーキンスが多用する二つの用語について確認しておかなければなりません。その二つとは、利他と利己という言葉です。 ふだん俺たちが利他と呼ぶものには、大ざっぱにいえば二種類…

利益と不利益を表裏一体とみるところから出発するよ

*進化論はこの世をたった1色でぬりつぶすんだね第1回 ドーキンスの『利己的な遺伝子』を読んでいると、かつてヒュームの本を読んでいたときのことをふと思いだす瞬間があります。また、トマス・ホッブスを連想することになるときもしばしばあります(自然…

今後の予定

*進化論はこの世をたった1色でぬりつぶすんだね(序) しばらくまえ、カワグチ・サチジ・シリーズ(二篇やりました)と銘打って、原因丸々ひとつを特定できるか、思考実験をして確かめました。結論だけを言いますと、原因丸々ひとつは特定できませんでした…