*短編集「統合失調症と精神医学と差別」の短編NO.58
◆正常か異常かを決める基準はどこから来るか
ひとを正常と判定するというのはこういうことでした。
そのひとの実際のありようと、こちらがひとというものに対してもっている「ひととはコレコレこういうものだ」というイメージ(言うならば、ひとについての定義)とを、比べることである、って。
つまり、そのひとの実際のありようを、こちらの頭のなかにある「ひととはコレコレこういうものだ」というイメージに合致していると見、その合致していることをもって、そのひとを問題無しと考えることだ、って。
いっぽうひとを異常と判定するというのは、こういうことでしたね。
そのひとの実際のありようを、こちらの頭のなかにある「ひととはコレコレこういうものだ」というイメージに合致していないと見、その合致していないことをもって、そのひとを問題有りと考えることだ、って。
箇条書きでまとめるとこういうことです。
ひとを正常と判定するというのは、
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①そのひとの実際のありようを、ひとというものに対してこちらがもっている「ひととはコレコレこういうものだ」というイメージに合致していると見、
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②その合致していることをもって、そのひとを問題無しと考えること、
かたやひとを異常と判定するというのは、
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①そのひとの実際のありようを、こちらの頭のなかにあるその「ひととはコレコレこういうものだ」というイメージに合致していないと見、
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②その合致していないことをもって、そのひとを問題有りと考えること
医学はこのように、ひとを正常もしくは異常と判定するときに、ひとというものに対して己(科学のことです)がもっている「ひととはコレコレこういうものだ」というイメージに基づきます。
では、医学はこのイメージをどうやってこしらえあげるか。
先に挙げた3グループのなかの、A「標準的なひとたち」のありようを使って、です。
要するに、先のA「標準的なひとたち」のありようを見て、まさに「ひととはコレコレこういうものだ」と決めつけるということです。
するとどうなります?
そのようにして作成された「ひととはコレコレこういうものだ」というイメージに、A「標準的なひとたち」はもちろん合致するが、それ以外のふたつの集団、すなわちB「標準的なひとたちより優れているひとたち」とC「標準的なひとたちより劣っているひとたち」は合致しないということになりますね。
そこで、医学は、ここでもまた社会の慣例にそのままもとづいて、こういう操作をします。
まず、B「標準的なひとたちより優れているひとたち」については、そのイメージに合致していないことをもって、そのひとたちを、恵まれたものとか、祝福されたもの、と考え、天才とかgiftedとかと表現します。
2023年11月22日に文章を一部修正しましたし(内容は変わっていません)。
*今回の最初の記事(1/4)はこちら。
*前回の短編(短編NO.57)はこちら。
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