*短編集「統合失調症と精神医学と差別」の短編NO.58
◆まずひとを、標準、優、劣、の3つに分ける
医学は社会の慣例にもとづいて、ひとをつぎの3グループに分けます。
- A.標準的なひとたち
- B.標準的なひとたちより優れているひとたち
- C.標準的なひとたちより劣っているひとたち
Aは、世間でよく使われる言葉で言えば、「ふつうのひとたち」ですね? いっぽうAとBのひとたちについては、「ふつうじゃない」という言葉が使われているのを、みなさん、よく見聞きします。
世間のひとたちは、イチロー選手や大谷翔平選手や藤井棋士らのことを、目をキラキラ輝かせながら、「ふつうじゃない」とさも嬉しそうに言いません? Cのひとたちのことをそう表現するときには、眉間に深いシワを寄せているのに(嫌みっぽい言い方をしてしまったかもしれませんけれども)。
イチローや大谷選手や藤井棋士らは、良い意味で「ふつうじゃない」と言われ、Cのひとたちは悪い意味で「ふつうじゃない」と言われる、といったところですね。
ちなみに、この3グループのあいだの境界をどこと見るかに、絶対的なひとつの解があるということは無いですね? その境界設定の仕方はむしろ、いくつもあって、ある設定の仕方のもとで、A「標準的なひとたち」のなかに入ると思われていたひとが一転、別の設定のもとで、C「標準的なひとたちより劣っているひとたち」に入るようになって、動揺したり、またその逆のことが起こって、安心したりということがありますね(これは、高血圧やメタボの基準などについてよく指摘されることとおなじ話ではないでしょうか)?
さあ、では、グループ分けについて確認し終わったここで、ひとつ、ひとを正常もしくは異常と判定するというのは、何をどうすることだったか、復習してみましょうか。
*前回の短編(短編NO.57)はこちら。
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