*短編集『統合失調症と精神医学の差別』の短編NO.63
◆自信にもとづく現実修正解釈を別の角度から
いま、当該女性の「テレビでアナウンサーがわたしの噂話をしている」という発想についてみなさんは考察しました。まとめると、こういうことでした。
- 「現実」と「自信」が背反する。
- その「自信」に合うよう、「現実」を修正する
すなわち、ひと言で、当該女性は「自信にもとづく現実修正解釈」を為したのではないか、ということでした。
ここで、みなさんは先に進む前に、その「自信にもとづく現実修正解釈」をまず別の角度からも点検しておこうと考えます。
こんなふうに。
この「自信にもとづく現実修正解釈」と言うときの、その「自信」とは、「自分の考え」と言い換えることもあながち不可能でないように見受けられる。
したがって、その「自信にもとづく現実修正解釈」はこう言い換えられる。
- 「現実」と「自分の考え」が背反する。
- その「自分の考え」に合うよう、「現実」を修正する
このことから、「自信にもとづく現実修正解釈」には、「自分の考えをあくまでも疑うことがない」という姿勢が認められると指摘することができる。
さて、このような点検を済ませたみなさんは、以後、「自分の考えをあくまでも疑うことがない」というその姿勢を、当該女性の、前記発想②から⑤のもとにも確認していくことになります。
それら発想をすべて再掲すると、こうなります。
- ①テレビのニュースでアナウンサーが自分のことを話していると思う(既に見ました)
- ②外出先で周囲に監視されていると思い込む
- ③電車で隣に座っていた人の貧乏ゆすりを自分への暗号だと信じ込む
- ④周囲のすべてが敵に思える
- ⑤自身の思考と、外の出来事がリンクする感覚がし、奇跡の連続と思われた
以後②から順にみなさんはとりあげていきますが、ちょうどいま確認した「自分の考えをあくまでも疑うことがない」という姿勢を、いきなり発想②と③のもとに認めることになります。
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