(新)Nothing happens to me.

科学には、人間を理解することを妨げる理論的欠陥がある

(題)認知症の人間の言動は理解不可能か

医学はひとを認知症だとか軽度認知障害だとかと診断し、「異常」と認定することによって、そのひとたちの言動に「理解不可能」の烙印を押してきました。その人達のそうした言動が決して「理解不可能」なんかではないことをここで確認します。

血管性認知症③④⑤⑥:「うつ状態」「自発性の低下」「情動失禁」「激しい物忘れ(まだら認知症)」の意味は何か(1/7)

*認知症の人間の言動は理解不可能か・第16回 (前回←) 現在、血管性認知症について検証している。 その経緯はこうである。 医学はひとを認知症や軽度認知障害などと診断し、「異常」と見なすことによってそのひとたちに「理解不可能」の烙印を押してきた。…

血管性認知症②:感覚性失語(相手の言葉を理解できない)は何を意味するか(1/5)

*認知症の人間の言動は理解不可能か・第15回 (前回←) ◆感覚性失語(相手の言葉を理解できない) 現在、血管性認知症について検証している。 長谷川和夫著『よくわかる認知症の教科書』(朝日新書、2013年)には、血管性認知症で認められる認知機能の低下…

血管性認知症①:運動性失語(言葉が自由に出てこない)の意味は何か(1/5)

*認知症の人間の言動は理解不可能か・第14回 (前回←) 今回から血管性認知症の検証をはじめる。 認知症に分類される主な四つ、アルツハイマー病、血管性認知症、レビー小体型認知症、ピック病、を順にひとつずつとり挙げ、見ていくことにした。前回アルツ…

アルツハイマー型認知症⑨:着替えができなくなったり、同居家族の顔がわからなくなったりする(失行と失認の)理由(1/4)

*認知症の人間の言動は理解不可能か・第13回 (前回←) 今回は、次に再掲載するアルツハイマー型認知症の症状一覧のなかから、B(中等度)の②「失行」とC(高度認知症)の①「失認」を見る。この一覧は、長谷川和夫著『よくわかる認知症の教科書』(朝日新…

アルツハイマー型認知症⑧:トイレの場所がわからなくなって失禁する理由(見当識が失われる・失見当のpart.3)(1/4)

*認知症の人間の言動は理解不可能か・第12回 (前回←) 今回は「トイレの場所がわからなくなって失禁する」を検証する。果してそれは医学が説いてきたようにほんとうに「理解不可能」な言動か。 が、その前にここまでの経緯を簡単にふり返ろう。 医学はひと…

アルツハイマー型認知症⑦:自分のいる場所がわからなくなって道に迷う理由(見当識が失われる・失見当part.2)(1/6)

*認知症の人間の言動は理解不可能か・第11回 (前回←) 前回の続きである。 俺たちが先に作っておいたアルツハイマー型認知症の症状一覧*1の中のB(中等度)の①「見当識が失われる(失見当)」を前回から見ている。その具体例として当該一覧には次の三つが…

アルツハイマー型認知症⑥:季節や時間の意識がなくなる理由(見当識が失われる・失見当part.1)(1/4)

*認知症の人間の言動は理解不可能か・第10回 (前回←) この世に「理解不可能」な人間など存在し得ないことを最初に理論的に証明したけれども*1、医学はこれまでひとを認知症や軽度認知障害などと診断し、「異常」と見なすことによって、そのひとたちの言動…

アルツハイマー型認知症⑤:事実とは異なることを話のなかに織り込む(作話の)理由(1/5)

*認知症の人間の言動は理解不可能か・第9回 (前回←) 今回は、アルツハイマー型認知症の症状のひとつに数えられる「作話」を見る。 医学はひとを認知症や軽度認知障害などと診断し、異常と見なすことによって、そのひとたちの言動に「理解不可能」の烙印…

アルツハイマー型認知症④:「物盗られ妄想」をするようになる理由(1/5)

*認知症の人間の言動は理解不可能か・第8回 (前回←) 先に進もう。 認知症と呼ばれるもののなかから、アルツハイマー病、血管性認知症、レビー小体型認知症、ピック病、の4つをとり挙げ、ひとつずつ点検していくことにした。現在はその一番初めにある、ア…

アルツハイマー型認知症③:不安、不穏(落ち着きがない)、うつ状態の意味は何か?(1/3)

*認知症の人間の言動は理解不可能か・第7回 (前回←) 前回の話のつづきをしよう。 今回は、「不安、不穏(落ち着きのなさ)、うつ状態」について考察する。 現在、認知症に分類される、アルツハイマー病、血管性認知症、レビー小体型認知症、ピック病、の…

アルツハイマー型認知症②:料理や言葉のやりとりが困難になる(段取りを立てて物事を行うことができなくなる)理由(1/4)

*認知症の人間の言動は理解不可能か・第6回 (前回←) ひとをその認知能力の低下具合から認知症とか軽度認知障害と診断し、「異常」と見なすことは、そのひとたちの言動に「理解不可能」の烙印を押すことであると先に確認したけれども、理論的に考察する限…

アルツハイマー型認知症①:ついいまさっきのことを忘れてしまう理由(1/5)

*認知症の人間の言動は理解不可能か・第5回 (前回←) 目次・アルツハイマー病、血管性認知症、レビー小体認知症、ピック病、の4つを見ていく・アルツハイマー病の症状一覧・ひとつ目の症状:物忘れが次第に激しくなる ◆アルツハイマー病、血管性認知症、…

認知症と診断することによってそのひとの言動を手前勝手に「理解不可能」と決めつける姿勢を痛烈批判(1/3)

*認知症の人間の言動は理解不可能か・第4回 (前回←) 前回、認知症や軽度認知障害などと診断することによって、そのひとを「異常」と判定することが不当である旨確認した。 では、不当であるというそのことは何を意味したのだったか? それは、ひとについ…

認知症と診断されて自尊心が傷ついても、仕方がないと我慢すべきか(異常な人間は存在し得ない)(1/5)

*認知症の人間の言動は理解不可能か・第3回 (前回←) 前回の続きである。認知症や軽度認知障害と診断されると自尊心が傷つくことがあるが、その理由を前回推測した。 そうした診断はひとを認知能力の低下具合から「異常」と判定することであるが、異常と…

なぜ認知症と診断されて自尊心が傷つくのか(1/3)

*認知症の人間の言動は理解不可能か・第2回 (前回←) 病院で認知症と診断されたらひどく落ち込むことになるだろう、と想像するひとは多いのではないだろうか。実際、そう診断されて落ち込んだ経験をお持ちの方もいるだろう。 しかしそこに何かおかしなも…

ED治療薬がアルツハイマー病に効くと示唆する記事から考えられること〜一点論と障害論〜(1/3)

*認知症の人間の言動は理解不可能か・第1回 (前回←) よく考えてみると信じられないことであるけれども、この世には、権威ある学問に「理解不可能」な人間という烙印を押されてきたひとたちが存在する。俺たちは、そうした存在に思いを巡らせるときみなさ…

認知症と診断されたひとたちの言動はほんとうに、医学が言うように理解不可能か

*認知症の人間の言動は理解不可能か・序 ここ最近ずっと統合失調症について考察してきた*1けれども、今度はいわゆる認知症をとり挙げる。 でもなぜ認知症を? この世には、「理解不可能」な人間と学問に、権威に、烙印を押されてきたひとたちが数知れずいる…