*ワクチン接種後の痙攣が心因性というのは本当? 第2回
いま、或るひとに激しいけいれんが起こったとしましょう。すると、物理学や化学をしているときには出来事を一箇所のせいにはしないが、生き物を扱っているときにはおうおうにして出来事を一箇所のせいにする科学は、そのひとの身の上に起こったけいれんという出来事を一箇所のせいにしようとして、いきなりこう考えます。そのひとにけいれんという出来事を引き起こした一箇所は、このようにけいれんが起こるひとたちの身体のなかには共通して見つかるが、こうしたけいれんを起こさないひとの身体のなかにはまったく見つからないものである、と。
そして、こうしたけいれんを起こすひとたちにしか見つからない所見を探します。けいれんを起こすひとたちにしか見つからないこの一箇所は、科学の言葉では異常所見と呼ばれます。
けれども最初に書きましたように、出来事を一箇所のせいにすることは不可能です。出来事を一箇所のせいにすることは不可能だというこのことは、出来事を引き起こす一箇所は存在していないということを意味します。したがって、「こうしたけいれんを起こすひとたちにしか見つからない一箇所」(異常所見)を探すがいっこうに見つからないということになっても、何ら不思議はないということになります。ところが科学はこうした一箇所(異常所見)が見当たらない場合、こう考えます。こうした一箇所(異常所見)を検査で身体のなかに探しているのに見つからないというのは、この出来事を引き起こしているのが、心という一箇所だからだ、と。
子宮頸がんワクチンを接種したあと、身の上にけいれん等が起こるようになった子供たちを検査しても、「こうしたけいれん等を起こすひとたちにしか見つからない一箇所」(異常所見)など見当らないのでしょう。そのことから、厚生労働省側(と多くの医師たち)はこの子供たちが起こすけいれん等を、心という一箇所のせいにしている(心因性と認定した)のでしょう。つまりその子供たちのけいれん等を偽発作であるとしているのでしょう。
しかしもう一度申しますが、「こうしたけいれん等が起こるひとたちにしか見つからない一箇所」(異常所見)が検査をしても見つからないというのは、こうしたけいれん等の出来事を心という一箇所のせいにできるということを意味しません。それはたんに、出来事を一箇所のせいにすること自体が不可能だということを意味するだけです。このけいれん等の出来事を、子宮頸がんワクチンという一箇所のせいにすることもできなければ(このワクチンを接種してもこうしたけいれん等を起こしていない子供たちもいるわけです)、心一箇所のせいにすることもできないし、その他何か一箇所だけのせいにすることもできないということしか意味しません。
前回(第1回)の記事はこちら。
このシリーズ(全4回)の記事一覧はこちら。