(新)Nothing happens to me.

科学の欠点、限界、見落としている大事なもの

ガンさえとり除ければ治療が成功と考えられて楽ちん

ガンを原因と思っていればなんでもできる???第3回

 つぎは治療についてです。


 未来にどんな出来事が起こるかを予想するには状況把握が必要だと書きましたけれども、状況把握が必要なのは、余命宣告をするときだけにかぎられないでしょう。苦しんでいるひとに、苦しさが軽減すること、あわよくば具合良くなることを目的とした治療をするさいにも、すなわち苦しんでいるひとを癒すさいにも、身体のなか全体にできるかぎり配慮する状況把握が必要です。そのように状況把握が必要となる「癒し」を目的とした治療を、先日、お手本接近法とダサくなづけて、簡単にではありますが、確認しました*1


 「癒し」を目的とするこうした治療をするときには、身体のなか全体にできるかぎり配慮しないといけませんし、目的が「癒し」なだけに、患者の苦しみが無くなるか、少なくとも軽減するかしないかぎり、治療を成功したものとは見なせません。


 ところが、出来事を一箇所のせいにする見方をとると、治療はいとも簡単なものと思えるようになります。その見方によると、ガンとは、「苦しんで死ぬという出来事を、どんなケース*2でも(どんなひとにでも)引き起こす一箇所」です。したがって、ガンをとり除きさえすれば、「苦しんで死ぬという出来事」を引き起こすものが身体のなかから無くなって、結果、「苦しんで死ぬという出来事」は起こらないと信じられるようになります。こうして、出来事を一箇所のせいにする見方をとると、治療とは、ガンという一箇所をとり除くこと、になります。ガンさえとり除けば治療は成功したことになります。ガンという一箇所をとり除いて、余計苦しみが増すとか(それですんだらマシですが)、もとは苦しくないが苦しむようになるというのであっても、です。


 身体全体にできるかぎり配慮する状況把握も必要なくなるし、患者が「癒され」なくても治療が成功したとみなされるし、とても楽ちんになります。

つづく


前回(第2回)の記事はこちら。


このシリーズ(全6回)の記事一覧はこちら。

 

*1: 「『患者よ、がんと闘うな』の近藤誠さん」第6回

*2:「場合」という言葉を「ケース」に変更しました。2018年9月7日。