(新)Nothing happens to me.

科学には人間を理解することが絶対にできない理由がある

ガンさえとり除けば予防は成功と考えられて楽ちん

*ガンを原因と思っていればなんでもできる???第4回


 出来事を一箇所のせいにできると考えると、さらに予防なるものも、一箇所にしか配慮しないでできることになって、これまた非常に楽ちんです。苦を訴えに来院するひとたちだけではなく、苦しんでいないひとたちの身体のなかも検査して、ガンが見つかり次第、手術や抗ガン剤治療(?)でとり除いていけばいいわけです。ガンをとり除くという予防治療を受けたあと苦しむようになるのであっても、ガンさえとり除ければ予防は成功です。


 けれども予防とは、具合良くありつづけることを目的とするものであるべきではないでしょうか。具合良くありつづけることを目的とするそうした予防には、身体のなか全体のありようへの配慮が必要です。つまり、具合が良い或るときの自分の身体のなか全体のありようを目安とし、そのありようから、現在の自分の身体のなか全体のありようができるかぎり遠ざからないように努めなければなりません。そしてじっさいにそのように努めた結果、具合良くありつづけているというのなら、予防は成功していることになりますし、逆に、以前よりも具合良さが減じたとか、具合悪くなっているというのであれば、予防は失敗していることになります*1。ところが、出来事を一箇所のせいにする見方をとっていれば、ガンという一箇所だけに配慮して、そのガンさえとり除ければ、予防は成功したことになります。身体のなかのガン以外の部分がどうなろうが、配慮する必要はないですし、ガン治療を受けて具合が悪くなるかどうかになど気を遣う必要もありません。これは非常に楽ちんです。

つづく


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*1:このあたりの記述はあやまりです。予防の成功失敗は、放っておいた場合より、苦しさがマシになっているかどうかだと思います。2018年9月7日