(新)Nothing happens to me.

科学の欠点、限界、見落としている大事なもの

統合失調症の「メッセージを受けとる」「世界は僕のためにある」「テレパシーで交信した」を理解するvol.1(統合失調症理解#14)(5/5)

*短編集「統合失調症と精神医学と差別」から短編NO.21


◆現実を自分に都合良く解釈する

 以上ここまで、下準備としてふたつの出来事を見てきました。そのどちらについても俺、こう指摘しましたよね。小林さんは「現実を自分に都合良く解釈していた」のではないか、って。でも、小林さんのものの見方を批判しようとしてそう言ったのではありませんよ。いや、批判だなんて、とんでもないことですよ。小林さんのことを批判しようなんてつもりは俺にはこれっぽっちもありません。だいいち、「現実を自分に都合良く解釈する」ことがまったく無いひとなんか、いやしませんよね? 誰でもふだん、多かれ少なかれ、そうした都合の良い解釈をしますよね? 俺なんかもう、しょっちゅうですよ。そんな自分のことを棚に上げ、小林さんを「自分に都合良く現実を解釈している」と言って批判するなんてこと、さすがの俺にも到底できやしませんよ。


 冒頭で宣言した下準備が終わりました。まえに進みましょう。


 いま挙げた引用文のなかで、小林さんは教えてくれていました。「この頃からテレビラジオ本からの情報に過敏に反応して色んなメッセージを受け取るようになった」んだって。その「メッセージを受けとる」というのが、いったい何をどうすることなのか、今回確認しましたね。小林さんは「現実を自分に都合良く解釈」し、それを「メッセージを受けとる」と表現しているということでしたね。いま再確認しましたように「色んなメッセージを受け取るようになっ」てから数ヶ月後小林さんが統合失調症突然発症したとされる日が訪れます。いまから、その日とその翌日の模様をじっくり見ていきますよ。統合失調症の症状と見なされ、「理解不可能」と決めつけられてきたその日の小林さんの言動が、ほんとうは「理解可能」であることをいまから逐一確かめていきますよ。


 みなさんと俺はこれから8つの短編をとおして、小林さんが立てつづけに「メッセージを受けとっていく」のを、すなわち、「現実を自分に都合良く解釈していく」のをまざまざと目撃することになります(先ほども言いましたが、小林さんのことを批判しようとしてこんなことを言っているのでは決してないということは、ちゃんと心に留めておいてくれますか)。


次回は翌週8月17日(月)21:00頃にお目にかかります。


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前回の短編(短編NO.20)はこちら。


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