*短編集『統合失調症と精神医学の差別』の短編NO.24
◆ここまでを簡単に振り返る
さあ、この要領で引用のつづきをどんどん見ていきますよ。
いや、それとも、そのまえにこの辺りで一度、ここまでをすこしふり返っておきましょうか。
みなさん、ここまで、どうでした? (精神)医学なら、統合失調症の症状と見なし、「理解不可能」と決めつけるだろう、ここまでの小林さんの言動は、果してほんとうに「理解不可能」であるとみなさんには思われました?
むしろ、「理解可能」だと確信されたのではありませんか。
小林さんは単に、みなさんや、世間のひとたちや、俺などがふだんよくするように、「現実を自分に都合良く解釈していた」にすぎませんよね?
みなさん、よく自分自身のことを考えてみてくださいよ。現実を、とんでもないくらい自分に都合良く解釈すること、しばしばありませんか(俺はしょっちゅうありますよ)。あるいは、そうした解釈をしばしばする、上司、教師、同僚、友人、知人、経営者、従業員、科学者、その他専門家、生徒、コメンテーター、親戚など、みなさんの周りにたくさん思い当たりはしませんか(俺は、思い当たり、ます)。
もちろん、小林さんのことをいま完璧に理解し得ていると言うつもりは俺にはまったくありませんよ。真相はその逆です。小林さんのことを多々誤ったふうに決めつけてしまっているのではないと気が咎めて仕方がないというのが、正直なところですよ。
でも、さすがにこれまでの考察からでも、十分明らかになりましたよね。
ここまでの小林さんが、(精神)医学の見立てに反し、ほんとうは「理解可能」であるということは。
みなさんのように、申し分のない人間理解力をもったひとたちになら、ここまで見てきた小林さんのことが完璧に理解できるということは、ね?
にもかかわらず、そんな小林さんのことが(精神)医学に理解できないのは、単に小林さんのことを理解するだけの力が(精神)医学には不足しているということにすぎないと、もう認めざるを得なくなっていますよね?
次回は9月7日(月)21:00頃にお目にかかります。
2021年9月25,26,27日に文章を一部修正しました。
*今回の最初の記事(1/5)はこちら。
*前回の短編(短編NO.23)はこちら。
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