(新)Nothing happens to me.

科学の欠点、限界、見落としている大事なもの

統合失調症の「メッセージを受けとる」「世界は僕のためにある」「テレパシーで交信した」を理解するvol.3(統合失調症理解#14)(2/3)

*短編集「統合失調症と精神医学と差別」から短編NO.23


成増駅駅名標示から意味・暗号を受けとる

まず光が丘公園に向かうべく、埼京線に乗って池袋で降り、東武東上線に乗り換えて成増に向かった。(略)


 成増で降り、どっちが光が丘公園なのかわからぬまま駅を出た。振り向くと、駅舎になりますとひらがなで書いてある僕はそれを見て、ここが石橋貴明の故郷なんだと思うとともに、僕が何かになりますという意味暗号を受け取った(小林和彦『ボクには世界がこう見えていた』新潮文庫、p.105、ただしゴシック化は引用者による)。


 いまさっそく、小林さんが現実を自分に都合良く解釈しているのが見てとれたように思います*1。細かいところですけど、あとで似たような場面がひとつ出てきますし*2、ちょっと見させておいてもらいますね。


 小林さんは、成増駅にあった、「なります」と書かれた駅名標示から、「僕が『何かになります』という意味もしくは暗号を受け取った」と書いていましたね。小林さんはその駅名標示を見て、とっさに、「ボクが何かになりますという駄洒落を考えついたのではないでしょうか。


 でも、成増駅駅名標示を見た自分がそんな駄洒落を考えつくなんて、小林さんにはまったく思いも寄らないことだった。つまり、小林さんの「予想」からすると、その駅名標示から自分がそんな駄洒落を考えついているはずはなかったのかもしれませんね。


 いや、その「予想外」だったということを、すこし語弊があるかも知れませんが、いっそこう言い換えてみることにしましょうか。小林さんにはそのとき自信があったんだ、って。自分がそんな駄洒落を考えついたはずはないという自信が、って。


 で、小林さんは、その自信に合うよう、現実をこう解した。


「ボクが何かになります」という意味もしくは暗号が勝手にボクのもとにやってきて、それをただ受けとっただけなんだ、って。


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前回の短編(短編NO.22)はこちら。


このシリーズ(全43短編を予定)の記事一覧はこちら。

 

*1:小林さんを批判しようとしてこんなことを言っているのでは決してないということを再度ここで断っておきますよ。現実を自分に都合良く解釈するなんてこと、ふだん誰でもしょっちゅうやっていますよね?

*2:おかもちのなかから箸をとり出す場面。