(新)Nothing happens to me.

科学の欠点、限界、見落としている大事なもの

統合失調症の「メッセージを受けとる」「世界は僕のためにある」「テレパシーで交信した」を理解するvol.4(統合失調症理解#14)(4/5)

*短編集「統合失調症と精神医学と差別」から短編NO.24


◆目に涙をいっぱいためてこちらを見ている女性

 さて、つぎの場面に進むまえに、ここで、その3人組のなかの女子学生にちょっと話を戻してみましょうか。小林さんが3人に喋りかけているあいだ、「女の子は僕の方を見て目にいっぱい涙をためていた」とのことでしたよね。小林さんは「それを見て世の中にこんな可愛い女性がいるのかと息を呑んだ」とのことでしたけど、それについては最初に俺、こう言いましたね? その若い女性はびっくりして目に涙をためていたのかもしれませんね、って。


 みなさんなら、どう思います? 自分が話しているあいだ、若い女性が目に涙をいっぱいためてこちらを見ていたら?


 自分はいま何かおかしなことを言っているのではないかと自分のことを疑いません? この女性をびっくりさせるようなこと、傷つけるとか、怖がらせるとか、悲しませるとかするようなことを、自分はいま何か言ってしまっているのではないかと疑って、アタフタしません? 


 けど、ここで小林さんは、その女性が目に涙をいっぱい浮かべているのを見ても、「世の中にこんな可愛い女性がいるのかと息を呑んだ」と言っているだけでしたね。


 小林さんには、そのとき自信があったと言うことができるのかもしれないと俺、思うわけですよ。その女性をびっくりさせるようなことを自分が言っているはずはないという自信が、って。そうした自信が揺るぎなくあればこそ、小林さんは、目に涙をいっぱいためながら女性が小林さんのほうを見ていても、安心して、「世の中にこんな可愛い女性がいるのかと息を呑」むだけでいられたのかもしれないな、って。


 いまの推測についても箇条書きにしてまとめてみるとこうなります。

  • ①女性が目に涙をいっぱいためながらこちらを見ている(現実)。
  • ②その女性をびっくりさせるようなことを自分が言っているはずはないという自信がある(現実と背反している自信)。
  • ③「世の中にこんな可愛い女性がいるのかと息を呑」むだけで済ませられる(自分に都合の悪いことは見えない)。


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