(新)Nothing happens to me.

科学の欠点、限界、見落としている大事なもの

統合失調症の「メッセージを受けとる」「世界は僕のためにある」「テレパシーで交信した」を理解するvol.4(統合失調症理解#14)(1/5)

*短編集「統合失調症と精神医学と差別」から短編NO.24

あらすじ

 小林和彦さんの『ボクには世界がこう見えていた』(新潮文庫、2011年)という本をとり挙げさせてもらって、今回で4回目です(全9回)。

 小林さんが統合失調症を「突然発症した」とされる日の模様からはじめ、現在はその翌日を見ているところです。

 統合失調症と診断され、「理解不可能」と決めつけられてきたその小林さんが、(精神)医学のそうした見立てに反し、ほんとうは「理解可能」であることを、実地にひとつひとつ確認しています。

  • vol.1(下準備:メッセージを受けとる)
  • vol.2(朝刊からメッセージを受けとる)
  • vol.3駅名標示から意味、暗号を受けとる)

 

今回の目次
・不自然さを感じはじめる
・大学生3人組と会話する
・目に涙をいっぱいためてこちらを見ている女性
・ここまでを簡単に振り返る


◆不自然さを感じはじめる

 前回の続きを追っていきますよ。統合失調症を「突然発症した」とされる日の翌日、7月25日(金)、母校、早稲田大学を訪れるために会社を出た小林さんは、他の用を済ますため、まず光が丘公園に向かいます。前回は、その最寄り駅である成増駅で下車したところを見ましたね。


 前回の引用の直後から見ますよ。

 近くのマクドナルドに入って道を聞いた。親切に教えてくれた店員の女の子は、びっくりするような可愛い子で、僕はしばし見とれてしまった。教えられた通りに道を歩いて行ったが、また途中でわからなくなり、通りがかった女の子に道を聞いた。彼女も丁寧に教えてくれたが、この子も可愛い顔をしていた。


 通り過ぎていく車が妙に僕に接近して来るような気がして、「何かいつもとちょっと違うな」という感じを抱きつつ、光が丘公園に着いた(小林和彦『ボクには世界がこう見えていた』新潮文庫、2011年、pp.105-106、ただしゴシック化は引用者による)。

ボクには世界がこう見えていた―統合失調症闘病記 (新潮文庫)

ボクには世界がこう見えていた―統合失調症闘病記 (新潮文庫)

  • 作者:小林 和彦
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 2011/10/28
  • メディア: 文庫
 


 小林さんはいま最後に、「何かいつもとちょっと違うな」と感じたと言っていました。つまり、「不自然さを感じた、って。実は、ちょうどいま引用した場面で小林さんはふたつの「不自然さ」を感じています(このことは引用を読み進めていくうちにわかりますよ。そのとき改めて確認しますね)。ここでまず若い女性がふたり出てきましたよね。そのどちらの女性も小林さんには可愛く見えたとのことでした。そんなふうに可愛く見える女性に立てつづけに出くわしたことがこのとき実は小林さんには「不自然」と感じられています。


 また車がやけに接近してくるような気がして、「不自然」と感じられたということについては、はっきりこう口にしていましたね。「『何かいつもとちょっと違うな』という感じ」がした、って。


 ですが、このふたつの不自然さについてはあとで改めてとり挙げることにして、ここは先を急ぎましょう。


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前回の短編(短編NO.23)はこちら。


このシリーズ(全43短編を予定)の記事一覧はこちら。