(新)Nothing happens to me.

科学には人間を理解することが絶対にできない理由がある

2016-01-01から1年間の記事一覧

ご挨拶

*身体が機械じゃないのは明らかであるが*1序 身体を研究するとはどうすることでしょうか。 これまで人間は身体を研究してきました。現代科学は、見るという知覚は身体がどうなることか、歩くという運動では身体はどうなるのか、糖尿病とは身体のなかで何が…

医療処置は快さや苦しさを考えてするものか、正常異常を考えてするものか

*治療の苦しみに耐えれば耐えるほど失敗に近づく第3回 こういうことを確認しました。 息がしにくいという状態から、息がしやすいという状態になることを目的とする医療処置を受け、実際に息がしやすくはなるものの、息がしにくいというのとは別のあらたな…

治療目的はほんとうにそれでいいのか、それで大損することはないか

*治療の苦しみに耐えれば耐えるほど失敗に近づく第2回 たとえば、みなさん、ご自分の息がしにくくなるものと仮定してみてください。そして、そのときにみなさんが医療処置を受けようとお考えになるなら、何を目的とするものをお求めになるか、ちょっと想像…

科学の目には映らなくなるこの世でもっとも大事なもの

*治療の苦しみに耐えれば耐えるほど失敗に近づく第1回 先日「科学は存在同士のつながりを切断してから考える*1」と題した文章を書きました。そこで書きましたのは簡単に申しますと、こういうことでした。科学は事のはじめに、存在同士のつながりを切断しま…

あたらしい知覚論をお土産に帰宅するまでが旅の途中

*あたらしい知覚論をください第8回 あらたな嗅覚論についてはこう言える。 他人の部屋に入ると、匂いがすることがあるけれども、しばらく時間が経つと、大抵そうした匂いはしなくなる。これについては匂いが隠れるという言いかたをすることもできるが(何…

あたらしい聴覚論も記念にひっつかまえよう

*あたらしい知覚論をください第7回 俺が追い求めているあらたな、聴覚論と嗅覚論についても以下見ておく。 楽器を使って出す音(あくまで聞こえる音のことを言っている)は、楽器によってはもちろんのこと、演奏するひとの身体のありよう、場所、聞き手の…

にぎり飯のことなんてすっかり忘れ、あたらしい視覚論をとっつかまえるのに夢中になろう

*あたらしい知覚論をください第6回 俺が歩み寄るにつれ、松の木は、刻一刻と姿を大きくし、かつ木目をくっきりさせていく。太陽が雲に隠れれば薄暗い姿を呈するし、雲間から太陽が顔を出せば一転、明るい姿を呈しもする。また俺が道のくぼみに足を踏み入れ…

にぎり飯はほっぼり出して、あたらしい視覚論を追おう

*あたらしい知覚論をください第5回 松の木に歩み寄る例を用いて、あらたな視覚論から探ってみる。 俺が歩み寄ると、松の木の姿は刻一刻と大きくなり、かつその木目も一瞬ごとにくっきりしてくる。このように松の木は、「他のものと共に在るにあたってどの…

いざ、にぎり飯を口に運ぼうとするそのとき、手がとまるほどの激震が走る

*あたらしい知覚論をください第4回 科学は松の木や蟬の声を、俺が歩み寄っても「これひとつとして違いを見せることのないもの」とするために、つまり存在を、「他のものと共に在るにあたってどのようにあるか」という問いに逐一答えるものから、無応答で在…

にぎり飯は「存在のすり替え」を観たあとに喰らおう

*あたらしい知覚論をください第3回 先ほど、俺が歩み寄ると、松の木の姿や蝉の鳴き声(音)が刻一刻と変化するのを確認した。松の木や蟬の声はまさに「他のもの(私の身体など)と共に在るにあたってどのようにあるか」という問いに逐一答えるものである。…

にぎり飯を喰らうまえに、松の木と蟬の声をめでよう

*あたらしい知覚論をください第2回 科学の知覚論が生まれるに至る経緯を事のはじめから見ていく。 俺が歩み寄れば、松の木は刻一刻とその姿を大きくする(話を簡単に進めるために、松の木が終始、占めている位置を変えない場合をいまは例にあげる)。実寸…

にぎり飯をぶらさげて冒険旅行に出かけよう

*あたらしい知覚論をください第1回 見る、聞く、匂う、味わう、触れる、といった知覚体験についてあたらしい論を手に入れようというのが今回の狙いである。よろしくお願い申し上げる次第だ。 ひとによって異なった色に見えるドレスの写真がたしか昨年あた…

科学の可能性は限界を見極められてこそ把握可能?

「科学は存在同士のつながりを切断してから考える」*1と題しました文章で先日書きましたように、科学が私たちに説明して聞かせてくれる、身体、世界、身体感覚、知覚体験(見る、聞く、匂う、味わう、触れる)、存在、関係、はことごとくすべて、実際のもの…

存在から、容姿(色を含む)、音、匂い、味、感触、をとり去ってゴミ箱に捨てるの巻

*デカルトの超絶手品ぁ〜ニャで科学は基礎を形作る第9回 俺の推測が的外れであれなんであれ、デカルトが「存在の客観化」というこの超絶手品によって、存在を、「どの位置を占めているか」ということしか問題にならない何か(延長)にすり替えたのは間違い…

超絶手品のタネを見破るの巻

*デカルトの超絶手品ぁ〜ニャで科学は基礎を形作る第8回 デカルトは『省察』*1の第2省察で俺たちの目の前に蜜蝋を持って現れたときすでに蜜蝋を、「他と共に在るにあたってどのようにあるか」という問いに逐一答えるものから、無応答で在るものにすり替え…

デカルト超絶手品のタネ明かしに踏みこもうとする数日前の巻

*デカルトの超絶手品ぁ〜ニャで科学は基礎を形作る第7回 実際は「他と共に在るにあたってどのようにあるか」という問いに逐一答えるものである存在を、事実に反して、無応答で在るものにすり替えますと、存在の実際の姿から、ほんとうは存在には属していな…

郵便ポストが超絶ダイエットをするの巻

*デカルトの超絶手品ぁ〜ニャで科学は基礎を形作る第6回 さて、存在は実際のところ、「他と共に在るにあたってどのように在るか」という問いに逐一答えるものであるにもかかわらず、事実に反して、このように存在を、無応答で在るもの(客観的なもの)であ…

俺氏、コートから色をとりのぞく超絶手品をご披露するの巻

*デカルトの超絶手品ぁ〜ニャで科学は基礎を形作る第5回 前回、ミドリ色のコートを用いて確認しましたように、存在は、「他と共に在るにあたってどのようにあるか」という問いに逐一答えるものです。にもかかわらず、事実に反して存在を、無応答で在るもの…

人生イロイロイロもイロイロの巻

*デカルトの超絶手品ぁ〜ニャで科学は基礎を形作る第4回 先ほど、俺の愛しのコートはかつてミドリ色だったと申しました。聞いてください。当時こんなことがありました。そのときの俺は急いでいました。ところが、まさにクローゼットからそのミドリ色のコー…

ミツロウが見せた激やせがナゾすぎるの巻

*デカルトの超絶手品ぁ〜ニャで科学は基礎を形作る第3回 しかしなぜ彼はこのように、存在から、当の存在にほんとうは属していないものとして、容姿(色を含む)、音、匂い、味、感触、を取り除くことができたのでしょう。そしてそのあとに残ったものこそほ…

デカルトが紙のムコウで超絶手品を実演してくれるの巻

*デカルトの超絶手品ぁ〜ニャで科学は基礎を形作る第2回 さっそく彼の出演する『省察』という著書を開けてみましょう。第二省察をご覧ください。ほら、紙のムコウにデカルトが立っています。いまから俺たちの前で「存在の客観化」をやってのけようと俺たち…

一緒に超絶手品を見ませんかとお誘い申し上げるの巻

*デカルトの超絶手品ぁ〜ニャで科学は基礎を形作る第1回 先日、「科学は存在同士のつながりを切断してから考える」と題した文章*1で、科学が事のはじめになす、存在同士のつながりの切断をふたつ見ました。そこで、それらふたつをそれぞれ、絵の存在否定*2…

科学とは現実を大改造する営みである

*科学は存在同士のつながりを切断してから考える第17回 ここまで、科学が「絵の存在否定」と「存在の客観化」という一連の作業によって存在同士のつながりを切断し、「身体の感覚部分」を身体や世界から除外したり、存在から容姿(色を含む)、音、匂い、味…

ぬぁ、なんと、「絵の存在否定」と「存在の客観化」は切り離せない一連の作業だった???

*科学は存在同士のつながりを切断してから考える第16回 存在は実際のところ「他と共に在るにあたってどのようにあるか」という問いに終始答えるものである。部屋のとびらは、私が歩み寄れば刻一刻とその姿を大きくするし、部屋の明かりが明滅すれば、それに…

なぜ科学は存在から、容姿(色を含む)、音、匂い、味、感触をとり去っちゃう?

*科学は存在同士のつながりを切断してから考える第15回 科学は事のはじめに存在同士のつながりをふたつ切断する。そのうちのひとつである「絵の存在否定」を先に見、いまは残りのひとつである「客観化」について見ている。 存在は実際のところ、「他と共に…

数学万能、ビバ、マセマティックス、ビバビバ

*科学は存在同士のつながりを切断してから考える第14回 科学が存在を、「他と共に在るにあたってどのようにあるか」という問いに終始答えるものから、ただ無応答で在るだけのものへすり替えるために、存在の実際の姿から、容姿(色を含む)、音、匂い、味、…

音から音をとり除くと、空気や液体の振動があとに残ると?!

*科学は存在同士のつながりを切断してから考える第13回 存在を、「他と共に在るにあたってどのようにあるか」という問いに終始答えるものから、ただ無応答で在るだけのものにすり替えるために、科学が存在の実際の姿から、ほんとうは当の存在には属していな…

ピンク色の服のピンク色は心のなかにあるとする、すなわち科学は存在から色を取り除く

*科学は存在同士のつながりを切断してから考える第12回 先ほど、存在を、「他と共に在るにあたってどのようにあるか」という問いに終始答えるものから、ただ無応答で在るだけのものにすり替えるために、科学が存在の実際の姿から、存在の容姿を、ほんとうは…

違いを「ジャマだ、ジャマだ」と、存在から取り除いて意識内にうち捨てる

*科学は存在同士のつながりを切断してから考える第11回 科学が自らの思うところに合うよう現実を修正するこの解釈操作では、存在が「他と共に在るにあたってどのようにあるか」という問いに終始答えて実際に呈する姿のうちから、存在をただ無応答で在るだけ…

理論にあうよう現実を修正するのが常套手段であることに留意しておいたほうがいいようだ

*科学は存在同士のつながりを切断してから考える第10回 では、存在を、「他と共に在るにあたってどのようにあるか」という問いに終始答えるものから、ただ無応答で在るだけのものへすり替えるこの「客観化」で存在同士のつながりを切断すると、いったい何が…