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科学には人間を理解することが絶対にできない理由がある

2022-01-01から1年間の記事一覧

なぜ医学は、患者が何を「訴え」、何を「要望している」のかイマイチよく理解できないのか。また患者がこうむっている「たいしたことのある」副作用を、なぜ「たいしたことのない」ものと勝手に侮ってしまうのか(1/3)【医学がしばしばしばみなさんに理不尽な損害を与えてきた理由part.1】

*短編集「統合失調症と精神医学と差別」の短編NO.47 目次・みなさんと医学のあいだに生じた齟齬・医学による争点のすり替え ◆みなさんと医学のあいだに生じた齟齬 ここ最近はずっと、みなさんと医学のあいだに生じた齟齬を見ていますよね。その齟齬の生まれ…

質問「この治療を受けると、寿命が2倍に伸びます。受けますね?」と言われたら、みなさんはどう反応するか?(8/8)

◆する損と、獲得する得を比較する いま、こういうことを確認しました。 当該抗がん剤治療を受けると、苦しい思いをする期間6ヶ月(寿命6ヶ月の延長のこと)が手に入るという「ニガイ得」を獲得することができる。 が、その引き換えとして、当該治療開始後す…

質問「この治療を受けると、寿命が2倍に伸びます。受けますね?」と言われたら、みなさんはどう反応するか?(7/8)

◆引き換えにするものの大きさ(健康のありがたみを知っているものにはわかる) いまこう指摘しました。当該抗がん剤治療によって生存期間が6ヶ月伸びるというが、それはこの場合、苦しい思いをする期間であって、苦しい思いをする期間がそのように余分に手に…

質問「この治療を受けると、寿命が2倍に伸びます。受けますね?」と言われたら、みなさんはどう反応するか?(6/8)

◆獲得するもののニガさ(胃瘻などで問題になること) 当該抗がん剤治療を受けても、治ることはない、すなわち「苦しまないで居てられるようになる」ことはないのだとすると、こういうことになりますね。当該治療によって生存期間が6ヶ月伸びても、それは、苦…

質問「この治療を受けると、寿命が2倍に伸びます。受けますね?」と言われたら、みなさんはどう反応するか?(5/8)

◆「生存期間を2倍に伸ばしましょうか」という提案を受けたとき考え合わせるものは何か 老人は、こう打ち明けていましたね。 「抗がん剤治療は延命効果だけとなると、意味がないんじゃないか」って。 もたらされるのが「延命効果だけでは」、って。 要するに…

質問「この治療を受けると、寿命が2倍に伸びます。受けますね?」と言われたら、みなさんはどう反応するか?(4/8)

◆生存期間が2倍になる治療を勧められたとき、みなさんはどう考えるか いまから、ひとつの記事をもとに考察していきます。ただし、その記事の本文を読まなくても済むよう、こちらで要約してお届けしますね(でも本文をご覧になりたい方は是非どうぞ)。 -----…

質問「この治療を受けると、寿命が2倍に伸びます。受けますね?」と言われたら、みなさんはどう反応するか?(3/8)

◆準備運動②「みなさんは何を健康、病気という言葉で表現しようとするか?」 健康、病気という言葉をみなさんがふだんどういうふうに使っているか、確認します。 みなさんがふだん、やれ健康だ、やれ病気だとしきりに言うことで、争点にしているのは何か。 要…

質問「この治療を受けると、寿命が2倍に伸びます。受けますね?」と言われたら、みなさんはどう反応するか?(2/8)

◆準備運動①「給付期間を2倍に伸ばすことができます。どうしますか?」 クイズのほうから行きますよ。 クイズ、ジャジャン♪ 年間支給総額100万円の給付があると考えてみてくれますか。その給付は10年つづきます。では、こうした提案が或るとき、その給付者か…

質問「この治療を受けると、寿命が2倍に伸びます。受けますね?」と言われたら、みなさんはどう反応するか?(1/8)

目次・70歳男性(余命6ヶ月)、延命効果6ヶ月の抗がん剤治療を勧められる・準備運動①「給付期間を2倍に伸ばすことができます。どうしますか?」・準備運動②「みなさんは何を健康、病気という言葉で表現しようとするか?」・生存期間が2倍になる治療を勧めら…

コロナワクチンについて思った或るひとつのこと(別に込み入ったことも決定的なことも書いていませんが、気分が悪くなるかもしれません。閲覧ご注意ください)

コロナワクチンについて、いろんなことが言われていますよね。効く、効かない、害がある、害が出てきた、他の病気にも効いている等々。 果して、ほんとうのところはどうなんでしょうね。 統計を挙げてきて、だからこうだ、だからああだと、いつもたったひと…

医学の副作用の侮り方その2、いきなり「夢の新薬」と高らかに謳いあげる(5/5)【医学は副作用を侮ってきた? part.5】

*短編集「統合失調症と精神医学と差別」の短編NO.46 ◆One man's meat is another man's poison.という絶対真理 以上、この副作用についての連作を最後にまとめます。 (精神)医学は、この連作の最初に引用した岩波明精神科医のように、副作用は「問題がな…

医学の副作用の侮り方その2、いきなり「夢の新薬」と高らかに謳いあげる(4/5)【医学は副作用を侮ってきた? part.5】

*短編集「統合失調症と精神医学と差別」の短編NO.46 今回は、たいした副作用など出てきっこないと勝手にいきなり決めつけてしまうという、医学の副作用の侮り方を、クロザピンという薬を例に見ています。 でも、こう言われるかもしれません。 いや、(精神…

医学の副作用の侮り方その2、いきなり「夢の新薬」と高らかに謳いあげる(3/5)【医学は副作用を侮ってきた? part.5】

*短編集「統合失調症と精神医学と差別」の短編NO.46 ◆で、実際、そんなうまい話はあったのか さっきの引用のつづきを見てみます。 ところが、七〇年代になって忌まわしい副作用が報告されはじめた。無顆粒球症と呼ばれる、白血球の中でも細菌を食べる無顆粒…

医学の副作用の侮り方その2、いきなり「夢の新薬」と高らかに謳いあげる(2/5)【医学は副作用を侮ってきた? part.5】

*短編集「統合失調症と精神医学と差別」の短編NO.46 ◆胸に兆す「そんなうまい話はあるのだろうか」という疑念 本題に入ります。 大部分の抗精神病薬は、ドーパミンD2受容体を遮断する作用をもつが、クロザピンは、唯一例外的にドーパミンD2遮断作用が非…

医学の副作用の侮り方その2、いきなり「夢の新薬」と高らかに謳いあげる(1/5)【医学は副作用を侮ってきた? part.5】

*短編集「統合失調症と精神医学と差別」の短編NO.46 目次・胸に兆す「そんなうまい話はあるのだろうか」という疑念・で、実際、そんなうまい話はあったのか・One man's meat is another man's poison.という絶対真理 統合失調症と診断されたひとたちに使用…

「たいしたことのある」副作用を「たいしたことがない」と侮る医学の見方 (4/4)【医学は副作用を侮ってきた? part.4】

*短編集『統合失調症と精神医学の差別』の短編NO.45 ◆医学の、一点をとり除けさえすれば至上主義 けど科学は、身体のなかのこととなると、先祖返りして、出来事を一点のせいにします。いや、それともこう表現したほうがヨリ適切でしょうか。医学という分野…

「たいしたことのある」副作用を「たいしたことがない」と侮る医学の見方 (3/4)【医学は副作用を侮ってきた? part.4】

*短編集『統合失調症と精神医学の差別』の短編NO.45 ◆身体に起こる出来事についての医学の独自解釈 で、そんな医学は、身体に起こる出来事を、それを正常と見るにせよ、異常と見るにせよ、身体のなかの一点のせいにしてきました。 たとえば、みなさんが歩い…

「たいしたことのある」副作用を「たいしたことがない」と侮る医学の見方 (2/4)【医学は副作用を侮ってきた? part.4】

*短編集『統合失調症と精神医学の差別』の短編NO.45 ◆医学による、健康、病気の独自な定義 そもそも(精神)医学は、健康、病気をみなさんとはまったく別様に考えます。 ふだんみなさんは、やれ健康だ、やれ病気だとしきりに言うことで、「苦しくないか(快…

「たいしたことのある」副作用を「たいしたことがない」と侮る医学の見方 (1/4)【医学は副作用を侮ってきた? part.4】

*短編集『統合失調症と精神医学の差別』の短編NO.45 目次・医学による、健康、病気の独自な定義・身体に起こる出来事についての医学の独自解釈・医学の、一点をとり除けさえすれば至上主義 いま、統合失調症と診断されたひとたちに使用される薬の副作用につ…

みなさんのふだんの見方を用いて、副作用がほんとうに「たいしたことがない」のか、検証する(4/4)【医学は副作用を侮ってきた? part.3】

*短編集『統合失調症と精神医学の差別』の短編NO.44 ◆薬を飲むことによって、「かえって苦しさが酷くなった」のだとしたら では、もしほんとうに薬を服用することによって「かえって苦しさが酷くなった」のだとしたら、その場合はどうなります? ふだん、や…

みなさんのふだんの見方を用いて、副作用がほんとうに「たいしたことがない」のか、検証する(3/4)【医学は副作用を侮ってきた? part.3】

*短編集『統合失調症と精神医学の差別』の短編NO.44 ◆薬を飲むことによって、苦しさは「かえって酷くなった」のか、それとも「マシになった」のか いま登場してくれている女性は当初、他人にブスと思われているのではないかと気になって気になって仕方がな…

みなさんのふだんの見方を用いて、副作用がほんとうに「たいしたことがない」のか、検証する(2/4)【医学は副作用を侮ってきた? part.3】

*短編集『統合失調症と精神医学の差別』の短編NO.44 ◆薬を飲むことによって、当初の「苦しさ」を別の「苦しさ(副作用)」と交換する まず、こう想像してみましょうか。 ある女性が精神科にやってきて、「ブス、ブスという声が聞こえてきて、うるさくて堪ら…

みなさんのふだんの見方を用いて、副作用がほんとうに「たいしたことがない」のか、検証する(1/4)【医学は副作用を侮ってきた? part.3】

*短編集『統合失調症と精神医学の差別』の短編NO.44 目次・薬を飲むことによって、当初の「苦しさ」を別の「苦しさ(副作用)」と交換する・薬を飲むことによって、苦しさは「かえって酷くなった」のか、それとも「マシになった」のか・薬を飲むことによっ…

副作用を我慢してでも治療を受けるべきとみなさんが判断するのはどんな時か(5/5)【医学は副作用を侮ってきた? part.2】

*短編集『統合失調症と精神医学の差別』の短編NO.43 ◆みなさんは苦しさを比較したあと、生存期間の延長・短縮を考え合わせる ここまで、治療を受け、「かえって苦しさが酷くなる」場合Aと、「苦しさがマシになる」場合Bのふたつを、それぞれ点検してきま…

副作用を我慢してでも治療を受けるべきとみなさんが判断するのはどんな時か(4/5)【医学は副作用を侮ってきた? part.2】

*短編集『統合失調症と精神医学の差別』の短編NO.43 ◆B.治療を受け、苦しさがマシになる場合 今度はその反対を考えますね。治療を受け、「苦しさがマシになる」場合(先の選択肢のB)です。 いまさっきもクドクドと再確認しましたように、みなさんにとっ…

副作用を我慢してでも治療を受けるべきとみなさんが判断するのはどんな時か(3/5)【医学は副作用を侮ってきた? part.2】

*短編集『統合失調症と精神医学の差別』の短編NO.43 ◆A.治療を受けてかえって苦しさが酷くなる場合 Aから行きますね。治療を受けて、「かえって苦しさが酷くなった」場合です。 先ほど、みなさんがふだん、やれ健康だ、やれ病気だとしきりに言うことで争…

副作用を我慢してでも治療を受けるべきとみなさんが判断するのはどんな時か(2/5)【医学は副作用を侮ってきた? part.2】

*短編集『統合失調症と精神医学の差別』の短編NO.43 ◆そもそもみなさんは何を、健康、病気と見るか いきなりですが、ふだんのみなさんにとって、健康、病気という言葉がそれぞれ何を意味するか、最初に考えてみてくれますか。 健康とは、「健やかに康らかに…

副作用を我慢してでも治療を受けるべきとみなさんが判断するのはどんな時か(1/5)【医学は副作用を侮ってきた? part.2】

*短編集『統合失調症と精神医学の差別』の短編NO.43 目次・そもそもみなさんは何を、健康、病気と見るか・A.治療を受けてかえって苦しさが酷くなる場合・B.治療を受け、苦しさがマシになる場合・みなさんは苦しさを比較したあと、生存期間の延長・短縮…

ひょっとすると(精神)医学が勝手に副作用を「たいしたことがない」と侮ってきただけかもしれないという暗い予感(2/2)【医学は副作用を侮ってきた? part.1】

*短編集『統合失調症と精神医学の差別』の短編NO.42 では、つぎの文章を読ませてもらうところから始めますね。俺が手元にもっている岡田尊司精神科医著『統合失調症』(PHP新書、2010年)のなかにある一節です。 第二章で、幻覚妄想に効果がある薬として登…

ひょっとすると(精神)医学が勝手に副作用を「たいしたことがない」と侮ってきただけかもしれないという暗い予感(1/2)【医学は副作用を侮ってきた? part.1】

*短編集『統合失調症と精神医学の差別』の短編NO.42 医学はいッつも、治療(治療薬や手術等)の副作用はたいしたことがないと言いますよね。 でも、みなさん、ほんとうにそうだと思います? たしかに、これといった副作用をこうむらない患者さんもたくさん…