(新)Nothing happens to me.

科学には人間を理解することが絶対にできない理由がある

質問「この治療を受けると、寿命が2倍に伸びます。受けますね?」と言われたら、みなさんはどう反応するか?(4/8)


◆生存期間が2倍になる治療を勧められたとき、みなさんはどう考えるか

 いまから、ひとつの記事をもとに考察していきます。ただし、その記事の本文を読まなくても済むよう、こちらで要約してお届けしますね(でも本文をご覧になりたい方は是非どうぞ)。

 

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この記事です。

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 冒頭でも書きましたけど、70歳の男性です。検査を受けると、がんが見つかりました(この時点では、ものすごく苦しんでいるということはありません。体調はわりと穏やかなようです)。そして余命6ヶ月と宣告されます。手術は無理と判断され、抗がん剤治療を勧められました。


 そのとき、主治医からこう言われます。


抗がん剤治療は、効くかどうかやってみないと分かりませんが、統計上は延命効果があります。治療ガイドラインでも選択肢のひとつとして推奨しています。Bさんの今の状態なら外来で治療可能です。もちろん無治療の選択肢もあります。無治療の場合は余命6カ月、治療した場合は1年くらいと思ってください」


 抗がん剤を受けると、生存期間が6ヶ月伸びる可能性があるとの見立てですね。


 それを聞いて、老人は後日、別の医師(当該記事を書いた医師)に内心をこう吐露します。


抗がん剤治療は延命効果だけとなると、意味がないんじゃないかと思うのです。いずれまた悪くなるなら、治療を受けない方がいいのではと考えています。先生はやって何か意味があると思いますか? これまで70年間生きてきて、数カ月ほど長生きすることに意味があるのでしょうか」


 いま、老人(余命6ヶ月)が、勧められた抗がん剤治療(延命効果6ヶ月)に疑念を示しているのを目の当たりにしました。その疑念の趣旨と妥当性をこれから確認していきますよ。それが本題でしたよね。






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*今回の最初の記事(1/8)はこちら。