(新)Nothing happens to me.

科学の欠点、限界、見落としている大事なもの

統合失調症の「思春期に発症し、典型的な経過がみられたケース」を理解するpart.5(統合失調症理解#16)(4/6)

*短編集「統合失調症と精神医学と差別」から短編NO.37


◆女性の顔の幻視を見る

 で、その頃Nさんは、「女性の顔の幻視を見ることもあった」とのことでしたね。


 追い詰められたNさんは以前にも増して、女性のことを考えるようになっていたのかもしれませんね。暗い現実のなかに放り込まれたひとがしばしば、性や恋愛にヨリ多くの関心を寄せることは周知の事実なのではありませんか。ましてや、Nさんは思春期、真っ只なかですし、女性のことにのめり込んでいったとしても何ら不思議はありませんね?


 ひょっとすると、勉強しないといけないとか将来のことを真剣に考えないといけないとかいったようなときにも、しばしば、女性のことに気をとられしなければならないことがおろそかになってしまっていたのかもしれませんね。


 でも、そうしたときにまで自分が女性のことを考えるなんて、Nさんにはまったく思いも寄らないことだったのかもしれませんね。


 いや、いっそ、そのことも裏返しにして、語弊があるかもしれませんけど、こう言い改めてしまいましょうか。Nさんには、自分がそうしたときにまで女性のことを考えているはずはないという自信があったんだ、って。


 で、その自信に合うよう、Nさんは現実をこう解した。


 女性の顔のようなものが勝手に目のまえに浮かび上がってくる、って。


 中学生の頃にも、そうしたことがあったのではないかと、引用第1部で推測しましたよね? いま、そのときに言ったのとおなじことを言っていますよ。


〈参考:その推測は下の記事でしました。〉



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今回の最初の記事(1/6)はこちら。


Nさんのこの事例は全6回でお送りします。

  • part.1(短編NO.33)

  • part.2(短編NO.34)

  • part.3(短編NO.35)

  • part.4(短編NO.36)

  • part.5(短編NO.37)


   今回

  • part.6(短編NO.38)


このシリーズ(全48短編を予定)の記事一覧はこちら。