(新)Nothing happens to me.

科学の欠点、限界、見落としている大事なもの

統合失調症の「思春期に発症し、典型的な経過がみられたケース」を理解するpart.2(統合失調症理解#16)(8/8)

*短編集「統合失調症と精神医学と差別」から短編NO.34


◆part.2の締めの言葉

 以上、今回はつぎの2点を確認しました。一つは、Nさんが、勉強しないといけない身であるにもかかわらず、勉強を重荷に感じるようになってきているということ。もう一つは、Nさんが、Nさん自身のことをうまく理解できなくなってきているということ、でしたね。


 で、後者については例をふたつ挙げました。自分が同級生たちを疑りすぎているのに気づいていないということ、及び、自分がかなり女性に夢中になっているのに気づいていないということ、のふたつでしたね。


 どうでした? Nさんに「理解不可能なことは何一つ起こっていませんでしたよね?


 音楽をつい頭のなかで再生してしまって勉強にうまく集中できない。同級生たちを疑りすぎる。勉強中に女性のことに気をとられてしまう等々。そうした、思春期を迎えた中学生にはよく見られることがNさんにも起こっていただけですね? ただ一つ、ちょっと注釈が必要かもしれないことがあるとすれば、それは、NさんがNさん自身のことをうまく理解できていないということですけど、それも思春期にはよくあることなのではないでしょうか。


 さっきも言いましたように、思春期になると、自分がそれまでとはいろんな面で大きく変わってきますよね。特に多感になってきますね。そうして、それまで自分自身にたいしてもっていた「自分とはコレコレこういう人間である」というイメージから、実際の自分が乖離していきますね? そのとき、自分自身にたいしてもってきたイメージを、新しい自分のありようにも合致するものとなるよう、修正することがうまくできない、つまり、新しい自分について行けないということは、程度の差はあれ、思春期には誰にでもあることなのではありませんか。


 いや、たしかに、ついさっき、Nさんに「理解不可能」なことは何一つ起こっていなかったと言いましたよ。だけど、もちろん、Nさんのことをいま完璧に理解し得たとまでは言うつもりはありません。むしろ、正直な話、Nさんのことを多々誤ったふうに決めつけてきてしまったのではないかと気が咎め、いま密かに反省しているところですよ。


 でも、さすがに、今回見たNさんが「理解可能」であるということ自体は疑えませんね?


 みなさんのように申し分のない人間理解力をもったひとたちになら、今回のNさんが完璧に理解できるということは、十分明らかになりましたよね?


 このあと、ひきつづき引用第2部を、この要領で見ていきます。


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今回の最初の記事(1/8)はこちら。


Nさんのこの事例は全6回でお送りします。

  • part.1(短編NO.33)

  • part.2(短編NO.34)


   今回

  • Part.3(短編NO.35)

  • Part.4(短編NO.36)

  • Part.5(短編NO.37)

  • Part.6(短編NO.38)


このシリーズ(全48短編を予定)の記事一覧はこちら。