*短編集「統合失調症と精神医学と差別」から短編NO.9
◆結論
さあ、男子大学生さんが「隣から悪口が聞こえてくる」「頭の中に機械が埋め込まれている」と訴え、隣家に怒鳴り込んだり、頭の中の機械をとり除いてもらうべく脳外科を受診したりするというのがどういうことか、ここまで見てきました。
果して俺は、その男子大学生さんのことをいま理解し得たと言えるでしょうか。いや、正直な話、男子大学生さんのことをいま完璧に理解し得たと胸を張れるとは、俺自身、まったく思っていませんよ。むしろ、男子大学生さんのことを多々誤ったふうに決めつけてしまったのではないかと気が咎めて肩を落としているくらいですよ。
でも、こういった手応えは感じます。
統合失調症と診断され、「理解不可能」と決めつけられてきたこの男子大学生さんが、実は「理解可能」だったということは、いまの考察からでも十分に明らかになっただろう、って。
みなさんのように申し分のない人間理解力をもったひとたちになら、この男子大学生さんのことが、完璧に理解できると証明するくらいのことは、いまの考察でも十分にできただろう、って。
今回は、「隣から悪口が聞こえてくる」「頭の中に機械を埋め込まれている」と訴える、統合失調症と診断された、ひとりの男子大学生さんに登場してもらい、その男子大学生さんが(精神)医学の見立てに反し、ほんとうは「理解可能」であることを実地に確認しました。
次回は3月2日(月)21:00頃にお目にかかります。
2020年2月20日に文章を大幅に削除したうえで、文章を一部修正しました。同年同月26日に目次項目を修正しました。
また2021年8月4,11日にも文章を一部修正しました。
*今回の最初の記事(1/5)はこちら。
*前回の短編(短編NO.8)はこちら。
*このシリーズ(全26短編を予定)の記事一覧はこちら。