*短編集「統合失調症と精神医学と差別」から短編NO.11
◆(精神)医学は人間差別の体系である
ともあれ、以上、みなさん、どうでしたか。(精神)医学が、統合失調症の症状と診断し、世間に向かって「理解不可能」であると説明する、この男性の3つの体験、「監視されている」「数字が合図を送ってくる」「盗聴されている」をここまで見てきて、ほんとうに「理解不可能」だと思いましたか。
いや、むしろ「理解可能」だと確信したのではありませんか。
もちろん、その3つの体験をいま完璧に理解し得たとは、俺自身まったく思いませんよ。そんな大それたこと、思えるはずありませんね? 正直な話、男性のことを多々誤ったふうに決めつけてきてしまった気がして、肩をガックリ落としているくらいですよ。
でも、そんな不十分ないまの考察からでも、この男性がほんとうは「理解可能」であるということは、十分明らかになったのではないでしょうか。みなさんのように申し分のない人間理解力をもったひとたちになら、この男性のことが完璧に理解できるということはハッキリしたのではないでしょうか。
今回は、「監視されている」「数字が合図を送ってくる」「盗聴されている」と訴えるひとりの男性に登場してもらい、(精神)医学に統合失調症と診断され、「理解不可能」と決めつけられてきたその男性が、ほんとうは「理解可能」であることを実地に確認しました。
次回は4月20日(月)21:00頃にお目にかかります。みなさん、stay safe!
2021年8月17,18,19日に文章を一部修正しました。
*今回の最初の記事(1/8)はこちら。
*前回の短編(短編NO.10)はこちら。
*このシリーズ(全26短編)の記事一覧はこちら。