(新)Nothing happens to me.

科学には人間を理解することが絶対にできない理由がある

統合失調症の「自分しか知らないはずのことをみんなが何故か知っている」「幻聴が同級生の声で早く死んじゃえばいいのにと言ってくる」「夜になると近所から悪口が聞こえる」を理解する(4/4)【統合失調症理解#7-part.1】

*短編集『統合失調症と精神医学の差別』の短編NO.13


 さて、ここまで、こう指摘してきました。Cさんはしきりに「現実修正解釈」をしていたのではないか、って。だけど、Cさんのことを批判しようとしてそんな指摘をしてきたのではありませんよ。いや、批判だなんてめっそうもないことですよ。Cさんを批判しようというつもりは、当たりまえですけど、ここにはまったくありません。ただ、統合失調症と診断され、「理解不可能」と決めつけられてきたそのCさんが、(精神)医学のそうした見立てに反し、ほんとうは理解可能であることを示したい一心で、そんな指摘をしてきたまでですよ。


 だいたい、「現実修正解釈」をすることなく、日々生活しているひとなどこの世に誰かひとりでも存在するとみなさん思います? みなさんだって、世間のひとたちだって、俺だって、程度の差はあれ、そうした「現実修正解釈」をしょっちゅうするではありませんか。Cさんのことを、「現実修正解釈」をしていることをもって批判することのできるひとなんて、ただのひとりもいやしませんよね?


 以上、今回は、中学生のころのCさんを見ました。(精神)医学はそうしたCさんのことを、すでに幻聴を聞くようになっていると言って、「理解不可能」と決めつけ、統合失調症と診断してきたにちがいありませんね。でも、どうでした? 今回のCさんは理解不可能なんかではありませんでしたよね?


 もちろん、いまの考察でCさんのことを完璧に理解し得たとは、俺自身つゆ思いませんよ。むしろ申し訳ないことに、多々誤解してしまったのではないかとひどく気に病んでいるというのが正直なところですよ。でも、そうは言ってもさすがに、今回見たCさんがほんとうは理解可能であるということは、いまの考察からでも十分明らかになったのではありませんか? みなさんのように申し分のない人間理解力をもったひとたちになら、そのCさんのことが完璧に理解できるということは、いま十分に示せたのではありませんか?


 ひきつづき、Cさんが(精神)医学の見立てに反し、ほんとうは「理解可能」であるということを、残りふたつの短編で、実地に確認していきます。

 

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その残りふたつの短編はこちら。

  • part.2(短編NO.14)

  • part.3(短編NO.15)

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2021年9月3,4,5日に文章を一部修正しました。


次回は来週、5月11日(月)21:00頃にお目にかかります。Stay safe! Stay home!


*今回の最初の記事(1/4)はこちら。


*前回の短編(短編NO.12)はこちら。


*このシリーズ(全64短編を予定)の記事一覧はこちら。