(新)Nothing happens to me.

科学の欠点、限界、見落としている大事なもの

統合失調症の「体感幻覚」「テレビ・ラジオ幻聴」「高校生幻聴」「車幻聴」を理解するpart.3(統合失調症理解#7)(1/6)

*短編集「統合失調症と精神医学と差別」から短編NO.15

目次
・場面4:高校生幻聴
・場面5:テレビ・ラジオ幻聴
・場面6:仲間幻聴
・場面7:車幻聴
・医学がCさんを「理解不可能」と決めつけるやり方
・医学もCさんのように「現実修正解釈」をやってきた


◆場面4:高校生幻聴

理解不可能なひとなどこの世にただのひとりも存在し得ないということを以前、論理的に証明しましたよね。だけど(精神)医学は、一部のひとたちを不当にも「理解不可能」と決めつけ、差別してきました。


 統合失調症と診断され、そのように差別されてきたCさんに、現在、登場してもらっています。で、そのCさんがほんとうは理解可能であるということを、7つの場面をもちいて確認しようとしています


 ここまで場面を3つ見てきましたよね。ひとつは「Cさん中学生時代の場面」、残りふたつは「Cさん現在の寝起き場面」でしたね。


(参考1:「Cさん中学生時代の場面」)


(参考2:「Cさん現在の寝起き場面」)


 それら3場面を見てきたのとおなじ要領で、引用のつづきをさらに追っていきますよ。今回は最後の4場面をつづけざまに見ていきます。

 体感幻覚だけではなく、Cを悩ます症状に幻聴さんがある。体験幻覚と幻聴さんは、苦労の両輪となってやってくる。そこで体験幻覚のチェックと同様に、Cにどのような幻聴さんが影響を与えているのかを調査した。(略)


[パターン①]高校生幻聴

 下校の途中に働かないで何してんだ」「あいつは変態だみたいにバカにしてくる


対処方法▶高校生に向かってにらむ、怒鳴る、喧嘩を売る。


結果▶かえって関係が険悪になって傷口をひろげる(『浦河べてるの家の「当事者研究」』医学書院、2005年、p.121、ただしゴシック化は引用者による)。

べてるの家の「当事者研究」 (シリーズ ケアをひらく)

べてるの家の「当事者研究」 (シリーズ ケアをひらく)

 


 下校途中の高校生と道ですれ違うときCさんは高校生に内心、「働かないで何してんだとかあいつは変態だとかと思われているのではないかと気になるのかもしれませんね。だけどそのいっぽうでCさんには自信がある。高校生に内心悪く思われているのではないかと自分が気にしているはずはないといった自信が。で、その自信に合うよう、Cさんは現実をこう解する。


 道ですれ違いざま、下校途中の高校生が「働かないで何してんだ」とか「あいつは変態だ」とかと言ってくるのが耳に入る、って。


 そしてCさんは「高校生に向かってにらむ、怒鳴る、喧嘩を売る」。


 いまこう推測しましたよ。高校生とすれ違うとき、Cさんは、高校生に「働かないで何してんだ」とか「あいつは変態だ」とかと内心悪く思われているのではないかと気になる(現実)。しかしそのいっぽうでCさんには「自信」がある。高校生に内心悪く思われているのではないかと自分が気にしているはずはないといった自信が。そのように「現実自信とが背反するに至ったとき、ひとにとることのできる手は、つぎのふたつのうちのいずれかではないかと依然、俺には思われます。

  • A.現実に合うよう、自信のほうを修正する。
  • B.自信に合うよう現実のほうを修正する


 で、その場面でもCさんは後者Bの「自信に合うよう、現実のほうを修正する」手をとる。すなわち、高校生に内心悪く思われているのではないかと自分が気にしているはずはないといった自信に合うよう、現実をこう解する。


 道ですれ違いざま、下校途中の高校生が「働かないで何してんだ」とか「あいつは変態だ」とかと言ってくるのが耳に入る。


 いまの推測を箇条書きにしてまとめてみますね。

  • ①高校生とすれ違うとき、高校生に内心悪く思われているのではないかと気になる(現実)。
  • ②高校生に内心悪く思われているのではないかと自分が気にしているはずはないといった自信がある(現実と背反している自信)。
  • ③その自信に合うよう、現実をこう解釈する。「すれ違いざま、高校生が悪口を言ってくるのが耳に入る」(現実修正解釈


前回の短編(短編NO.15)はこちら。


前々回の短編(短編No.14)はこちら。


このシリーズ(全26短編を予定)の記事一覧はこちら。