(新)Nothing happens to me.

科学の欠点、限界、見落としている大事なもの

統合失調症の「カガヤ臭いという声が聞こえてくる(幻聴)」「殺し屋に狙われているという幻覚(幽霊論)」を理解するpart.1(統合失調症理解#12)(4/7)

*短編集「統合失調症と精神医学と差別」から短編NO.19


 いまの推測をざっと頭から簡単にふり返ってみますよ。


 真うしろに座っている女子生徒が下じきでその仏頂面を扇いでいるのを見て、ボクが臭いんだと思い込んだ加賀谷少年は以後いろんな場面で、心配に襲われるようになった。ひとに臭い匂いで嫌な思いをさせ、恨まれているのではないか、って(現実)。ところがその反面、少年には、そんな心配をしているはずはないという「自信」があった。そのように「現実自信とが背反するに至ったとき、ひとにとることのできる手は、つぎのふたつのうちのいずれかであるように俺には思われます。

  • A.「現実」に合うよう、「自信」のほうを修正する。
  • B.「自信」に合うよう、「現実のほうを修正する


 で、加賀谷少年はその都度、後者Bの「自信に合うよう、現実のほうを修正する」手をとった。そんな心配をしているはずはないという自信に合うよう、現実をこう解しつづけた。


「カガヤ臭い」とボクを責める声が聞こえてくる、って。


 いま見ましたところを、箇条書きにしてまとめるとこうなります。

  • ①ひとに臭い匂いで嫌な思いをさせ、恨まれているのではないかと、いろんな場面でひどく心配になる(現実)。
  • ②そんな心配をしているはずはないという自信がある(現実と背反している自信)。
  • ③その自信に合うよう、現実をこう解釈する。「『カガヤ臭い』とボクを責める声がつねに聞こえてくる」(現実修正解釈


◆「現実」を「予想」のほうに合わせる

 さて、いま、ハウス加賀谷さんのいわゆる幻聴体験について、こう推測しましたよね。ハウス加賀谷さんは現実修正解釈をしていたのではないか、って。この現実修正解釈については、最近ずっと見てきていますね。この短編集の短編No.8からずっと、ね(今回は短編No.19)? 統合失調症と診断されたひとたちがそうした解釈をしているのを、ね?


 その現実修正解釈というのは、いまも確認しましたように、「自信現実」とが背反したときの一操作のことです。けど、それは、「予想現実」とが背反したときの一操作と言い換えることもできます。


 つまり、自分の「予想に反することが現実に起こったときに、その「予想」と「現実」のふたつのうちのいっぽうである「現実」のほうを、もういっぽうの「予想」に合うよう修正する操作であるとも言えます*1


 どういうことか、イマイチわかりにくいですか? では、ハウス加賀谷さんのいまさっきの体験を再度もちいてじっくり確認してみましょうか。


ひとつまえの記事(3/7)はこちら。


前回の短編(短編NO.18)はこちら。


このシリーズ(全43短編を予定)の記事一覧はこちら。

 

*1:ただし、こう言い換えることのできない事例も当然あるものと考えられます。今後もこの短編集で、統合失調症と診断されたひとたちが「現実修正解釈」をしているのをいくつも確認していきますが、そのなかには、いまのような言い換えができない場合も、いくつか含まれます。