(新)Nothing happens to me.

科学の欠点、限界、見落としている大事なもの

統合失調症の「頭の中に機械が埋め込まれている」を理解する(統合失調症理解#2)(3/5)

*短編集「統合失調症と精神医学と差別」から短編NO.9


 つまり、こういうことですよ。


 たとえば、大学から帰宅したあと部屋でひとりになった男子大学生さんが、自分はひとに内心「勉強できなさそうだなあ」とか「家にばかりいて何してるの?」といったように悪く思われているのではないかとしきりに気にしているような場面をひとつ、想像してみてくれますか。ところが、その男子大学生さんには自信があった。ひとに内心悪く思われているのではないかと自分が気にしているはずはないといった自信が。で、その自信に合うよう、男子大学生さんは現実をこう解した


 ひとの声がしきりに「勉強できなさそうだなあ」とか「家にばかりいて何してるの?」と悪口を言ってきて、ボクを困らせる、って。


 でも、その声はいったいどこから聞こえてくるのだろうと男子大学生さんには不思議でならなかった。男子大学生さんは考えた。そして考えに考えた挙げ句、あるとき、こう確信した。「隣の家からだとしか考えられない」。そしてそれから数年後、「就職して半月ほどして、また幻聴が聞こえるようになり、眠れなくなった」とき、とうとう我慢の限界に達し、「もう聞き捨てならない」とばかりに隣家へ怒鳴り込んでいくことになった  


 男子大学生さんの「隣から悪口が聞こえてくる」という訴えから、俺はそのような場面を思い描いたりしますが、みなさんはどうですか。


 ここでも、いま見たところを箇条書きにしておきますね。内容は、最初にふり返った男性患者さんの場合とまったくおなじですけど。

  • ①ひとに内心悪く思われているのではないかと気にしている(現実
  • ②ひとに内心悪く思われているのではないかと自分が気にしているはずはないといった自信がある(現実と背反している自信
  • ③その自信に合うよう、現実をこう解釈する。「声が悪口を言ってくる」(現実修正解釈


ひとつまえの記事(2/5)はこちら。


前回の短編(短編NO.8)はこちら。


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