(新)Nothing happens to me.

科学の欠点、限界、見落としている大事なもの

統合失調症の「思春期に発症し、典型的な経過がみられたケース」を理解するpart.6(統合失調症理解#16)(9/9)

*短編集「統合失調症と精神医学と差別」から短編NO.38


◆診断という名の差別で患者を傷つける

 このように、ほんとうは「理解可能」で、正常であるNさんのことを、(精神)医学は、不当にも「理解不可能」と決めつけ、異常であるということにして、差別してきました。人生に挫折しそうになっているなか、精神科で権威者からそうした差別を受け、Nさんは果してどう感じたことでしょうね?


 前のほうでも一度言いましたように、余計、追い詰められることになったのではないでないかと、みなさん思いません?


 そうした差別を医学という名の権威から受けていたNさんは、人間の尊厳を踏みにじられたような屈辱を覚えていたのではないかと俺は想像します。実際、浪人2年目に入院することになったふたつ目の精神科での一場面が先ほど、こう書かれていました。

それでも急に看護スタッフに対して、些細なきっかけから、「何か不安で死にたくなっちゃった」と訴えることもあれば、「先生クスリをくれた後ぼくのことを笑っていたでしょう」「ハエが頭の中で飛び回っている」などと被害妄想や体感幻覚を思わせる発言が続いていた岩波明精神疾患角川ソフィア文庫、2018年、p.129、ただしゴシック化は引用者による)。

精神疾患 (角川ソフィア文庫)

精神疾患 (角川ソフィア文庫)

 


 読みました? Nさんが精神科医に笑われているように感じていた旨、記してありましたよね? ほんとうは「理解可能」で、正常であるにもかかわらず、不当にも「理解不可能」と決めつけられ、異常扱いされていたら、そりゃあ大抵誰だって、そんなふうに、バカにされていると感じるものなのではありませんか?


 そのようにバカにされていると感じるのはほんとうに、被害「妄想」に当たるでしょうか?


 いや、決して「妄想」なんかには当たりませんね? 現にNさんは、(精神)医学に差別されるという被害をこうむっていますよね? そのことをこのたび、しっかりみなさんと実地にひとつひとつ確認してきましたね?


8/9に戻る←) (9/9) (→次回短編はこちら)

 

 

次回は5月3日(月)21:00頃にお目にかかります。2ヶ月ほど、お休みを頂きますね。


今回の最初の記事(1/9)はこちら。


Nさんのこの事例は全6回でお送りしました。

  • part.1(短編NO.33)

  • part.2(短編NO.34)

  • part.3(短編NO.35)

  • part.4(短編NO.36)

  • part.5(短編NO.37)

  • part.6(短編NO.38)

   今回


このシリーズ(全48短編を予定)の記事一覧はこちら。