*短編集『統合失調症と精神医学の差別』の短編NO.10
◆(精神)医学は統合失調症である
でも(精神)医学には、Aさんのようなひとたちのことがまったく理解できてきませんでした。みなさんと違って、(精神)医学には、Aさんたちのことを理解するだけの人間理解力がなかったわけです。ところが(精神)医学は反対に、(精神)医学の人間理解力は完璧であるはずだという自信をずっともってきました。で、その自信に合うよう、現実をこう修正してきました。
Aさんたちのことが(精神)医学に理解できないのは、Aさんたちが「理解不可能」だからだ。Aさんたちが「永久に解くことのできぬ謎」だからだ、「了解不能」だからだ、って。
いま言ったことを最後に、箇条書きでまとめてみますね。
- ①(精神)医学には、Aさんたちのことを理解するだけの人間理解力がない(現実)。
- ②(精神)医学には反対に、「(精神)医学の人間理解力は完璧であるはずだ」という自信がある(現実と背反している自信)。
- ③その自信に合うよう、(精神)医学は現実をこう解する。「Aさんたちのことが(精神)医学に理解できないのは、Aさんたちが理解不可能だからだ」(現実修正解釈)
今回は、「わたしはエスパーだ」「頭のなかを監視されている」等と訴えるAさんの話を傾聴しました。そして、(精神)医学に統合失調症と診断され、「理解不可能」と決めつけられてきたそのAさんが、(精神)医学のそうした見立てに反し、ほんとうは「理解可能」であることを実地に確認しました。
2020年3月25日に文章を一部訂正しました。次回は1ヶ月後、4月6日(月)21:00頃にお目にかかります。
2021年8月9,10,11日に文章を一部修正しました。
*今回の最初の記事(1/10)はこちら。
*前回の短編(短編NO.9)はこちら。
*このシリーズ(全64短編を予定)の記事一覧はこちら。