(新)Nothing happens to me.

科学の欠点、限界、見落としている大事なもの

統合失調症の「わたしはエスパーだ」「頭のなかを監視されている」を理解する(統合失調症理解#3)(6/10)

*短編集「統合失調症と精神医学と差別」から短編NO.10


◆場面3

 つぎの場面に進みましょう。

 いつしか、私をいじめていた人たちが幻聴としてあらわれ、一日中私についてくるようになりました。私がどこに行こうとも、私の考えていることが相手に伝わります。繰り返し笑われたり、トイレに入っても「ねー、あれ見た? 見た?」と売り場の人たちから噂されます。 


 Aさんはこう言っていますよね。「私をいじめていた人たちが幻聴としてあらわれ、一日中私についてくるようになりました」って。これは、いつしかAさんが一日中従業員たちにどう思われているのか気にするようになった現実)ということを意味するのではありませんか。


 でもAさんには依然、自信があった。「ひとにどう思われているのかを自分が気にしているはずはない」といった自信が。で、その自信に合うよう、現実をこう解した。


 従業員たちの声が一日中、わたしについてくるようになった、って。


 箇条書きにしてまとめるとこうなります。

  • ①一日中、従業員たちにどう思われているのか気になる(現実)。
  • ②「ひとにどう思われているのかを自分が気にしているはずはない」といった自信がある(現実と背反している自信)。
  • ③その自信に合うよう、現実をこう解釈する。「従業員たちの声が一日中、わたしについてくる」(現実修正解釈


 さらにAさんはこうも言っていましたね。「私がどこに行こうとも、私の考えていることが相手に伝わります。繰り返し笑われたり、トイレに入っても『ねー、あれ見た? 見た?』と売り場の人たちから噂されます」って。これはつまり、Aさんはどこに行っても従業員たちに自分の考えを見抜かれ嗤われたり噂されたりしているのではないかと気が気ではなくなり、トイレのなかですら息がつけなくなった現実)ということを意味するのではありませんか。


 でもAさんにはやはり自信があった。「ひとにどう思われているのかを自分が気にしているはずはない」といった自信が。で、その自信に合うよう、Aさんは現実をこう解した。


 どこに行っても、わたしの考えていることが従業員たちにモレ伝わり、嗤われたり噂されたりするんだ。トイレに入ってすら、売り場のひとたちに噂されているのが聞こえてきて、息がつけないんだ、って。

  • ①どこに行っても、従業員たちに自分の考えを見抜かれ、嗤われたり噂されたりしているのではないかと気が気ではなくなり、トイレのなかですら息がつけない(現実)。
  • ②「ひとにどう思われているのかを自分が気にしているはずはない」といった自信がある(現実と背反している自信)。
  • ③その自信に合うよう、現実をこう解釈する。「どこに行っても、わたしの考えていることが従業員たちにモレ伝わり、嗤われたり噂されたりする。トイレに入ってすら、売り場のひとたちに噂されているのが聞こえてきて、息がつけない」(現実修正解釈


2020年4月18日に、内容はそのままに文字を一部追加しました。


ひとつまえの記事(5/10)はこちら。


前回の短編(短編NO.9)はこちら。


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