(新)Nothing happens to me.

科学の欠点、限界、見落としている大事なもの

統合失調症の「思春期に発症し、典型的な経過がみられたケース」を理解するpart.6(統合失調症理解#16)(5/9)

*短編集「統合失調症と精神医学と差別」から短編NO.38


◆Nさんが争点にしていたのは何か

 いま、こう言いましたよ。Nさんは苦しさを訴え」、苦しまないで居てられるようになることを要望していたがその声は医師や看護師には届いていなかったのではないか、って。


 せっかくですし、この機会に、いま言ったそのことが何を意味するのか、今後のために、ちょっと立ち止まって考察しておきましょうか。


 そもそも、ふだんのみなさんにとって、健康や病気という言葉は何を意味します?


 健康とは「健やかに康らかに」と書きますね? ふだんのみなさんにとって、健康という言葉は、苦しんでいないということを表現するものではありませんか。


 いっぽう病気とは、「気を病む」と書きますよね? 「気を病む」とは苦しむということですね? ふだんのみなさんにとって、病気という言葉は、苦しんでいるということを、その苦しみが手に負えないようなときに表現するものではありませんか。


 つまり、みなさんがふだん、やれ健康だやれ病気だとしきりに言うことで争点にするのは苦しくないか苦しいか(快いか、苦しいか)、ではありませんか。


 苦しくないか苦しいか、を争点にするそんなみなさんの姿勢は、もちろん、病院の診察室や病室のなかでも変わらないものと思われます。


 みなさんは、病院の診察室や病室で、医師相手に、目が見えにくいとか、息がしにくいとか、気分が鬱々とするとかと言って、苦しさを訴えますね? で、そのとき、目がよく見えるようになりたいとか、息がしやすくなりたいとか、気分が晴れるようになってほしいとかと言って、苦しまないで居てられるようになることを要望しますね?


 そうして、みなさんは、苦しくないか苦しいか、を診察室や病室でも変わらず、争点にしますね?


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Nさんのこの事例は全6回でお送りしています。

  • part.1(短編NO.33)

  • part.2(短編NO.34)

  • part.3(短編NO.35)

  • part.4(短編NO.36)

  • part.5(短編NO.37)

  • part.6(短編NO.38)

   今回


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