(新)Nothing happens to me.

科学の欠点、限界、見落としている大事なもの

障害、障がい、障碍、はどれもみな差別用語である(5/5)

*短編集「統合失調症と精神医学と差別」から短編NO.4

◆「脳の障害」という言葉を例に確認する

(精神)医学はこれまで、精神病は「脳の障害」であると言ってきましたよね。今度はその「脳の障害」という表現を見てみますよ。


 異常なひとはこの世にただのひとりも存在し得ないにもかかわらず、医学は一部のひとたちのことを、「精神に異常がある」と判定し、精神病に罹患していると言ってきましたよね(1.異常という言葉は差別論理である)。


 その、精神とか心とか意識とかといった名で呼ばれてきたもののありようを、医学は、身体のなかの脳という一点のせいにし、心(精神)とは脳の働きであると言ったりします。そんな医学にとって、「精神に異常がある」と言うのは、「脳に異常がある」と言うのと(ほぼ)同義です。


(参考A:下の本には「心はじつは脳の作用であり、つまり脳の機能を指している」といったふうに書いてありますね。p.28です。)

唯脳論 (ちくま学芸文庫)

唯脳論 (ちくま学芸文庫)

 

(参考B:下の本には「こころは(略)脳のはたらきのことを意味している」といったふうに書いてありますよ。p.2です。)

脳科学の教科書 こころ編 (岩波ジュニア新書)

脳科学の教科書 こころ編 (岩波ジュニア新書)

  • 作者: 
  • 出版社/メーカー: 岩波書店
  • 発売日: 2013/06/21
  • メディア: 新書
 

(参考3:ちなみに、そんなふうに脳一点のせいにすることは誤りであると、以前に既に確認しています。)


 さあここから、さっき挙げた箇条書きの流れ(2から4)にしたがって見ていきますよ。


 そのように「脳に異常がある」と言うのは、そのひとの脳を、「作り手の定めたとおりになっていない」と見、脳が「作り手の定めたとおりになっていない」そのことを問題視することですよね(2.異常の意味)。


 では、脳が「作り手の定めたとおりになっていない」そのことを問題視して、身体のなかの一点のせい(脳内物質の欠乏とか過剰とかのせい)にするどうなります(3.身体のなかの一点のせいにする)? その一点は、脳が「作り手の定めたとおりになる」のを妨げているということになりますね? したがって、脳が「作り手の定めたとおりになっていない」というのは、脳が作り手の定めたとおりになるのを身体のなかの一点によって妨げられている」ということであることになりますね?


 で、脳が「作り手の定めたとおりになるのを・身体のなかの一点によって妨げられている」そのことは、何々が「Aになるのを・障害物によって妨げられている」という文型に当てはまることから、「脳の障害」と表現されることになりますよね(4.世間の用法)?


「脳の障害」という言葉が、「精神に異常がある」という差別表現の単なる言い換えにすぎないことが、いま確認できましたね? 


◆問いへの答え

 さて、ひととおり見終わりました双極性障害とか発達障害とか脳の障害とかと言うときのその障害という言葉が、「異常という差別用語の単なる言い換え」にすぎないことが確認できましたよね。


 そして、最初に投げかけた問いにこう答えることができるようになりましたね。


 最初にこう問いましたよ。双極性障害とか発達障害とかと言うときのその障害という言葉は障がいとか障碍といったふうに表記を改められるべきなのでしょうか、って。その問いには、いまやこう答えられますね。


 障害を、障がい、もしくは障碍と書き改めても、残念ながら何も意味は変わりません。どう書き換えても、「異常という差別用語の単なる言い換え」にすぎないことに変わりはありません、って。


ひとつまえの記事(4/5)はこちら。


今回の最初の記事(1/5)はこちら。


「障害(障がい、障碍を含む)という言葉は差別用語である」というこのことを後日、今回のとは別の仕方(イメージに着目する仕方)で考察し直してみるつもりにしています。

  • うまくいきましたら、後日ここにURLを貼りますね。


前回の短編(短編NO.3)はこちら。


このシリーズ(全26短編を予定)の記事一覧はこちら。