(新)Nothing happens to me.

科学はボタンをかけ違えたまま来たのではないでしょうか。

脳は、運動や言語活動やを司らないのなら、いったい何をするのかなあ?

baseballは科学を批判しつづける第10回

 科学は、「身体の物的部分」で物質的出来事が起こるのに関与するのは、「身体の物的部分のうちの物質だけであるとし(「身体の物的部分」を機械とし)、「身体の物的部分」に起こる物質的出来事を、「身体の物的部分」のうちの一点によって引き起こされるものとする。たとえば、運動する、話す、眠る、決意する、記憶する、計画を立てるといったときに「身体の物的部分」に起こる物質的出来事を脳という一点によって引き起こされることにして、脳がそれら、運動、言語活動、睡眠、意思、記憶、などを司る(コントロールする)と言う。


 しかし、脳は運動や言語活動や睡眠やを司ったりはしない。


 脳が実際にするのは「身体の物的部分」各所のコントロールではない。


 では、脳が実際にするのは何か


 くり返しみなさんにはプロ野球ライブ中継でご覧になる場面をご想像いただいてきた。マウンドからボールを投げるとき、大谷選手の「身体の物的部分」(、神経、脊髄、筋肉、関節、臓器、血液、その他)、大谷選手の「身体の感覚部分」、大谷選手が目の当たりにする景色や聞く音、大谷選手自身の過去体験記憶や未来体験予想などが、「応答し合いながら共に在るのを。マウンドからボールを投げるとき大谷選手の脳は、神経、脊髄、筋肉、関節、臓器、血液、「身体の物的部分」のうちのそれ以外のもの、大谷選手の「身体の感覚部分」、大谷選手が目の当たりにする景色や聞く音、大谷選手自身の過去体験記憶や未来体験予想などと、「応答し合いながら共に在る」。マウンドからボールを投げるこのとき(だけには実は限らないが)、大谷選手の脳がするのはこのように、「応答しながら他のものと共に在ることである。他のものと共に在るにあたって応答することである。大谷選手の脳がするのは、大谷選手の「身体の物的部分各所をコントロールすることなどでは決してない


 脳は運動を司らないし、言語活動も司らない、意思も、睡眠も、記憶も、司らない。「身体の物的部分」に起こる物質的出来事を脳という一点によって引き起こされるものと解することはできない。その理由を「科学の身体研究からぬけ落ちている大事なもの」のchapter4で事細かにあげていく予定であると先に申し上げたが、ここでひとつだけ言わせていただくことにする。


 脳には、「身体の物的部分」各所から神経がやってきて、また逆に脳からも神経が「身体の物的部分」各所に出ていくと言われ、前者の、神経が脳にやってくる経路は求心路、後者の、神経が脳から出ていく経路は遠心路と呼ばれる。脳は、この求心路から「身体の物的部分」各所の情報を受け、反対に遠心路を介して「身体の物的部分」各所に指令を送ると科学は解するけれども、実際のところ、脳と同じように、「身体の物的部分」のどの箇所も、神経がやってくる経路と、神経が出ていく経路の真ん中にあると認められるはずである。


 たとえば腸を中心に考えれば、腸は、脳から神経がやってくる求心路と、脳へと神経がやっていく遠心路の真ん中にあると見ることができる。では、この求心路と遠心路とでできた、脳と腸をむすぶ輪っかの中心に位置して、この輪っかによってできた機構をコントロールするのは腸なのか、それとも脳なのか。科学は腸を第二の脳と呼ぶと聞くが、それは、この機構を脳という一点がコントロールすると見るのも、反対に腸という一点がコントロールすると見るのもどちらも不適切であるということを暗に示しているのではないだろうか。


 そしてこれと同様のことが、「身体の物的部分」のどの箇所にも言えるように思われる。「身体の物的部分」のどの箇所も、脳から神経がやってくる求心路と、脳へと神経がやっていく遠心路の真ん中にあると見ることができる。では、その求心路と遠心路とでできた、脳とその箇所をむすぶ輪っかの中心に位置して、この輪っかによってできた機構をコントロールするのは当の箇所なのかそれとも脳なのかというと、そのどちらとも言えないということになるのではないだろうか


 脳や脊髄といった一点が「身体の物的部分」各所をコントロールすると見ることはできない。脳は、運動や、言語活動、意思、睡眠、記憶などを司ったりはしない。脳がするのは、「応答しながら、神経、脊髄、筋肉、関節、臓器、血液などや、「身体の感覚部分」、周囲の存在たち(音、匂い、味を含む)の姿、過去体験記憶、未来体験予想らと共に在る」こと、「それらと共に在るにあたって応答する」ことなのである*1

つづく


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*1:2018年9月3日に、内容はそのままで表現のみ一部修正ました。