*短編集「統合失調症と精神医学と差別」の短編NO.48
◆身体とは何か
はたして身体とは一体、何でしょうね?
いま、俺の頭のてっぺんから、下半身の末端まで、感覚がひと連なりになっています。
みなさんもそうですね?
で、その「感覚」がひと連なりになって占めているのとほとんどおなじ場所を、皮膚、脂肪、骨、靱帯、血管、血液、神経、爪、臓器、水分、といった物(以後、ブツと呼ぶことにします)もまた同時に占めていますね?
つまり、「感覚」と「物」というふたつの別ものが、ほぼおなじ場所を同時に占めていますよね?
そのように、ほぼおなじ場所を占めている「感覚」と「物」とをひとつに合わせて、みなさんはふだん、身体と呼んでいるのではありませんか。
ふだんみなさんは、前者の「感覚」のことを、身体の感覚(カラダ・ノ・カンカク)とか身体感覚(シンタイ・カンカク)と呼びますね? それは、「感覚」を、いま言いましたとおり、身体の一部と見ているということではありませんか?
ちなみに、ふだんのみなさんのその「身体の感覚」という呼び方にならって、後者の「物」については今後、身体の物(カラダ・ノ・ブツ)と呼ぶことにしますよ(それとも、身体感覚という言い方のほうにならって、身体物 シンタイ・ブツ と呼んだほうがいいでしょうか)。
さあ、いま、身体とは、ほぼおなじ場所を占めている「身体の感覚」と「身体の物」とを合わせたもののことであると確認しました。
ふだんみなさんは身体のうちにこうして「感覚」を含めます。
ほら、身体は機械ではありませんね?
機械にはない「感覚」といったものが身体にはありますね?
*前回の短編(短編NO.47)はこちら。
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