(新)Nothing happens to me.

科学には人間を理解することが絶対にできない理由がある

医学のものの見方が雑すぎることを、HPVワクチンを例に確認する〈1/8〉

*医学は喩えると、空気の読めないガサツなおじさん第11回

目次
・医学の出来事観と物質観(復習)
・夢のワクチンと謳われてHPVワクチンが登場したときにみなさんが覚えた素朴な疑問
・HPVワクチンを接種した結果、身体に起こるのは都合の良いことだけといきなり請け合えるか
・医学のHPVワクチン観(概略)
・医学は子宮頸がんをHPV一点のせいにする(段階③)
・一点をとり除いた結果、身体に都合の悪い出来事が起こってきた例
・HPVにたいする抗体が身体のなかにできると(段階②)
・HPVワクチンを接種すると(段階①)
・医学の出来事観と物質観にもとづくと(結論)


◆医学の出来事観と物質観(復習)

 ここまで医学の出来事観と物質観を見てきました。


 医学は、ひとの身になろうとする代わりに、ひとの身体に起こる出来事を一点のせいにする(医学の出来事観)ってことでしたね。


 で、そうした出来事観を突きつめて物質を定義づけるんだってことでしたね。その物質定義はつぎの3通りの仕方で表現できました。

  • 表現①:物質それぞれは、身体に特定の出来事を起こす原因である(原因という言葉をもちいての定義)
  • 表現②:物質それぞれは「状況に関係なく身体に特定の出来事を起こすもの」である(原因という言葉をもちいない定義)
  • 表現③:おなじ物質をおなじように摂取接種すれば当然、身体におなじ特定の出来事が起こる。


 でも、物質って実はそんなものではありませんでしたね。そもそもこの世に原因なんてものは存在しないということでした。つまり、おなじ物質をおなじように摂取・接種しても、ひとによって、もしくはおなじひとでも時と場合によって、身体に起こる出来事はしばしば異なるっていうのが現実なんだってことでしたね。アルコールや、コーヒー、毒、薬を挙げてそのこと確認したじゃないですか、ね?

  • 物質の現実:おなじ物質をおなじように摂取しても、ひとによって、もくしはおなじひとでも時と場合によって、身体に異なる出来事が起こることシバシバである。


 さて、医学はそうした不適切な出来事観と物質観にもとづいてものを見るわけですけどその結果どういうことになるとみなさん思います? わかりやすい例をもちいて、その辺りを最後にちょっと見ておきません?


 そうだなあ、いまなら、HPVワクチンなんかそのわかりやすい例になるんじゃないかな。


 いっちょ、HPVワクチンで考察してみますか?


◆夢のワクチンと謳われてHPVワクチンが登場したときにみなさんが覚えた素朴な疑問

 HPVワクチンは子宮頸がんワクチンという名前で華々しく登場したじゃないですか。みなさんそのときのこと覚えてます? たしか夢のワクチンって騒がれましたよね? 接種すれば子宮頸がんにならなくなるんだ多くのひとたちの命が救われるんだこれは夢のワクチンなんだって、当初さかんに喧伝されたじゃないですか。いまも相変わらずそう喧伝されているのかもしれないですけど。


(言葉遣いが丁寧な新聞にしては露骨な表現ですよね)


 だけど、最初そうした喧伝を耳にしたとき、みなさん疑問を覚えたんじゃないですかね


 接種すれば子宮頸がんにならなくなるんだ、多くのひとの命が助かるんだとしきりに言うけど、そのワクチンを接種した結果身体に起こるのはそんな、子宮頸がんにならなくなるっていう都合の良いことだけなのかな、って。


 そうならいいし、是非そうであることを望むけど、この甘くない世界に、都合の良いことしか起こらないっていうそんなうまい話あるのかな、って。


 まだ登場して間もないワクチンなのに、接種の結果身体に起こるのはそんな都合の良いことだけなんだってなぜいきなり自信満々に請け合えるのかな、って。


 夢の新薬と謳われて登場したものの、いざ使ってみると、重篤な副作用をこうむるひとが続出したなんてこと、これまで少なからずあったんじゃないのかな、って  


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