(新)Nothing happens to me.

科学はボタンをかけ違えたまま来たのではないでしょうか。

科学の身体説明が何かちょっとニオウとみなさんお感じである3rd

身体が機械じゃないのは明らかであるが第17回

 全身への血液循環を、心臓ぬきに説明しようとすれば、全身への血液循環に心臓が寄与する分を、全身への血液循環に寄与するほかの存在、たとえば動脈などが担っていることにでもして、動脈に、実際はありもしない、血液を全身へ押し出す機能を想定でもしなければ説明の帳尻が合わなくなります


 これと同じで、「身体の物的部分」での物質的出来事を、「身体の感覚部分の関与無く起こるものとして説明しようとしますと(先にも申しましたように、この文章では「身体の感覚部分」の関与にのみ焦点を当てています)、説明の帳尻を合わせるために、「身体の物的部分」で物質的出来事が起こるのに「身体の感覚部分が寄与する分を、「身体の物的部分」のうちの何かが担っていることにでもして、その何かに実際にはありもしない機能を想定することになります


 では何に、実際にはありもしないそうした機能を想定することになるのでしょうか。


 科学は「身体の物的部分」での物質的出来事を、「身体の感覚部分」の関与無く起こるものとし、chapter4で見ますが、その物質的出来事をあるときは遺伝子という一点、あるときは脳、あるときはウィルス、あるときは細菌、あるときはガン、あるときは遺伝子変異、またはあるときはアレルゲンといった一点によって引き起こされるものと説明します。


「身体の物的部分」に物質的出来事が起こるのに「身体の感覚部分が寄与する分を、そうして遺伝子という一点が担っていることにしたり、あるときは脳という一点が担っていることに、またあるときはウィルスという一点が、あるいは細菌、ガン、遺伝子変異、アレルゲンといった一点が担っていることにしたりして、説明の帳尻を合わせようとします。


 そうした一点が、「身体の感覚部分」の寄与分を担っていることにし、物質にすぎないそれらそれぞれをひとに見立てます擬人化します)。


 たとえば、脳という一点が担っていることにして、脳が見るとか、脳が歩かせるとか、脳が記憶するとか、脳が未来計画を立てるといったように、説明します。


 しかし、全身への血液循環という出来事を心臓ぬきに説明しようとして、全身への血液循環という出来事に心臓が寄与する分を、たとえば動脈が担っていることにし、動脈に、実際にはありもしない、血液を全身に押し出す機能を想定するのは不適切であるけれども、「身体の物的部分」に起こる物質的出来事を「身体の感覚部分ぬきに説明しようとして、「身体の物的部分」に物質的出来事が起こるのに「身体の感覚部分」が寄与する分を、遺伝子、脳、ウィルス、細菌、ガン、遺伝子変異、アレルゲンといった一点が担っていることにし、それらに、実際にはありもしない機能を想定するのは説明として不適切ではないと考える理由はどこにもないように思われます。


 「身体の物的部分」に起こる物質的出来事を、「身体の感覚部分」ぬきに説明しようとすれば、説明が不適切になるのを確認しました。そのように説明が不適切になるというのは、松の木に歩み寄る例を引きつづき用いて申しますと、先に指摘しておきましたように、「身体の物的部分」が、「身体の感覚部分」、松の木、太陽、雲、風、音などや、過去体験記憶、未来体験予想らと、これまで「どのように応答し合いながら共に在ったか」(過去)を捉え損るということです。そうして過去を捉え損ねますと、とうぜん、「身体の物的部分」が、「身体の感覚部分」、松の木、太陽、雲、風、音などや、過去体験記憶、未来体験予想らと、これから「どのように応答し合いながら共に在るか」(未来)を推し量り損ねることになります。「身体の物的部分」についての未来だけではなく、「身体の感覚部分」、周囲の存在たち(音や匂いや味も含む)の姿や、過去体験記憶、未来体験予想らが、未来にどうなるか、ことごとく推し量り損ねることになるわけです。


 最後に、このシリーズをとおして長々と確認してきましたところを簡単にまとめます。
.「身体の物的部分」で、物質的出来事は、「身体の感覚部分」の関与のもと起こる(「身体の物的部分」は機械ではない)。

.そのことをみなさん実によくご存じである。

.「身体の物的部分」を研究するとは、「身体の物的部分」にのみ着目することではなく、「状況把握」を突きつめることである。

.「身体の物的部分」での物質的出来事を「身体の感覚部分」の関与無く起こるものとして説明すると(「身体の物的部分」を機械として説明すると)、「身体の物的部分」の未来はもちろんのこと、「身体の感覚部分」、周囲の存在たちの姿や、過去体験記憶、未来体験予想らが、未来にどうなるかも、ことごとく推し量り損ねることになる*1

(了)


前回の記事はこちら。

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このシリーズの記事一覧はこちら。

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このシリーズの続編はこちら。

①続編(科学が身体を機械と考えるに至る経緯を確認します。)

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②さらなる続編(科学は身体を機械と考え、機械に用いられる正常異常という区別を身体にも適用しますが、それが差別になることを確認します。)

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*1:2018年9月30日に、内容はそのままで表現のみ一部修正しました。