(新)Nothing happens to me.

科学には人間を理解することが絶対にできない理由がある

機械なんかであるはずがない身体を科学が機械と見なすに至るキッカケにみなさんはドギモを抜かれる(5/7)【医学がしばしばしばみなさんに理不尽な損害を与えてきた理由part.3】

*短編集「統合失調症と精神医学と差別」の短編NO.49


 いま、電柱を例に、科学が為す「絵の存在否定」という作業について確認してもらいました。その作業の結果、どうなったか。前方数十メートルのところにある電柱が、現に俺がその姿を目の当たりにしているというのに、見えていない(見えない)ことになりましたね。そして、現に俺が目の当たりにしているその電柱の姿は一転、俺の心のなかにある映像にすぎないことになりましたね。


 箇条書きにすると、こういうことです。

  • A.現に俺が目の当たりにしている電柱の姿は、俺の心のなかにある映像であることになる(見えるのは心のなかの映像にすぎないという思想の出来)。
  • B.俺の前方数十メートルのところに実在している電柱は、決して見ることのできない、いわゆる「のっぺらぽう」であることになる(ものはほんとうは見えないという思想の出来)。


 で、さらに科学は、現に俺が目の当たりにしているその電柱の姿(A)を、俺の脳によって(俺の心のなかに)作り上げられたものであることにします。俺の前方数十メートルのところに実在している、決して見ることのできない「のっぺらぼう」な電柱(B)についての情報をもとに、俺の脳が作り出したものなんだ、って。


 科学は事のはじめに、俺がそれぞれ、「絵の存在否定」、「存在の客観化」と呼ぶところの作業を立てつづけに為し、存在を改悪すると最初に言いました。そのうちの前者、「絵の存在否定」をいま、電柱を例に確認しました。






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*これのpart.1はこちら(今回はpart.3)。


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