*短編集「統合失調症と精神医学と差別」の短編NO.51
◆関係は自律的なものである
そうですね、先ほど確認しましたね。電柱は一瞬一瞬答えることによって、他のものたちと関係しているということでしたね。「他のものたちと共に在るにあたってどのようにあるか」という問いに、ね? すなわち、その関係は、「電柱による自律的なもの」であるということでしたね。
だけど、事のはじめに「存在の客観化」を為し、その電柱を「ただただ無応答でそこに在るもの」であることにする科学には、電柱の、他のものたちに対する関係をこのように「電柱による自律的なもの」と見ることはもはやできないということでした。
これは、別の言い方をすると、科学は電柱の、他のものたちに対する関係を、裏返しにして考えるしかないということです。
電柱はそのありようを、他のものたちによって律せられる、という他律的なかたちで、他のものたちと関係しているんだ、というふうに。
つまり、他のものたちが、力というものを発揮して、電柱のありようを律する(操る)、と考えるしかないということです。
この他律的な関係*1というものこそ、古来、因果関係という名で呼ばれてきたものではないでしょうか。
さあ、いま、科学が捏造してきた関係を確認し終わりました。各存在は他のものたちと関係するために、互いに力なるものをもつことになったということでしたね。
したがって、そんな科学のもとでは、電柱は、「どの位置を占めているか」ということと、「どんな力をもっているか」ということしか問題にならない何かであることになります。
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